感覚と計算のバランス 清水翔太、エンターテイナーとしての美学
INTERVIEW

清水翔太(撮影=冨田味我)


記者:小池直也

撮影:

掲載:18年05月16日

読了時間:約14分

実体験で足りないと思う音楽を作る

清水翔太(撮影=冨田味我)

——「Friday」について、リリックを作る時はどの様な事を考えていましたか。

 最近僕が作る曲全般の感覚に言える事なんですけど、割と自分の実体験の中で「足りない」と思う音楽を作る様にしているんです。「こういう時にこういう音楽が流れれば良いのに」とか「こういう時にこういうメッセージを歌いたいんだよな」とか、そう思う瞬間があって。例えばバーで飲んでいて、可愛い女の子がいる。そんな時にきっかけになる様な曲をカラオケとかで歌いたいと思っても浮かばないんですよ。じゃあ自分で作ろうと。

 恋愛の曲も沢山あるけど、自分と本当に重なる曲ってなくて。それを作りたいんですよ。「Friday」も割と週末に「今日は何か楽しい事したいな、刺激的な出会いないかな」という様な。21時半くらいにパッと流れてほしい曲、というイメージで作りました。

——冒頭のパートのあと<0時を過ぎたあたりから>というところでラップのリズムが変わるのがクールでしたね。

 それは感覚ですね。あまり計算とかはないです。でも自然に計算して、難しい事をやっているんだと思うんですよ。やりながら何度も何度も「これは何かが違う」という繰り返し。「これだ!」という自分の感覚にピタッと合う瞬間をやり続けるというか。歌詞もメロディも。その結果辿りつくものが、後から分析して「音楽的に面白い」となるのかもしれません。

——先行で公開されたミュージックビデオもこだわりが伝わってきましたが。

 これもまたタイアップ頂いた『ザ・プレミアム・モルツ』(サントリー)さん側からの紹介でコラボした映像監督さんによるものだったんです。アイディアも出して頂いて、そこに僕が意見して作っていきました。なので、いつもとは少し違う流れでしたね。割と僕は同じ監督さんと一緒に長くやることが多いんですよ。最近もずっと同じ監督さんです。

 今回は違う監督さんとご一緒した事も結果的にいい方向に作用したと思います。普段やらない事にトライできて楽しかったですね。僕は最初映像について「全部絵にしたい」と話していたんです。先方からは「海外の方にも見てもらえる様な東京の良さを表現したい」という意見があって。それも良いなと思ったので、東京の中でもコアな飲み屋街とか、色々な所を歩きたいなと。それで絵にしちゃうともったいないから、グラフィックを沢山入れて、お互いのアイディアを融合しました。

——ご自身でも気に入られていますか?

 でも僕は基本的に露出するのが好きじゃないんです(笑)。「出なくて良いんじゃないですか?」っていうくらい。だからすごい気に入る、という事はないんですけど。見る人が良いと言ってくれれば嬉しいという感じです。でも普段何も言ってこない友達からもLINEで「あのMV凄い格好良いね」と連絡来たりして。

——コラボレーションで制作していく手法は清水さんに合っている様な気も。

 曲に関しては誰かと協力して作るのが間違いなく良いと思っているんです。僕にはプロデューサー的な感覚も強くあるので。自分の事に関しては、今思い切り好きな事をやって遊んでいるんですけど、基本的にはバランスを見るタイプなんです。「ここはもう少しこうやった方が日本人に伝わりやすい」という事をよく考えますね。だから要望があってそこに合わせていく、というのが得意です。

 ただMVで共同作業って正直面倒くさいと思っちゃうんですよ(笑)。今回は凄い良かったんですけど。とにかく音楽を作るという事以外の事を考えたくないんですよ。たとえ、その音楽を寄り良く聴かせるためであったとしても。いつもの人だと「この曲はこういう感じで作ったから。こういうのが良いと思うんだけど」と伝えて考えてきてもらいます。良くなければ、また考えてもらって、良かったら撮影に入る。

 これが全然違う人だと、こちらも気を使ってしまいます。思ってもいないのに「それ良いですね」と言ってしまったりするので。「これも良いんじゃないですか?」という形で提案しなければいけないし、何回も打ち合わせしないといけない。だから今回もあんまり大変だと嫌だなと思っていました。でもプロジェクトの皆さんが僕を信頼してくれて「翔太さんがやりたい事をやってください」という感じだったので、やりやすくて楽しかったです。

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