諦めなければ叶う、cyanが語る夢 娯楽なき場所で歌はどう響く
INTERVIEW

諦めなければ叶う、cyanが語る夢 娯楽なき場所で歌はどう響く


記者:小池直也

撮影:

掲載:18年06月06日

読了時間:約10分

友人と交わした武道館の約束

cyan(撮影=冨田味我)

――刑務所でのライブ経験もあるとか。

 地元の野外フェスで聴いてくださった刑務官の方がお話をくださったんです。1回目は280人くらいの女性受刑者向けに演奏しました。やっぱり普段見ない光景じゃないですか。皆が同じ方向を向いていて。たった1人でパフォーマンスしたので心配もありましたけど、反応が凄く大きかったです。

 娯楽がなくて、皆さんは一年に一度しかないその機会を楽しみにしているんですよ。目の前で泣いている人もいたり、色々な事を考えさせられました。泣いたり笑ったりする事は、普段のライブのお客さんと変わらないはずなのに全く違うように見えたんです。

 その翌年は800人の男性受刑者の前で歌いました。人も増えているし、男性だし、不思議な感覚がありましたね。でも、終わった後のアンケートを見たら「前向きになった」という意見が多くて。とても貴重な体験をさせて頂いたと思っています。

――音楽がありふれている僕達とはまた違う受け止め方なんでしょうね。

 そうだと思います。それから、障がい者支援施設でも歌わせて頂きました。私にはない発想やアイディアのアンテナがすごいんです。感受性が強い。お話したり、一緒に絵を描いたりしても「その色彩感覚は私にはない」と思う色を使ったり。そこから学べる事がたくさんありましたね。

 「色々な人に聴いてほしい」と思いながらカラオケで歌っていてもだめじゃないですか。私がストリートを続けてきたのは「たくさんの人と出会いたいから」でしたし。私は何か夢を持っている人に「諦めなければ叶う」という事を伝えたいんです。

 真っ直ぐに突き進んでほしい。私は12、13年目になって今があるので、悩んでいる人たちの背中を押せる様なシンガーでありたいです。

――次の目標など、もしあれば教えてください。

 目標や夢はいくつもあって良いと思うんです。身近なものでも良いし、大きくあっても良いかなと。2014年に友人が亡くなってしまったんですけど、その友人と最後に約束したのは「武道館に立つ」という事だったんです。なので近い将来で思う事はそれですね。亡くなってしまってから3年半くらい経って、その夢が近づいているという実感はあります。

(おわり)

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