消化がいいアルバム
――完成した今作、それぞれどんな手応えを持った作品になったのかを聞かせてください。
鳥山 昂 一番最初に「秘密」のアレンジを手がけ、完成させたときに、自分の中で「これぞポップスだ」という手応えを覚える、まさに自分の思い描くポップスというべき楽曲を作り上げることが出来ました。そのうえで、どんどん楽曲の枝葉を広げながら作り上げたのが、『s wallowtail』というミニアルバム。正直、100点を取れたくらいの達成感があるように、ここからいかに、その100点を更新していくかという想いを今持っているのが一つ。
実は今、ネット上に『swallowtail』に収録した6曲のサビだけを抽出して並べたトレーラー映像がアップされているんですけど。それを観たときにも、「すごい作品を作ったなぁ」と思えました。
長谷川 海 発信者としては、非常に満足のいく作品になりました。「未来へのブーケトス」などは、自分でも歌詞を書き終えたときにホロリと涙したくらい、書いていて気持ちの良い内容になりましたからね。何より、『swallowtail』(燕)というタイトルのように、しっかり羽ばたいて欲しい作品だなと思います。
――「未来へのブーケトス」は、プロポーズソングのようにも聞こえます。
長谷川 海 そんな意識は、最初まったくなかったんですけどね。と言うのも、最初は「日常に転がっている小さい愛を拾っては歌にする、ささやかなラブソングを」と思って歌詞を書き始めたんですよ。ただ、楽曲が壮大に仕上がっていたからでしょうね、気がついたら「5年先も、10年先も一緒にいれたらいいよね」という、深夜に一人で書き認める妄想ラブレターみたいな歌詞になりました(笑)。
松本和也 ポップスを表現しているバンドのように、メロディと歌詞が良いのは当たり前。同時に、今はライブハウスを主戦場としているように、ライブバンドとして表現していくうえでも、前作のミニアルバム『白紙台本』以上に進化した姿を投影できた作品にも仕上がったなと感じています。
髙橋悠真 改めて6曲通して聴いたときに、6曲の幅が活きているからこそ、聴いててお腹いっぱいになる満足感がありました。でも、意外とスッと心地好く聞き終えるように、お腹いっぱいで満足なのに消化がいいアルバムです。
――この記事を目にする頃には全国ツアー『「swallowtail」Release Tour<僕しか知らない秘密のネタバラシツアー>』も始まっています。ツアーファイナルとなる7月16日、TSUTAYA O-Crestにおけるワンマン公演のチケットは、発売と共にソールドアウトを記録しました。
長谷川 海 それを聞いたとき、「これは、すげぇ良いツアーにしなきゃ」となりましたからね。最後に満員の景色が見えてるんだと思ってツアーをまわれるって、なんか何時もとは気合いが違います。
松本和也 このツアーで、しっかりバンドを成長させていかないと。最後の景色が約束されているにも関わらず、最後に最悪なライブをしたら、このツアー自体の意味がなくなってしまいますからね。
長谷川 海 それもあって、僕らメンバー自身の気持ちも、良い意味でシュッと伸びたなと思っています。何より、東京初ワンマンでソールドアウト出来たことは、バンドにとっても嬉しい自信に繋がりましたし、どんな景色が目の前に広がるのか、今からワクワクしています。
鳥山 昂 このツアー中も、各地の風景に触れ合っては、それを各地のライブで地元のファンの人たちと共有していきたいなと思っています。
長谷川 海 えっ、しゃべるの??
鳥山 昂 いや、しゃべんないですけど! そこは、ニュアンスでつかむところでしょ。まぁ、自分はギターで語りますよ。
松本和也 今はもっともっとドラマストアの名前を全国各地へ広めたい。ホントにいい音楽を演っているからこそ、それを、口コミを通してどんどん広げていきたい。みんなも、「良い」と思ったら身近な人にドラマストアのことを紹介して欲しいです。そして、一緒にライブで楽しみたいなと思います。
(おわり)