コムアイ、吉沢亮、沢尻エリカ、犬童一心監督

 女優の沢尻エリカ(32)が映画『ヘルタースケルター』以来6年ぶりに主演を務める映画『猫は抱くもの』の完成披露試写会が5日、都内でおこなわれ、沢尻は舞台挨拶に登壇し、劇中で元アイドルという役柄を演じた経緯を振り返った。この日は共演の吉沢亮(24)、コムアイ(25)と、メガホンをとった犬童一心監督(57)も登壇した。

沢尻エリカ

 本作は作家・大山淳子さんの小説を原作に実写化したドラマで、生きることに嫌気が差したヒロインと、自分を彼女の恋人だと信じ込む猫の不思議な関係を映し出したストーリー。『グーグーだって猫である』シリーズなどの犬童一心監督が手がけ、沢尻が元アイドルで妄想好きのヒロイン沙織役を担当、吉沢は沙織に恋する猫・良男役、コムアイは良男が外の世界で始めて出会う猫・キイロ役を務める。また他にも銀杏BOYZの峯田和伸がキイロの飼い主である売れない画家・ゴッホ役で出演している。

 犬童監督は、今回の沙織という役柄に関して「計算されたものでなくて、持っている野蛮さから出てくるパワーというか、新鮮さのようなもの」とし、沢尻に対して「地味な役でもそういう役を沢尻さんがやってくれると、すごく新鮮になる」ということを期待し、今回のキャスティングを決意。元々役者としての沢尻を尊敬し、いつか自分の映画に出てもらいたいと日本アカデミー賞の発表の場で挨拶をしたりしていたといい「下地作っておいて良かった」と沢尻の出演に大満足の様子。一方の沢尻も、フィーリングに加え、元アイドルというユニークな役柄にも魅力を感じ、出演を即決したことを明かす。

沢尻エリカら

 また沢尻が今作で見所に挙げているのが、映画内で舞台のセットにて場面を展開するシーン。舞台セットの上で、本物の舞台のように出演者が演技し、長回しで映画を撮影して作ったというもので、この場面のために2週間のリハーサル期間を用意したという入魂のシーン。「(長回しの上に)喜怒哀楽も表現されて、という難しいシーンだったけど、やりがいもあって、お気に入りのシーンにもなったんです」と、自身でも会心の出来となったようだ。

 一方、劇中ではかつて沙織が所属していたアイドルグループ、サニーとしてダンスや歌唱するシーンに加え、安室奈美恵の曲を歌うシーンなども。「歌って踊ってみたいなところもあるけど、すごく練習して。普段歌って踊ってという経験がないので大変だったけど新鮮で楽しかったです。頑張りました」と撮影を振り返る。

グリグリ

 その一方で、サニーが劇中でお決まりの“自己紹介”をする場面があるが、これは沢尻らアイドルグループを演じる出演者が撮影期間中に自分たちで考えたという。「たまたま楽屋で待っているときに、みんなが待ち時間の間になって、その話で盛り上がってて、ノリなんですけどそれを作って監督に見せたら、採用してしまった」と沢尻はその経緯を回想。犬童監督は「僕が知らない間に勝手に作っていて。何かの拍子にやって見せてもらったけど、あまりにも完成度が高くて」などと驚いたひと時を振り返っていた。

 またこの日は、劇中で良男役を務めた猫も登場。沢尻は撮影中に心奪われ、撮影後には引き取ってしまい、現在は「グリグリ」と命名し共に生活していることを明かす。さらに犬童監督が「何か一言」とマイクを向けると「にゃぁ」と一言泣いて育ちのいいところを見せ、会場を沸かせていた。【取材・撮影=桂 伸也】

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