休符は休みでなく音楽　山田姉妹、メロディで伝えたい歌詞の魅力

歌い継いでいきたい大事な日本の歌詞

――そんなメジャーでの経験が新作『ふたつでひとつ ?心を繋ぐ、歌を継ぐ』に繋がっていくのですね。今回は選曲も幅広い感じになっています。

山田華　私たちはデビューする前からずっと「日本語を大事に歌いたい」という目標を持っていました。前作でも、もちろんそれは大事にしていたんですけど。新作もより日本語が伝わる様な、歌い継いでいってもらえる様な日本語のきれいな曲をたくさん歌いたいなと選曲に取り組みました。

　特にタイトルにもなった「２つで１つ」という曲は、絶対今回のアルバムに入れたいと思っていた曲です。収録した曲の他にも100曲くらい候補がありました。前作も昭和の名曲から選曲するのが大変でしたね。でも、スタッフさんと相談しながら私たちに合いそうな曲、新しくチャレンジしたいものを選んだ13曲でした。

山田麗　前回取り組んだのは私たちが生まれる前の、現代ほど便利ではない時代に作られた曲たちでした。歌詞の内容も今じゃ考えられない様なものも多くて、想像したり考えることが多かったです。それを思うと、今回は等身大で歌えた気がします。前回と同じく「これからに歌い継いでいきたい大事な日本の歌詞を歌おう」と考えて選曲しています。

――お２人と同じく双子姉妹で活動している茉奈佳奈さんの「いのちの歌」のカバーも収録されていますね。

山田麗　この曲を初めて歌ったのが、もう７年前位なんです。地元の出身の小学校で「１／２成人式」というのが流行っていて。その小学校４年生に歌ってほしいと先生に頼まれて歌いました。その後、私たちの成人式の時にも歌ったのがこの曲なんです。

　歌詞を読むと「今生きていることは当たり前じゃないよ」という感じで、それをすっと届けてくれるので、私たちもこの曲を大事に歌っていきたいな、とずっと思っていた１曲です。もともとNHK連続テレビ小説『だんだん』の劇中歌で、母が「２人に合うかもよ」と教えてくれたのが歌うきっかけでした。

山田華　それこそ「２つで１つ」も母親の関係で見つけた曲ですよ。叔母がこの曲の作者である工藤慎太郎さんの大ファンで。その叔母が大病を患ってしまい、気持ちが沈んでいた時「２人にこの曲を歌ってほしい」とお願いされたんです。それでこの曲を知りました。「何て素敵な曲なんだ！」と思いましたね。

山田麗　タイトルからしてご縁を感じました。私たちも"２つで１つ"のことをしているし、曲の内容も凄く前を向く様に励ましてくれる曲。ドキっとして選ばせて頂きました。

――タイトルにされるくらいですから、相当なインパクトがあったのですね。

山田華　曲を聴いた瞬間に「アルバムのタイトルに良いかもしれない」と勝手に家族で盛り上がってたんですよ（笑）。それでスタッフの方々にも提案したら「良いかもしれない」と話が進みました。

　叔母も喜んでくれましたね。まだ治療中なんですけど、もっと元気になってくれたら良いなという想いもあります。これからも「山田姉妹の『２つで１つ』を聴きたい」と思ってくださる方が増えたら良いなと思っています。

――やはり姉妹で活動する事によって絆が深まるということは感じますか？

山田麗　深まったと思います。初めての現場でも助け合う事が多いんですよ。１人だけだったら心細くて立っていられないんじゃないですかね。本当に緊張するんですけど、お互いに助け合える事がわかっているので、それが自信にも繋がっていきました。

――お２人は大学も別々ですし、「いつも一緒」ということを避けていた節もあったのではないかと感じていました。そこはいかがでしょう。

山田麗　顔も違うし、性格も違いますし、二卵性なのであまり「私たちが双子で全部一緒」という姉妹ではありませんでした。なので、それぞれやりたいことを決めて進路を決めてきたんです。でも共通して好きだったのが「歌うこと」。そこだけが一緒だったので、今一緒に歌っています。

山田華　無意識にお互いを支え合っている感じですね。

山田麗　生活面でもそうですけど、歌もお互いの助け合い方とかも増々パワーアップしていると感じます。

――坂本九さんの曲が２曲収録されていますが、特別な想い入れがあるのでしょうか。

山田華　坂本九さんの曲はもっと入れたいくらいですが「涙くんさよなら」、「心の瞳」が日本語も素敵だし、可愛らしかったので選びました。たまたま並べてみてから「坂本さん２曲ある！」と気づきましたね。

山田麗　坂本九さんの歌からは気付かされることも多いです。

山田華　「心の瞳」は合唱曲として中学生時代に歌っていましたけど、その時は坂本九さんが歌っているということも知りませんでした。今回２人で歌うとなって、坂本さんが家族の為に作った曲ということも知りました。当時わからなかったことが今になって理解できて、私たちらしく歌えた事は嬉しいですね。

山田麗　前作ではピアノと歌だったんですけど、今回は念願叶って弦楽器の方にも参加して頂きました。「心の瞳」もカルテットで歌わせてもらったり、そういう経験も初めてでしたね。違うサウンドも聴けると思います。