青春がキーワード
――そんなMINT mate boxの2nd E.P.『beside』ですが、昨年リリースした1st E.P.『present』とは、どんなところが変わりましたか?
mahocato バンドって、ライブ活動を経てCDを出すことが多いと思うんですけど、私たちは昨年4月に1st E.P.『present』をリリースした後に、初めてライブをやったんです。右も左もわからず、何がいいライブなのかもわからず、それでもライブを続けていく中で、自分たちを見に来てくれる人にどんな曲を届けられるかをすごく考えるようになりました。
そうした経験を重ねて作った作品だから、今の私たちの気持ちや私たちらしさが、すごく詰まっているものになりました。ライブを経験したことで、1st E.P.とは声も歌い方もすごく変化していて、自分でも幅がすごく広がったと実感しています。
KJ 今作は、アレンジもすごく考えました。1st E.P.はシンプルにデモを作り、それをいかに上手く演奏するかだったのですが、今作はライブを重ねていった中で、バンド内での自分の立ち位置などを自覚して、その上でやりたいアプローチやアイデアがたくさんできて。夏から作っていたんですけど、一回レコーディングして、またアレンジを練り直してレコーディングをし直すという感じで、結果的に年末までかかりましたけど、すごく時間をかけてじっくり作ることができました。
やすだちひろ 曲の中にライブで盛り上がれるカ所を作ったりとか、よりライブを意識した作品作りができました。
――1曲目に収録の「メイクキュート」は、女の子ならではの世界観の曲ですね。
やすだちひろ <メイクキュートの迷宮で>というフレーズから曲を膨らませていて、歌詞の言葉遊びが面白い曲です。歌詞は、女の子がデート前にメイクをしながら、いろいろな作戦を考えるんですけど、私も学生時代は同じようなことを思っていましたね。デート中にどういうタイミングで振り向いて、どういう表情をするとか、相当細かく作戦を立てていて。だから男の子はこれを聴いて、「女の子はこんなこと考えてるんだ」って、知ってもらえたらうれしいです。
mahocato この『beside』は、全体に女の子の取り扱い説明書みたいな感じだと思いますね。特に「メイクキュート」は、私も10代の時に思っていたことで、歌詞を読んで改めて「そう言えばそうだったな」と気づいたことも多かったです。
――「ラブラブファイヤー」は、ノリのいいライブチューン。
やすだちひろ 私たちの最初の曲「リサイクル」ができた時に、Twitterで「初めてできた曲のタイトルは何でしょう?」というクイズをやったんです。その選択肢が「リサイクル」「リサイタル」「リアクション」、そして一個ぜんぜん違った答えで「ラブラブファイヤー」も入れていて。それを曲にするあたりが、MINT mate boxチームの面白さだったりします。歌詞も覚えやすいので、ライブで初めてプレイした時に、とても盛り上がったことを今でも覚えています。
――「ストリート」という曲は、ちょっと切ない感じもあって。
mahocato このE.P.の中で、他の曲とは違ったアプローチの曲を作りたいとスタッフを含めて考えていたところ、元々私が弾き語りをやっていたこともあり、アコースティックメインの曲を制作することになりました。歌詞には、私自身の経験も詰まっています。英語の道を進んでいたのに、ひょんなことから音楽の道を進むようになって。でも前にやっていたことも、出会った人も、全部が今に繋がっていて…。何か夢を持ってる人とか、自分の道に悩んでいる人に、この曲を聴いて何かを感じ取ってくれたらうれしいです。
――タイトルの『beside』は、「側に」や「近くで」という意味ですけど、どうしてこういうタイトルを?
mahocato 大小の差はあれど何かしら悩みを抱えている人たちのすぐ側で、背中を押してあげたいです。常にみんなの隣にある音楽でありたいと思って、こういうタイトルを付けました。でもそれはバンドとして、常にテーマとしていることでもありますね。
――今後は、バンドとして何か目指しているものはありますか?
やすだちひろ “青春”という言葉は、活動する上でのキーワードだと思っています。大人になってからでも、こうやって挑戦できることがあるのって、すごく夢があると思うし、人は年齢に関係なく青春を感じるものだと思うんです。そういう何かに熱中する気持ちや、バンド結成の成り行きとかメンバー各自の生き方とかを含めて、音楽を通して提案できるバンドになっていけたらいいですね。
――最近はフレンズとかORESAMAとかSHE IS SUMMERとか、90年代リバイバル的な感じのバンドが増えていて、一つのシーンができつつありますね。
やすだちひろ そのシーンで、まるごと盛り上がっていけたらいいなと思っています。ロキノン系も格好良くて好きだけど、それとはまた違ったバンドの楽しみ方が、このシーンには広がっています。私たちが、このシーンを引っ張っていくような、大きな存在になれるように頑張りたいです!!