ずっと模索していた、喜多村英梨 “声優の歌手像”という個性
INTERVIEW

ずっと模索していた、喜多村英梨 “声優の歌手像”という個性


記者:佐伯敦史

撮影:

掲載:18年01月23日

読了時間:約10分

歌詞に散りばめられた「キタエリ語」

――約2年の充電期間を経て、昨年3月にミニアルバム『Revolution 【re:i】』を久々にリリースしました。

喜多村英梨

 アーティスト活動をお休みしている間も、自分の音楽観については色々と考えていて、今回また活動再開させていただく際に「私はこういう方向でやっていきます」と意思表示をしようと思いまして。今は「エグみの強い曲を女性が歌い上げる」というスタイルでやらせてもらっています!

――「妄想帝国蓄音機」でも、その流れを汲んでいるんですね。

 そうですね。まず、10月に東京・かつしかシンフォニーヒルズで開催したワンマンライブ『Nightmare † Alive 2017』でレーベルさんに「一緒にやりましょう!」とお声がけいただきました。その際にリリースするCDの表題曲が『gdメン』というアニメのOPかED主題歌として起用されることも聞きましたので、取りあえずOPテーマとEDテーマ、どちらがきてもいいようにと2曲作りました。

 『gdメン』の前身とも言える『gdgd妖精s』というアニメ作品の内容がとてもカオスなんです。私もそういう尖った部分を大事にしているということもあり、リンク性は重要視したかったんですね。

 毎回、キャラクターたちの会話劇の中にブラックユーモアや有名作品のパロディなど、様々な要素が詰まっているんですが、私たちが普段気の置けない人たちと話していることと通じるところもあったので、そのカオスっぷりを曲で表現したくて。「妄想帝国蓄音機」も、どこか胸焼けしそうなタイトルにしたいという思いを込めて付けさせていただきました。勘のいい人はお分かりかも知れませんが、テイチクさんが元々「帝国蓄音機商会」という社名だったところも曲名にかかっています。

――喜多村さんは詞を書く上でもこだわりがあるそうですね。

 「キタエリ語」と言ったら大げさかも知れませんが(笑)、歌詞カードをパッと見て「これは喜多村英梨が書いたものだな」とすぐに分かるような詞にしたい、というのはあります。今回で言うと「∞(普通は無限大と読む)」を妖精の羽根になぞらえたり、「!」や「?」マークの数にも意味を持たせたり、眺めているだけでも、深読みしていただいても楽しめるようにしています。

 それと自分自身ではあまり得意というわけではないですが、漢字がすごく好きなんです。海外の人にも日本の「ソウル文字」とも言える漢字を楽しんでいただきたいな、と思ってアートな歌詞カードを目指しています。

――ライブ時には「コール表」としても使えます。

 はい、歌詞を見ていただくと分かるかと思いますが、合いの手がどのように入るかが一目で理解できるような作りにもなっていますので、一緒に叫びたい方はぜひ参考にして下さい。また、CDのリリースイベントではライブ時にやって欲しい振り付け講座なんかもやっていますので、もし機会があればお越しください。

――今回はミュージックビデオもかなり凝っていますね。

 映像に意味を持たせつつも、あっという間に駆け抜けていくような、観ていただく人に刺激を与えるような作品にしたい、と提案させていただきました。そのためには、費用もかかるかも知れませんが「CGはどうかな?」と考えまして、制作をお願いさせていただきました。2018年1発目のリリースということもあって、とにかくインパクトを与えたくて、良くも悪くもご覧いただいて感想を持ってもらいたかったんです。

 衣装に関しても、最初は「悪魔みたいなツノがいい」ってリクエストをしましたが、ラベンダーの枝を使ったしっかりしたものが上がってきましたし、衣装も一点ものということで、どこまでもこだわり抜いた映像に仕上がりました。

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