メロディが歩いて行く、GLIM SPANKY 最初の種が生み出す奇跡
INTERVIEW

メロディが歩いて行く、GLIM SPANKY 最初の種が生み出す奇跡


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年05月04日

読了時間:約15分

低音にこだわった制作

亀本寛貴

――レコーディングでは何か新しいチャレンジなどはありましたか?

松尾レミ まずプリプロをやって、完全に作り上げます。その後にリハに入るんですけど、歌を聴かせられる楽曲にしたかったので、どこでどの楽器が切れるかという音の切れ方とか、サビに行く前のブレイクは、はたしてこれで良いのかとか、そういう細かい所をよりレコーディング参加ミュージシャンのみんなと考えることができたと思います。ロックだけどちゃんと歌が立っていて、でもJ-POPにはなっていないという、微妙な所で出来たかなと思います。それがより突き詰められた新しい挑戦として出来たかなと。コード進行も今まで使ったことがないような進行だったので、それも新しい挑戦です。

亀本寛貴 毎回そうなんですけど、今回のシングルは特に今まで以上に進歩できかたなと思います。しっかり低音を出せるようになったと思っていて。今までは僕の中では出そうと思っていたんだけど、「まだいけたな」というのがありました。それをずっとトライ&エラーしていたんですけど、今回は非常にうまく低音が出せたなと。

――低音というのはギターの低音ではなくて、楽曲全体の低音?

亀本寛貴 言ってしまえばキックドラムの音です。それが今まで以上にしっかり低音が聴こえてくる音になっていて、それだけで満足です。

松尾レミ そこもしっかりとエンジニアさんと意思疎通ができたし、今回はマスタリングも今までの方とは違う方にお願いしました。今まではニューヨークに出していたんですけど、今回はイギリスに出しまして。イギリスだとローがちょっと派手なマスタリングになるんです。それも「ローを出したい」というかめのリクエストを汲んで、エンジニアさんが色々なマスタリングエンジニアの方を調べてくれて、やってみたらイメージ通りの仕上がりになって。

亀本寛貴 けっこうパンチが効いてるよね。

松尾レミ 今までは良い意味で“いなたさ”(編注=田舎臭さやブルージーの意味で使われることが多い)がちゃんとあって、今回はそのいなたさがありつつも、もうちょっと派手というか…。

亀本寛貴 例えばこの表題曲とかもそれぞれの楽器の音は古くさいんだけど、全体としてはローが効いていてしっかりしていて。ベースはオールドスタイルの出方をしているんです。低音の出方は日本のと海外では捉え方が凄く違うので。

――今回の音源は空気を震わせる感じがあると感じました。日本と海外の低音の出方は、そこに違いがあるとも思うんです。

亀本寛貴 しっかり低音がある音像になっていれば、意外とレトロなサウンドでもいい感じに聴けるという感じがしてきたのでそれをやったんですけど、それも関係しているかもしれないです。ギターはかなりビンテージもので攻めたから。

松尾レミ ドラムは伊藤大地さんがやってくれています。伊藤さんは“いなたい”ドラムが得意なので味があります。こういう曲って、凄くJ-POPっぽいサウンドにもできるし、生々しくもできるし、色んな振り幅があると思うんです。伊藤さんに「派手にいくのか、地味でいなたい音にするのか」と聞かれたときに、とにかく「地味でいなたくていいです」と。そのかわりにミックスやマスタリングでちゃんと低音を出すのでと。サウンドはロックのままで凄くいなたいんだけど、ちゃんとTVで流れたときに「良くない地味さ」はないというか、ちゃんと聴けるサウンドにはなっているんだなと。そういう所は低音がちゃんと出ているとか、そういうところが関係しているじゃないかなと思います。

――低音という意味では今作全部共通している?

亀本寛貴 特に1、2曲目です。1曲目はビートルズくらい古い時代のテイストを意識していたので、いわゆるモダンな欧米の音楽にあるローというよりかは、中低域というか、クラシックロック風の中低域を意識しているんですけど、3曲目は割とレトロな感じに。

松尾レミ 1、2曲目は、作ったサウンドはレトロだけど、ミックス、マスタリングをしっかりと今風の低音にしていただきました。モダンなものとクラシックなものをかけ合わせてやっています。

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