メロディが歩いて行く、GLIM SPANKY 最初の種が生み出す奇跡
INTERVIEW

メロディが歩いて行く、GLIM SPANKY 最初の種が生み出す奇跡


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年05月04日

読了時間:約15分

アジアに生まれた私達ができることをアピールしたい

GLIM SPANKY

――「To The Music」は前作「愚か者」のカップリング曲「In the air」に通じる感じがありますね。

松尾レミ そうです。まさに「In the air」の感覚であえて作りました。

亀本寛貴 こういう感じはまた出していかないと、思いまして。とは言ってもまたカップリングですけど(笑)。

松尾レミ 「In the air」の評判が良かったこともあって。むしろ前作のシングルの中で「In the air」が一番好きみたいな声もありましたから。ファンの方からもメッセージをもらいましたし、知り合いのミュージシャンもこの曲推しの方が多かった。

――となれば「To The Music」も気に入ってもらえそうですね。この曲はNHK BSプレミアムとNHKワールドJAPANで放送中の『J-MELO』のエンディングテーマということもあり、世界に向けた作品に仕上がっていますね。

松尾レミ 歌詞もそうですし、サビの半分は言葉がないので、それもあえてやってみようという感じでした。世界で流れるものなので、どこかしらに東洋らしさのエッセンスを加えたいなというのもありました。コーラスが二声でハモっているんですけど、そのハモりを普通に3度や5度でハモるのではなくて、インドっぽいメロディに聴こえるようにハモりました。自分がアジア人であるということを誇りに思っているということをサウンドに落とし込めました。

――インドの旋律はスピリチュアルですごく刺激的です。エスニックな部分をこれからもアピールしていきたい?

松尾レミ アジアに生まれた私達ができることをどんどんアピールしていきたいと思います。日本のというよりは、アジアの、というような広い目で見て、アジア代表と言えるようなサウンドを作っていきたいです。

――3曲目の「The Flowers」は三越伊勢丹グループ『2018 花々祭 WILD FLOWERS~花を愛する人々~』キャンペーンソングですが、どういった着想で作り始めましたか?

松尾レミ このキャンペーンは、花をテーマにしていて毎年やっているんですけど、三越伊勢丹の皆さんがもう一回原点から考えてみようということになったそうで。それがサマー・オブ・ラブ(1967年夏にアメリカ合衆国を中心に巻き起こった、文化的、政治的な主張を伴う社会現象)とか、60年代のウッドストックで見られたフラワーチルドレン(1960-70年代のアメリカのヒッピーのこと)だったり、そういったメッセージを感じ取ったらしく、それと同じものをGLIM SPANKYにも感じて選んでくれたそうなんです。

 それらが裏テーマにあるのですが、それをそのままやるのも面白くないので、今の表現でビジュアルも作っていって。そういう話し合いをしたから、何かレトロなサウンドというのが自分の中でピンときたものがあって。でも伊勢丹のお客さんって色んな人がいる訳じゃないですか? ロックが好きじゃない人もいるだろうし、そういう人達にもちゃんと響いて、ロックが好きな人にはちゃんとロックとして届くということを念頭に置いて、サウンドはロックにしたけど歌詞はとても普遍的で自分が生きている日常は自分にとっての映画のようで。それはずっと昔から思っていたことなので、ちょうど当てはまると思いました。

――日常が映画のようでというのがすごくいいですね。

松尾レミ 私が伊勢丹で買い物をするときに何にワクワクするだろうと思ったときに、「これを買えば私の生活はキラキラ輝くな」と思って買い物をします。それはきっとみんなそうで、そういう言葉も入れたらこの歌を自分のこととして考えてくれるだろうなと思って、<この手で選んでいく全てのものが 日々を輝かせてくれる>というフレーズを入れて、それは伊勢丹に買いに来た人でなくても普遍的な言葉だと思います。

――満を持して言いたいことが出せた?

松尾レミ そうですね。そういう波があったというか、だから良かったと思います。でも普遍的で大きなことばかり歌っているとフワっとした歌になってしまうので、「ドノヴァン」とか「FM 」、「花売り」など限定的なことを歌うことで自分の歌になるというか。そうしないとみんなが書ける詞になっちゃうような気がするので、そこは定めて計算しています(笑)。

――作詞のテクニックですね! では最後に武道館公演に向けてメッセージをお願いします。

松尾レミ グッズのデザインをずっと描いているんですけど、これが出来てくると、セットリストもイメージが湧いてくるものがあります。そういう準備期間も楽しくて。11年やってきたGLIM SPANKYを限定的に今だけのGLIM SPANKYを観せるんじゃなくて、私たちの軌跡を観せられるショーにしたいと思います。

 お客さんがいないときから、自分の音楽を信じてやってきて、それはきっと間違っていなかったというものを、お客さんと共に、ずっと昔から応援してくれる人にも寄り添いたいし、新しいお客さんにも寄り添いたいし、そういう器の大きいライブが見せられたらなと思っています。まだまだ転がり続けていくぞというものも、「ここにとどまらないぞ!」という私達の音楽ラブな気持ちも見せられたらいいなと思います。

亀本寛貴 松尾さんが頑張ってデザインしてくれているので、来てくださる方はグッズも是非買って頂けたら嬉しいなというのもあるかな。武道館だけにとどまらず、今年もその後もいっぱい活動が続いて新曲もどんどん作っているので転がり続けるぜ! という気持ちです。

松尾レミ 「To The Music」で書いたように、音楽を共通言語に色んな所に行きたいなと思います。

(おわり)

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