シンガーのバトンを受け取った、村上佳佑 更なる高み目指す1枚
INTERVIEW

シンガーのバトンを受け取った、村上佳佑 更なる高み目指す1枚


記者:編集部

撮影:

掲載:18年05月30日

読了時間:約8分

シンガーとしてのリレーのバトンを受け取った

――「ファンファーレ」は、スケールが大きくて、本当に希望を感じる歌だなと思いました。しばらく活動を休止なさるクリス・ハートさんとの共作はどうでしたか?

 クリスさんが「リレー」をテーマに作ってくれたトラックをベースにして、一緒にメロディを乗せていきました。シンガーだからこその曲へのアプローチが新鮮でしたね。クリスさんはクリスさんで、作家活動も視野に入れたこれからの夢に向かって準備を始め、シンガーとしてのリレーのバトンを受け取った僕は僕で、自分の歌に磨きをかけることに頑張っていく。そういう関係が実際あったので、それを歌詞に反映しつつ、でも、ふたりの世界に寄せすぎないように、バトンを渡す側、渡される側両方への応援歌を書いていきました。

――クリスさんのライブで、村上さんはずっとクリスさんの背中を見てきたんですもんね。

 はい。コーラス・ワークに関しても、この曲でまたすごく勉強になりました。なにより尊敬する事務所の先輩と、こうやって膝を突き合わせて作業できたのが、本当に楽しかったです。

――「僕らの明日」からは、村上さんの故郷の風景がアルバムをめくるように見えてきました。

 ありがとうございます。イメージは夏。陽炎の立つ暑い中、みんなで自転車を乗り回して海や川に遊びに行っていた中学、高校時代ですね。夕方になると町内放送のチャイムが鳴って、街灯がふっとつく。夜はギターを持って製紙工場の大きな倉庫のある友だちの家に行っては、コブクロさんのライブの真似をしたり(笑)。そんなことを思い出しながら書きました。この歳になって初めて、帰る場所があるということがつくずくありがたいと思ったんですよね。

――そんなふうに思うきっかけがあったんですか?

 僕は今、28歳。東京で一生懸命頑張っているわけですけど、時々得体の知れない孤独を感じることがあるんです。もちろん、支えてくれるスタッフさんや応援してくださる方はいるんですけど、それとは別に、どこかに未来に対する漠然とした不安感みたいなものもあって。そんなとき、なぜかふと地元の風景を思い出して温かな気持ちになった。たぶん、都会に出て頑張っている人は、みんな同じような感覚を覚えたことがあるんじゃないかなと、それを共有したくなったんです。

――青春時代と違う感慨が持ててると思うと、大人になることも悪くないですね。

 すごく若いときはそんなこと全然思わなかったけど、今は、帰省しようと思えるって素敵だなと思います。

――3rdミニアルバムが完成しても、相変わらず曲作りは続いていますか?

 はい。とにかくいつでも次に向かえるように、今は曲作りに集中しています。ここまでの経験を存分に注ぎ込んだ作品がお届けできるよう、またここから頑張っていきたいと思います。【取材・文=藤井美保】

(おわり)

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