暖かくなったり寒くなったり落ち着きのない日が続いています。筆者はちょっと暖かくなってくると、なぜか軽快なギターカッティングの曲が聴きたくなります。個人的に秋と冬はアコースティックギターのアルペジオが身に染みる感じで、そういった曲を季節毎に無意識にチョイスしている自分がいることに気付きました。

 ギターカッティングを説明すると手首を柔軟にして、“チャカツクチャカツク”と音を歯切れよく演奏する、パーカッシブなイメージのある奏法です。メジャーなものではEarth, Wind & Fire(以下EW&F)やChicなどで聴けます。アル・マッケイ(EW&F)とのナイル・ロジャース(Chic)のギターカッティングは必聴です。

 ギターを習っていた時にこの2人のプレイは大変勉強になりました。ギターだけで踊れるグルーヴ感は、今でもトップクラスで、多くのギタリストの指針になりました。絶妙な跳ね具合はモノにすることは難しいのですが、EW&Fの「Fantasy」とChic「Le Freak」という楽曲を良くコピーしていたのを思い出します。

 ギターはソロなども弾けるリード楽器の認識も強いのですが、もともとはリズム楽器でバッキング専門だったと聞いた事があります。派手なソロなどを練習してしまいがちですが、ギターソロは“歌モノ”の場合1曲のなかに20〜30秒ほどしかなくて、そのほとんどがバッキングで構成されています。

 なので、当時の先生からは、「プロになりたければソロを練習するよりも、カッティングなどのバッキングを練習した方が良い」とよく言われていました。ギターインストでもない限り確かにソロの比重は低いです。仕事では良いバッキングが弾ける人の方が重宝されるわけです。

 海外のミュージシャンのグルーヴはもちろん絶品なのですが、邦楽でも山下達郎さんの「SPARKLE」で素晴らしいカッティングが聴けます。これはスタジオミュージシャンではなく、山下達郎さん本人が弾いていると聞いてビックリしたのを覚えています。

 そして、山下達郎さんのバックも務めているスタジオミュージシャンの佐橋佳幸さんがギターを担当した小田和正さんの「ラブ・ストーリーは突然に」のカッティングも玄人好みのグルーヴ。歌に寄り添いつつも主張するギターは職人技です。コピーしたくなる1曲です。

 そして、最近の音源では、昨年10月にリリースされたCHEMISTRYの再始動シングル「ユメノツヅキ」のカッティングも至高のグルーヴとトーンが聴けます。マサ小浜さんというギタリストで、洗練されたサウンドで楽曲をより印象付けています。

 是非、アレンジにも耳を傾けてみてもらえると、その楽曲がどういったアプローチで成り立っているのかなど、新たな発見があると思います。名曲に名アレンジありといったところでしょうか。【村上順一】

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