普段はOL、わたしのねがいごと。等身大の歌が人気 素顔に迫る
INTERVIEW

普段はOL、わたしのねがいごと。等身大の歌が人気 素顔に迫る


記者:木村武雄

撮影:

掲載:18年01月17日

読了時間:約15分

ライブの印象

 インタビュー中は終始、笑顔が絶えなかった3人。その印象からはごく普通の20代の女性だ。しかし、ライブとなると異なる。昨年12月に、東京・代官山でおこなわれたワンマンライブでは一瞬にして引き込まれた。彼女達がにわか人気を集めている理由が分かった気がした。記者がそこで感じた内容を以下に記して結びとしたい。

 昨年12月某日。都会はすっかり冬景色。東京・代官山駅からほど近く、地下にあるライブハウス。エレベーターを降りた先に暖色の光が漏れる。その光に導かれるように歩を進める。店員に案内されて入ると、目の前は観客でびっしりと埋まっていた。この日は座っての観覧。どういう音楽を見せてくれるのだろうと期待しながら登場を待つ。

 程なくして、カラフル衣装に身を包んだ彼女達がドラムとベースのサポートメンバーを連れてステージに現れる。所狭しと並べられた楽器。その合間を縫って移動し、それぞれ陣取る。黄のひかる、赤のろみ、青のちほこ。そして、互いに目を合わせる。笑顔や仕草、表情からはごく普通の20代の女性だった。ろみは観客に背を向けて間を整える。カウントの合図で振り向いたろみの表情は一変した。歌に憑依するように異なる人格が表れる。和やかな雰囲気だったが彼女が振り向いた瞬間、その圧倒的な存在感に観客が引き込まれていく。

 息を飲む。そして歌う。顔を撫でるような粘り気のある歌声が場内に広がる。空気を一瞬にして変えた歌声には優しさがあった。歌を通して見えるのは星空が広がる夜更け。暖炉で温まった部屋から窓越しにその光景を見るような雰囲気にも似ていた。そのような感覚のもとで届けられる曲の物語は同世代の女性達の日常が描かれているようにも目見えた。共感――。きっとそういう感覚を抱くだろう。

 ろみの所作もその世界観を際立たせた。細く伸びる指先。それをメロディに合わせてしなやかに揺らす。繊細な心模様を表現しているよう。その一方で、時折突き放すように鋭い眼光を送る。彼女は気まぐれな猫のようだ。

 そんな彼女の独特の歌声に色を加えるのは、ギターのひかると、キーボードのちほこだった。ひかるは曲によってエレキギターやアコースティックギターを持ち変え、ちほこは多彩な音色を組み合わせて様々な音の情景を作り上げていた。そして、2人のコーラスも映え、彩りを加えた。3人の歌声が合わさったときに広がるカラフルさ。

 ひかるは弾き語りながら笑顔をみせる。ちほこもそうだった。そして、ろみは手や表情、歌声をもって目の前に広がるキャンパスに色を塗っていく。等身大の曲だが、日常でいて日常ではない、そんな不思議な空間がそこにはあった。

(おわり)

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