タラレバの人生を羨んでも仕方がない
――メジャーデビュー曲「タラレバ流星群」は、まずタイトルにインパクトがありますね。
メジャーデビューが決まってから作ったんですけど、ここに至るまでには上手くいかなかったこともたくさんあって。それでメジャーデビューするにあたって、「もしもあの時あんな風に言わなければ、もっと早くここにたどり着けたんじゃないか」とか、嫌なこともあったから、「もしあそこで音楽を辞めていたらどうなっていただろう」とか、いろいろ考えたんです。でも昔にあったできごとや失敗があった上で、いろんな人と出会ったりして、今のこの状況があるんですよね。
タラレバとは可能性のことで、いろいろな人生の可能性が流星群のように流れていて。そのうちの一つが今の自分の人生だったとして、それは誰かから見たらきれいな星かもしれないし、だとすれば今の人生も、そう捨てたもんじゃないのかもなって。だからタラレバの人生を羨んでも仕方ないし、今の人生を卑下するのもくだらないんじゃないか。そんなことを歌っています。どんな人生でも、失いたくない大切なものがいっぱいありますからね。
――最初からそういうテーマで曲を作ろうと?
ざっくりとしたテーマだけを決めて、それっぽい言葉を口ずさみながら作るんです。ギターを弾きながら、何となく言葉のような言葉じゃないようなものを歌っていたら、サビのところで何となく歌った言葉が、<タラレバの流星群>と聞こえて。「それめっちゃいいじゃん!」ってことで、「タラレバ流星群」になりました。何となく歌った言葉がキャッチーだと、それを膨らませて書いていくことも多いです。
あと、歌詞でこだわるのは母音ですね。「ここはウの母音で終わりたい」とか。それに合わせて、前後の言葉を変えることもあるし。
――アレンジは?
Tokyo Recordingsさんが、アレンジしてくださいました。この曲は、いかにものバンドアレンジにしちゃったら、あまり面白くないなと思っていて。でも自分では、具体的に何がいいか思い浮かばなくて、それでアレンジャーさんにお任せしたら、最初からすごく格好いいものがあがってきて。リズムの感じも格好良くて、音色的にすごく好きな音が詰まっていて、特にシンセの音が好きです。すごく気に入っています。
――カップリングの「Rolling Rolling」は、かけ声がかけられるパートもあって、ライブで盛り上がりそうな曲ですね。
今はいろんなアーティストさんと対バンするようになって。みなさん会場を盛り上げてお客さんを「ウェ〜イ!」って楽しませるライブをやっていて。そういうのをたくさん見ていたらうらやましくて、私もそういうライブをやりたいと思ったんですね。それで、まさしくライブでお客さんと一緒に盛り上がれる曲を作りたいな〜と思って作りました。タイトルは、くるくる回るじゃないけど、ライブで踊るようなイメージの言葉がいいなと思って付けました。
――歌詞には<大人の事情にドロップキック>とか出てきて、面白いですね。
ちょっと反抗期の若者の感情と言うか。例えば「こうしたほうがいいと思うよ。俺もそういう時代があったから。今は分からないと思うけど、いつか分かるよ」みたいな感じで言う大人って、けっこういるじゃないですか。それを言われて「ムッカ〜!」みたいな(笑)。きっとその人も、昔誰かに言われたんだろうなって思うんですけど、「いつか分かる」なら今言うことないじゃないですか。言われたことで悩んで、何もできなくなるくらいなら、今は分からないまま破天荒な感じでもいいんじゃないの? っていう。
――頭に英語のフレーズが入っていますけど。
ちょっとした皮肉を言ってます。<何でも知っているつもりで、上から言ってくるあなたへ>みたいな感じです。「私よりあなたのほうが優れていますよね。分かってますよ、あ〜ハイハイ」みたいな(笑)。