メジャー10年の経験値が出た、MAY’S デュエットで見せた絆
INTERVIEW

メジャー10年の経験値が出た、MAY’S デュエットで見せた絆


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年05月23日

読了時間:約13分

自分たち自身やって来たことを肯定してもらっている感覚

片桐舞子(撮影=冨田味我)

――続いてはCrystal Kayさんの「恋におちたら」ですが、元々デュエット曲ではないこの曲を選んだのには意図が?

 元がデュエットではない曲をデュエット曲にしたらどうなるのかという好奇心からです。それと純粋にカバーしてみたい曲のひとつでした。そこに宮崎薫ちゃんの声がマッチするなと思いました。

――常にデュエットしたら面白そうな曲を探していたわけですね。

 そうです。今回は奇跡的にやりたいと思った曲は全部許可がスムーズに下りました。大人の事情で難しいとなることも多いのですが、奇跡的に全て大丈夫でした。

――ちなみに他にはどんな曲の候補があったのでしょうか。

 今回は残念ながら収録されなかったんですけど、傳田真央さんの「耳もとにいるよ…~Ring the bells~」とかがありました。今回何が一番大変だったかというと私が誰と何を歌いたいかというところでした。自分の感覚にスポッとハメる作業が大変で、ハマってしまえばそこから先は割とスムーズでした。

――シンガーの皆さんも2つ返事でオッケー?

 ありがたいことに、快く了承してくれました。山猿は自分のアルバムと制作が被っていたのにも関わらず「姐さんと歌いたかったから」と参加してくれて。同じ境遇だったら私は考えてしまうと思います。

――それは嬉しいですよね。そして、「Choo Choo TRAIN」が収録されていますが、これも片桐さんがやりたかった曲のひとつ?

 この曲は河井さんがやりたかった曲です。彼はニュージャックスウィング(1980年代後半に発生・流行した音楽スタイル)が好きで、私たちのオリジナル曲でもニュージャックスウィングの曲が多いんです。この曲でデュエットしているSHIKATA君は現在プロデューサーとしても活躍していて、KG含めデビュー前からの仲なんです。

 「Choo Choo TRAIN」は私たちがデビューする前にカバーしたことがありました。クラブイベントにZOO(90年代に活動した、日本のダンス&ボーカルユニット)のボーカルのSATSUKIさんが来られたことがあって、「『Choo Choo TRAIN』を現代の音で歌ってみたい」というリクエストがあったので、私たちが全部リアレンジしました。そこに私とSHIKATA君でコーラスを全部入れて歌った思い出の曲なんです。それもあってこの曲が選ばれたという経緯があります。内輪ネタなんですけど(笑)。今回新しく男女による「Choo Choo TRAIN」が出来上がったと思っています。

――確かに男女のデュエットは新鮮です。続いてのディズニー映画『美女と野獣』より「Beauty and the Beast」ですが、これは片桐さんの推し曲?

 これはKGと歌うならこの曲かなと思いまして。彼は海外で生活をしていたということもあり、英語の発音がネイティブ並みだったりするので、英詞で歌えるデュエット曲というところから考えました。そこで、みんなが知っている曲となるとディズニーかなと。英詞の曲は私にとってもチャレンジで、楽しみでもありました。

――英詞を歌うのに難しいと感じたところはありましたか。

 実は私、英詞の方が歌いやすいと感じています。上手く発音できるかどうかは別なんですけど、日本語は歌にハマり辛い言語だと思っていて。慣れてしまえばピッチや音を伸ばした時のコントロールは英語の方がしやすいです。日本語は言葉をしっかり伝えながら綺麗に歌うというのは難易度が高いと常日頃から感じています。英詞の歌を歌うことによって日本語でカッコよく歌う難しさを知ることが出来ました。

――それは意外でした。そして、アルバムの最後を飾るのはカラオケ世界チャンピオンで6月にメジャーデビューも決定している海蔵亮太さんとの「明日がくるなら」。これはJUJU with JAY'EDさんがオリジナルですね。

 海蔵君は前に「僕と私のストーリー 」というオリジナル曲でデュエットしてもらいました。その時に彼の歌の能力値の高さに驚かされて。歌が上手いのはもちろんなのですが、ポテンシャルをものすごく感じました。それもあって今回は彼の得意じゃないジャンルを一緒にやってみたいなと。オリジナルはビート感があるんですけど、バラード調にアレンジしていたので、原曲の良さを活かすような歌い方などを、レコーディング前にやり取りしました。

――海蔵さんはどのような方なのでしょうか。

 まず背が高いです。それもあって良い声が出るんです。やっぱり体は大きい方が響くので。そして、面白くて天使キャラです(笑)。「今度ご飯食べに行こうよ」と誘った時に好きな食べ物を聞いたら、「カスタード」と言っていたのが印象に残っています(笑)。

――ご飯じゃないですね(笑)。さて、この作品が完成してみてどのような思いが生まれましたか。

 こんなにも面白いアルバムになるものなんだなと感じています。最初にも話しましたが、私たちは作詞作曲プロデュースを全部自分達でやっているということもあって、オリジナルを作るということはエネルギーをものすごく使います。その調節を自分達でやっていくなかでデュエットというアイデアが生まれたんですけど、「デュエットしようよ」はオリジナルあり、カバーあり、そして6人のボーカリストがいるので、コンピレーションのような感覚もあり、完成してみたら自分達が思い描いていた以上に、面白い取り組みになったなと感じています。オリジナルの2曲に関しては自然とアラサーという雰囲気が出ていたり(笑)。

――7月でメジャーデビュー10周年を迎えます。このデュエットでメジャー10年の絆の形が出ましたよね。

 はい。こうやって10年間メジャーで活動出来ていることは、ありがたいことだなと身に染みて感じています。私たちはオリジナル曲を作り続けているユニットで、如何にお客さんを飽きさせないか、そして、自分たちも楽しめるようにというのも考えてきました。80’sサウンドを取り入れてみたり、様々なアーティストとコラボしたり、新しいことも取り入れてきました。

 でも聴いてくれている人達は、MAY’Sの2人がやっていれば新しいことは望んでいない、新しいことをやる必要性もないのかな? と思う瞬間もあるんです。でも、そういう経験、活動をし続けてなかったら今作は出来なかったアルバムだと思いますし、完成してみて自分たち自身がやって来たことを肯定してもらっている感覚になりましたこれからも守りに入らず、新しいことに、積極的にチャレンジしていけるユニットでありたいと改めて感じています。

(おわり)

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