休符は休みでなく音楽 山田姉妹、メロディで伝えたい歌詞の魅力
INTERVIEW

休符は休みでなく音楽 山田姉妹、メロディで伝えたい歌詞の魅力


記者:小池直也

撮影:

掲載:18年03月14日

読了時間:約16分

休符は休みじゃなく音楽

――では、お2人が最近よく聞かれる音楽は何でしょう?

山田姉妹

山田華 私は最近ずっと秦基博さんが好きです。そういう感じなんですよ。その時に勉強しなければいけない曲以外では、他にもコブクロさんやポルノグラフィティさんとか。高校生の時はJーPOPしか聴かなかったので、その頃のCDとか引っ張りだして聴いています。

山田麗 私はビージーズ(映画『サタデー・ナイト・フィーバー』の音楽でも有名)がずっと好きなんです。「How Deep Is Your Love」が大好きで、中学生の時にお店で探して、ようやく見つけた思い出があります。今でもずっと聴いてます。最近のJーPOPはあまり詳しくないです。

山田華 歌う事に関しては、この曲が苦手というのはなくて。歌詞がきれいだからとか、そういう理由で歌っている気がします。

山田麗 その好きな曲リストの中にクラシックもJーPOPも洋楽も入っているので絞れないですね。

――実際のレコーディングは、普段のホールなどで歌うのと違う環境だと思いますが。

山田華 どうしてもコンサートの時は近い距離感で、お互いの生声が聴こえるし、見なくてもどこで息を吸うかも感覚的にわかっています。曲を決めれば、ブレスの音だけで今すぐ歌い出せるくらいな感じ。

 でも、どうしても今回のレコ-ディングは録音ブースが離れていて、お互いの声をヘッドフォンから聴く状態でした。だからどこに合わせたら良いか慣れるまで苦戦しました。声帯も姉妹なので、自分の声なのか相手が出した声なのかわからなくなってしまうこともありました。

山田麗 特にユニゾンの伸ばす音とかが本当にぴったり合うと、そこから出たくなるんですよ。私たちも解説できない感覚なんですけど、その状態から逃げたくなる様な。どっちの声かもわからないということで、どちらともなくズレてしまう。そういうことがたまにあるので、ヘッドフォンだけでユニゾンを決めるのが大変でした。合い過ぎてしまって逃げたくなる感覚。

山田華 また、自分の声を聞くモニターを付けてしまうと難しくなってしまいます。だから生声の方が得意ですね。聴こえちゃうと、どちらの声かわからなくなってしまうので「声を下げてください」とお願いしています。

山田麗 前作はそれでも顔は見れる環境だったんですよ。相手の顔を見ないレコーディングは今回初めての経験だったので、苦労しました。

――マイクを使って歌う事に抵抗はないんですか?

山田華 ないです。

山田麗 むしろ楽しい。

山田華 収録した曲なんかは、歌うというか言葉を語る感じですね。張り上げるのではなくて、マイクに向かって拾ってもらうということを考えています。オペラは生歌、こういう曲はマイク、という方がやりやすいです。

山田麗 今まで音大を卒業してすぐの時はメロディをただ歌うという事に一生懸命だったんですけど、前作から言葉を伝えることに重きを置く様になりました。言葉を伝える為の手段がメロディであると考えた時に全くマイクに抵抗がなくなったんです。

――つまり、メロディよりも言葉の方が上位だと。

2人 うーん。

山田麗 そう言われると難しいですね(笑)。どちらもなくてはならない、それこそ「2つで1つ」みたいな。

山田華 伝え方が難しいですけど、ハーモニーも私たちの武器。歌詞がより光るハモりはどんな感じだろう、というところからアレンジも1作目から考えています。その辺りはこだわっているところです。

山田麗 言葉を伝えるためにそのメロディをいかに磨くか。届けやすくするためにはそこも努力しなければいけないものなので、どっちがどっちとは言えません。両方大事なんです。

山田華 休符などもキーポイントなんですよ。言葉だけじゃなくて「ここの息使いで雰囲気が変わった」とか「より歌詞がぐっとくる」というところまで聴いて頂けたら作曲の方も凄く嬉しいんじゃないですかね。

山田麗 確かに私たちが凄く合うところは休符だと思います。ブレスが凄く合う。それが音楽の始まりなので。休符は休みじゃなくて、そこも音楽。これも私たちの武器かなと。

――なるほど。お2人にそういう音楽的な解説を含めたワークショップを是非開いて頂きたいですね。

山田麗 実は、地元の逗子市で毎月『童謡の会』というのがあるんです。それは逗子文化プラザホールで「ここはこういう風に歌ってください」とティーチングしながら歌う会なんですよ。最初と最後でどれくらい変わったか比べたりして。結構私たちもそれが好きでやらせて頂いています。ご年配の方が多いので畏れ多いんですけど、私たちの知識をお分けできたらなと。

 でも本当に小さなことなんですよ。例えば口角を上げるだけで、響きが上を向いて明るい声になったりとか。本当にそういうすぐできることばかりで、みなさんどんどん上手になっていきますね。だから、やりがいがあります。

――新作発売後もコンサートがいくつか予定されていますね。これらに関しての意気込みはいかがですか?

山田華 デビュー前よりも私たちを知ってくださる方が増えました。コンサートでも喜んでくださるので、2回目3回目と来てくださった方に「前回よりも成長したね」と言って頂ける様に努力をしたいなと思っています。

 それから今回の「2つで1つ」は皆で一緒に歌う曲になったら良いなと思っています。さらにコンサート自体は「みんなでひとつ」みたいな形になる様な温かいものにしたいです。

山田麗 コンサートの会場は歌声だけではなく、感謝の気持ちも生でお届けできる場所です。なのでたくさんの方に来て頂いて、私たちも声を磨いて言葉を噛み締めて伝えられたら良いですね。

山田華 新作の曲を1度のコンサートで全てお届けできるかどうかはわかりませんが、なるべく多い曲数でしっかりパフォーマンスしたいです。

山田麗 そしてクラシックを歌う違う一面もぜひ観て頂きたいですね。

――では最後に読者にメッセージをお願いします。

山田華 今回の『ふたつでひとつ』は等身大の気持ちを込めて歌う事ができました。その気持ちをみなさまに届けられるように歌い続けていきます。色々な方々が応援してくださるので、より多くの場所で歌える様に頑張っていきたいなと思います。引き続き応援宜しくお願い致します。

(終わり)

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