大阪発4人組バンドのドラマストアが11日、東京・渋谷CLUB QUATTROで“2nd Single「ラブソングはいらない」リリースツアー&「ドラマチック・ミュージックショー」アンコールツアーワンマン”公演をおこなった。ツアーファイナルとなった本公演では本編19曲にダブルアンコールまで全23曲を披露。ニューミニアルバムのリリースに4月から全国13箇所公演のワンマンツアーの開催もアナウンスされた。ソールドアウトとなったこの日のライブは、ツアーファイナル公演にふさわしい熱気に満ちていた。【取材=平吉賢治】

アップテンポ5連発で圧倒

長谷川海

 ドラマストアはステージに姿を現すと深くお辞儀をして、満員となったフロアからの大きな拍手に包まれた。そして4拍のドラムカウントから清涼感あふれる「エンドロール」のサウンドを放ち、勢い良くライブスタート。松本和也(Dr/Cho)の力強い4つ打ちビートに高橋悠真(Ba)のベースラインが轟く。そして鳥山昂(Gt/Key)のテレキャスターと長谷川海(Vo/Gt)のジャズマスターのギターアンサンブルが煌びやかにサウンドを輝かせる。ドラマストアの清涼な空気感は初曲から一気に広がった。(※高橋悠真(Ba)の高の正式表記は、はしご高。)

 長谷川が「行くぞ東京!」とフロアに投げかけるとオーディエンスのテンションは上昇し、一斉に手を掲げて熱気に応えた。「世界はまだ僕を知らない」から鳥山はギターと鍵盤を交互にマルチなプレイを華麗に魅せ、楽曲の世界観をグッと広げた。立て続けに「冒険譚」へと進み、フロアからはクラップがサラウンドに鳴り響く。間髪入れずに「イリーガルハイ」へ繋がるとちょっぴり切ないメロディを歌い上げる長谷川がステージに映えた。

鳥山昂

 そして「ガールズルール」と5曲アップテンポが連ねられ、歌を口ずさみながらプレイする高橋の笑顔がキラリと光る。ポップでタイトでエネルギッシュなバンドアンサンブルは序盤の5曲でオーディエンスの心をガッチリ一つにしたようだった。

人生で一番楽しかった思い出にしたい

高橋悠真

 長谷川はMCでのテンポ良い関西弁のトークで和やかに「ツアーをまわってきて無事に帰ってこれました! 大阪がホームなんですけど一応言わせてください。ただいま!」と伝えると、オーディエンスは「おかえり!」という温かい反応で応えた。さらに、「みんなのおかげで俺達にとってはたいへん有意義で楽しいツアーでした。ですが、やっぱりツアーファイナル、クアトロを埋めたからには一番素敵な思い出にしたくないですか?」と、本公演がソールドアウトとなったことへの感謝を伝えつつ、ファイナル公演の熱気をさらに押し上げた。

 そして「人生で一番楽しかった思い出にしたいと思うんですけど力を貸してもらえますでしょうか東京!」と、熱くコールするとオーディエンスは手を掲げて熱烈に応え、その手が上がったまま、「イミテーション・ミュージックショー」へと突入した。長谷川、鳥山、高橋は軽快にジャンプしながらのパフォーマンスを見せ、時折メンバー向かい合ってフレッシュな表情での演奏も見せる。ライブのテンポ感は抜群、「GAME」「Work&Work」と続き、「秘密」では透明感のあるバンドサウンドのなか、長谷川は内なる情念を滲み出すように、心地良いメロディをファルセット混じりに歌い上げた。

 中盤での新曲「東京無理心中」では、ミドルテンポのなか鳥山のシンセサイザーのサウンドがノスタルジックな雰囲気を醸し出し、ライブに絶妙なアクセントをつけた。続く「Lostman」ではピアノとボーカルの導入。曲が進みスローなテンポでバンドインし、ロックバラードながらもギラつく鋭さとエネルギーを含む同曲からは、ドラマストアの引き出しの多彩さを感じさせてくれた。

