自分を信じて突き進む、石川綾子 平昌五輪フィギュア選手に捧ぐ
INTERVIEW

自分を信じて突き進む、石川綾子 平昌五輪フィギュア選手に捧ぐ


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年02月14日

読了時間:約12分

選手のストイックさに共感して出来た「『BELIEVE』」

――待望の音源化が多く集まったアルバムですね。その中で、今回のアルバムで核になるのがオリジナル曲の「『BELIEVE』」だと思うのですが、着想はどういったところから始まったのでしょうか。

石川綾子

 アルバム自体が日本の選手に向けた応援アルバムになるように、「『BELIEVE』」も応援歌として作曲させていただきました。でも、作っているうちに私自身への応援歌にもなったのではないかなと思っています。

 今までのオリジナル曲はコンサートでも披露してきて、そのなかでもリクエストの多い曲を収録させていただくことが多かったのですが、今回はこのアルバムのために「応援歌を作りましょう」ということになって、書き下ろした曲だったので、ゼロからのスタートでした。それが、何十曲作ってもどれもOKをいただけなくて…。締め切りまでにというのが今まであまりない経験だったので、「なぜダメなんだろう」と悩んで悩んで、締め切り当日の朝に書いた曲が通ったんです。ほんの数日で、あんなに何十曲も書いた経験は初めてでした(笑)。

――ギリギリでしたね。

 そうなんです。自分の中で苦しんでいる時に書いた曲で、「頑張れ」というものがすごく入っている曲だなと思います。実は「もうオリジナル曲入れなくてもいいのでは」というお話までいったのですが、諦めたくなくて。「もう一回、もう一度」という想いをサビの繰り返しのフレーズに込めています。「もう一回、もう一度」という想いをメロディーで表現したかったんです。挫けず諦めない思い、自分を信じて突き進んで行くという想いを込めたのが「『BELIEVE』」というタイトルに繋がりました。

――でも、ボツになった曲は何がダメだったのでしょうか。

 私にもわからなくて…。何がダメだったのかわからないまま、毎日自問自答しながらの制作でした。でも、「『BELIEVE』」は一気に大絶賛で(笑)。きっと、あのボツになった曲や、何を書いても喜んでもらえない時のあの泣きそうで、でも諦めたくない気持ちがあったからこそ、書けた曲なのかなと思います。この曲に辿り着けて良かったなと思っています。

――「『BELIEVE』」はラテンのテイストもあって気持ちが上がりますよね。

 ラテンで石川綾子らしさを出したいなと考えていました。フィギュアスケートの選手は自分の限界に挑戦されていらっしゃるところが、素晴らしいなと思うとともに、おこがましいのですが、私自身もそこにすごく共感させていただいて…。

――私は石川さんとアスリートの方が重なる部分は多いと思います。石川さんもめちゃくちゃストイックじゃないですか。

 ありがとうございます…!自分の中ではフィギュアスケートの方達がストイックに追い込んで行く姿に共感、そして感動してしまって、そこを表現したいという想いから出来た曲なんです。

――そうだったんですね。あと、個人的に気になっているのが、『』でタイトルが括られているのはなぜでしょうか。

 今までのオリジナル曲も全て『』になっています。最初の何曲かを無意識にやっていたら、「あれっそういえば全部『』だね」と気付きまして(笑)。

――そこに深い意味はなかったんですね(笑)。

 続けてきたことだったので今回も『』にさせていただきました!

――以前コンサートでもインストには歌詞がない分、人それぞれの物語があると仰っていましたが、その中でもタイトルが唯一の言葉であり、それを強調したいという思いが無意識にあったのかもしれませんね。

 そこで皆さまが想像されるものが決定されると思うので、確かにタイトルはものすごく考えます。いろんな方に共感していただけるようなタイトルを心掛けています。私は「自分を信じて頑張る!」という気持ちを込めて書いたのですが、捉え方は人それぞれだと思っています。歌詞がない分、この曲を聴いて何を信じるか、自分自身が立ち向かおうとしていることに対して、自分自身を応援してもらえたらとも思います。

――変な質問かもしれませんが、石川さん自身は自分を信じられなくなったことはありますか。

 自分自身を信じられなくなることはあります。逆にわざとそこに自分を持って行くこともあります。例えばコンサート前とか「本当にこれでいいのか」と「しっかり弾けているのか」「全然だめじゃないか」と自分を疑って気持ちを滅入らせることもあります。そこまで追い込んだ後の演奏って違う世界に行けるんです。

――私には想像がつかない世界です。その方法論に気付いたのはいつ頃だったのでしょうか。

 高校生の時に様々なコンクールに出ていた時に、「このくらいで大丈夫かな」と思った演奏と本番前日まで「これではダメなんじゃないか」と滅入って、最後に追い込みをかけた演奏では全然違うということに気づきました。もうそれからは自分を疑ってばかりです(笑)。

――逆に自分は出来ると信じてステージに上がる人もいますよね?

 私も自分を疑うのは前日までで、当日はもう違う世界にいるので大丈夫です。当日もそのモードだったら楽屋から出てこれないかもしれません(笑)。

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