ロックミュージシャンのMIYAVIが12日、東京・Zepp Tokyoで自身7度目のワールドツアー『MIYAVI “DAY2” World Tour 2018』の日本公演ファイナルをおこなった。【取材=桂 伸也/写真=Yusuke Okada】

MIYAVI

ライブのもよう(写真=Yusuke Okada)

 昨年デビュー15周年を迎えたMIYAVI。スラップなどを多用した独自のギタープレーで注目を集める彼だが、15周年の間に彼が刻んできた軌跡は、そんな断片的なものではない。それは新たなリリースやライブステージが常に新たな興奮と感動で包まれていることからも明らかだろう。

 2017年にはEXILE SHOKICHI、KenKen(LIFE IS GROOVE, RIZE, Dragon Ash)、シェネル、SKY-HI、ちゃんみな、HYDE、VERBAL(m-flo/PKCZ(R))、Masato(coldrain)、三浦大知といった全く異なるジャンルのアーティストとのコラボレーションという衝撃的なアルバム『SAMURAI SESSIONS vol.2』をリリース。異種格闘技戦的なその陣容も大いに話題になったが、近年では音楽というカテゴリに留まらず、近年は俳優としてハリウッドデビュー、さらにその現場で女優アンジェリーナ・ジョリーと出会ったことがきっかけで、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の親善大使に選ばれるなど、自身の生き方にすら新たな道を切り開き、常に貪欲に前進する姿勢を見せている。

 そんなMIYAVIの、止まることを知らない進化の中にある今現在のスナップショットを映し出すステージが、この日も披露され多くの観衆の度肝を抜き、感動と興奮で会場を満たした。

スタートとともに猛烈な熱気、そこには必死でギターをかき鳴らす一人の男が

MIYAVI

ライブのもよう(写真=Yusuke Okada)

 ステージスタートの時間を少し過ぎた頃、暗転とともにラジオのチューニング音時に聞こえる雑音のようなSEが流れる。その音はやがて様々なノイズ音と重なり、一つのハーモニーを構成し始める。それと同時にいよいよメンバーもステージに。シーン・ボウ、キャシー・パオという二人のボーカリスト、DJ Jonny、相棒ドラマーのBOBO、そして中央には、お立ち台の上でギターを構えるMIYAVI。SE音もいよいよ感極まりそうなところで、シーンが叫ぶ「Are You Ready!?」

 曲の始まりが先か? 観衆の怒涛の歓声が先か? その瞬間、会場には猛烈な熱気が充満、そしてオープニングナンバー「Flashback」で、いよいよこのステージは始まりを告げた。両足を力強く踏ん張り、文字通りギターをかき鳴らすMIYAVI。その姿には、小手先のテクニックなどで表される断片的なイメージなど微塵も無い、強靭なロック魂を持った一人の男の姿が映し出されていた。その一方でお立ち台の周り、そしてステージ前面の、観衆に一番近いところまでやってきて、目や手振りで観衆とコミュニケーションをとりつつも、ここぞというところでまたギターで叫ぶ。観衆の目には、その一挙一動こそが既に興奮の要因となっていた。

 前半はシーンをフィーチャした「Bumps In The Night」や、キャシーがフロントに出る「Dim It」などを織り交ぜながら、止まらず上り調子のステージを展開したが、途中ではMIYAVIにも縁の深いhideの残した曲「ピンク スパイダー」(hide with Spread Beaver)を厳かに披露。MIYAVIはhideから沢山のことを学び、多大な影響を受けた反面、彼が去ったあとに、共に築き上げるはずだった未来の景色を、自分が勝手に引き継ごうとして思い悩んでいたこと、今その結果、フラットにその記憶に向き合っていることを、過去を振り返りながら明かす。彼が「天国にいる彼と、彼の愛した人たちに届けば」と観衆に呼びかけ、そして披露したこのプレーからは、その彼自身の深い思いがにじみ出ているようにも感じられた。

自分に壁を作らない様々なチャレンジ、常に120%の姿勢

MIYAVI

ライブのもよう(写真=Yusuke Okada)

 さらに後半は、近年の様々なチャレンジの一端を見せる楽曲から展開する。「Live to Die Another Day -存在証明-」は、木村拓哉主演の映画『無限の住人』の主題歌としてMIYAVIが書き上げた楽曲で、ストーリー自体に深い感銘を受け「長い人生の中で、僕たちの人生は一瞬ですが、毎日一日燃え尽きたいと思いました」と作曲時の思いを振り返る。さらにUNHCRへの就任により難民キャンプに訪れたことを振り返り、「違っていていいんだ、それを認め合って、受け入れ尊重し合いながら共存していく。それが大事なことだと思う」という思いを語る。そしてそんな思いを込めたという曲「The Others」、さらに難民キャンプから戻って直ぐ書き上げたという楽曲で、映画の主題歌になる予定にもなっているという楽曲「Long Nights」と、自身入魂の楽曲を立て続けに披露する。

 そんな思いも通じてか、「Fire Bird」からラストの「Horizon」まではまさしくノンストップ。リズミカルに響くギターのスラップ音が、誰もじっとさせてはくれない。かと思うと、ある瞬間には高らかな歌の響きを、ギターが奏でる。BOBOが生み出す個性的なリズム、MIYAVIの持つ独特な音のスペース間を絶妙にサポートするDJ Johnny、シーン、キャシーという二人の華やかなボーカルによる揺るぎの無いお膳立てが、MIYAVIの描き出す“誰も見たことのない”と思わせるような世界をくっきりとステージに浮かび上がらせる。

 あっという間に駆け抜けたこの日のステージ。アンコールでは、現在実施中のワールドツアーで既に回ってきた台北、北京などの様々なアクシデントの悪戦苦闘を苦笑いで振り返りながらも「どんな状況であろうと乗り越えて、俺たちのメッセージを伝える。すべてではないかもしれないが、音楽を通じて一つになる、分かり合うことができると、アジアのツアーでも実感しましたし、自信も付きました」と、自分が一回り大きくなった実感を明かす。

 そしてここまで歩んできた道のりへの感謝、帰る場所があることへの感謝とともに「あきらめそうになるときもあるけど、新しいものを作るために、毎日120%で挑戦しています。共に明るい未来を作りましょう!」と、さらなる前進と合わせ自身の思いを呼びかける。そして全力プレーによる「What’s My Name? 2017」でこの日のステージを締めくくった。

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