 そして、ふわりと優しいアンサンブルとビートの「きえないまぼろし」へ。各パートはソフトなタッチで音を一つ一つ丁寧に重ね、どこか切なくとも優しいサウンドがオーディエンスを包んだ。様々なアプローチを見せてくれるドラマストアだが、共通項はあくまでポップ。そしてどこまでも聴き手にウェルカムなスタイルで魅了してくれる。

 ツアータイトルに銘打たれた楽曲「ラブソングはいらない」では長谷川はアコースティックギターに持ち替える。アンサンブルのテイストをさらに広げ、爽やかで瑞々しいツヤのサウンドのなか、芯のある歌声を響かせた。そんな空気感を引き継いで披露された「グッバイ・ヒーロー」と、前半のアップテンポ連発からミドルテンポ、スローな楽曲と、バンド名さながらドラマチックな展開。曲中で徐々にテンションは再び高まり、その流れからの「Stand by You」と、抜群のライブ構成でオーディエンスのボルテージは再燃し、挙手にクラップとバンドのダイナミズムとシンクロするように即座に好反応を示した。

今年もどこまでも行ける限り全力で

松本和也

 後半のMCで長谷川は、和音を優しくストロークしながらオーディエンスへ向け「この景色を見たかった。もっと大きい景色をみんなと一緒に見たくなるし、もっといい歌をみんなに届けたいと思うし――2019年は、みんなのことがより一層好きになった一年でした! 今年もどこまでも行ける限り全力で走って行きたいなと思っています。みんなの一番でいたいです」と、真摯に語った。

 そしてライブ終盤、新曲「Dancing Dead」でロック魂を叩きつけ、ピアノとベースのユニゾンフレーズが印象的な「三文芝居」、続いてはストロボフラッシュが高速ビートと同期する「スイミー」と、ドライブ感溢れるバンドサウンドでたたみこんだ。

 本編ラストは「三月のマーチ」。ドラムのビートアクセントと同じ拍で鳴り渡るオーディエンスのクラップは“会場一体”という言葉がふさわしい空気感を作っていた。テンポ感、展開、スピード感に構成と、文句なしのセットリストで走り抜けた本編はハッピーな雰囲気のなか幕を閉じた。

 鳴り渡るアンコールに応えて再登場したドラマストアは、新作ミニアルバム『Invitations』を4月15日にリリースすることをアナウンス。そして全国13箇所で開催される4月28日からのワンマンツアーの開催も発表した。最後のMCでは“関西発正統派ポップバンド”の魅力の一つでもあろう、ほっこりコント混じりのトークを展開しつつ、「全部出し切れよ!」という言葉が広がるなか3曲のアンコールに応え、ドラマストアは完全燃焼の姿を見せた。

 アンコール終了後、フロアはライブ完全終了の空気感だったが、オーディエンスからの拍手は鳴り止まず、ドラマストアはダブルアンコールにも応えてくれた。期待を一つも二つも上回るようなライブを見せてくれた終演後、オーディエンスは花開くような表情で会場を後にしていた。

 ファイナル公演終了後、長谷川はこの日のライブを振り返り、「みんなの反応も凄く良かったし、僕らは大阪発ですけどここが第二のホームというか、受け入れられて良かったです」と、東京に対する想いを清々しいスマイルで語っていた。

セットリスト

“2nd Single「ラブソングはいらない」リリースツアー&「ドラマチック・ミュージックショー」アンコールツアーワンマン”

2020年1月11日@東京・渋谷CLUB QUATTRO

01.エンドロール
02.世界はまだ僕を知らない
03.冒険譚
04.イリーガルハイ
05.ガールズルール
06.イミテーション・ミュージックショー
07.GAME
08.Work&Work
09.秘密
10.東京無理心中
11.Lostman
12.きえないまぼろし
13.ラブソングはいらない
14.グッバイ・ヒーロー
15.Stand by You
16.Dancing Dead
17.三文芝居
18.スイミー
19.三月のマーチ

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