ひかるの葛藤、仕事面でも…
――『きこえる』のために30曲を作ったと聞いています。
ろみ 曲を作る以前に「変わりたい」という気持ちがあったんです。「変わりたい! 変わりたい!」と凄くもがいて作っていって。なかには似たような曲もあったけど、でも作りに作って、そして、だんだんと意識が変わっていった。自分の気づかないところで勝手に成長していったところはあって、でもそれは後に振り返って初めて「私、変わったな」と気づきました。
――葛藤があったというのは、その代官山でのライブでも話されていました。6月に開催した青山の月見ル君想フでワンマン以降、葛藤と変化があったと。それはなぜ?
ちほこ 次のアルバムをどういうものにするかで悩んでいたんです。やっぱり新しいこともしていきたいけど、私達のこれまでの“癒し”とか、静かな感じの曲というのが覆っちゃうから、それをどう変えていこうかというのに悩んだというか、難しいと。どうやってやれば…というのを3人で凄く話し合って、結果、「自分達が本当にやりたいことをやろう」ということでまとまったんですけど、凄く悩んだ時期でした。
――それぞれにも葛藤があった?
ちほこ それぞれが悩んでいた時期だと思います。3人でももちろん話したけど、一人ひとりが凄く考えたというか。
――このライブでひかるさんは言葉で発するのが苦手という話をしていました。
ひかる いろんな側面があったんですけど、2017年の1年間が一番、皆の意識が変わったと思います。考え方や動き方も変わった。私は普段、化粧品会社に勤めているんですが、仕事面でも色々と新しいことがあり、いっぱいいっぱいになるときがあって。自分のなかでのもがきと新しくなっていくことへの不安が入り交ざっていました。それは音楽面でも。バンドを始めて2年経ったときに、これまでアコースティックギターだけでやっていたものを、エレキギターでもやろうともなって。そのなかで「このままでいいのか」と。音楽を始めた当時を思い返す、原点回帰を繰り返しながらもがいていました。
――意識的にはポジティブ? それともネガティブ?
ひかる どっちもです。活動のコンセプトとしては「人々の生活に寄り添う」ということを謳っていますが、自分達が何を本当にやりたいのか、ということを改めて考えて「カラフルな曲達で寄り添う」という新たなコンセプトを入れたり、これまでとは異なる一面を見せていこうということにもなって。でも、今までやってきたこともあるし、今まで着いてきてくれたファンの方々もいるし、その人達が何を私達に求めて着いて来てくれたのか、ということを含めて今後どうしていくかと。それが一番悩みました。
――「3人が意見をぶつけた」と言っていましたが、自分の考えをぶつけて悩んで、その結果答えは出ましたか?
ひかる 出ました。その答えはこの作品『きこえる』に詰まっています。今までやってきたことは無駄ではないし、それを続けていくという方向もありつつ、私達の強みである「いろんなことができる」ということを再確認ができて、これからいろんなことに挑戦して形にして。これからは変化も楽しみながらやっていこうという気持ちになりました。
ろみの葛藤、曲作りの葛藤
ろみ 私も葛藤はありました。私は思ったら行動に移す性格で「私はこうやりたい、こういうのがやりたい」というのがまず先にあって、「きこえる?」というポップな曲もやりたいし、「終電間際」のような大人っぽい曲も歌いたい、いろんなものをやりたい。
――ではろみさんとしては曲調が変わっていくことに抵抗はなかった?
ろみ そうですね。私自身、歌を選ぶときは直感なんです。新しいことをやりたいというのが今回、直感としてありました。2人でやっていた頃から、声を張る歌や音がたくさんある曲、シンセが効いた曲など、いろんな歌を歌いたいというのはずっと思っていたんです。それで『きこえる』を作るというタイミングで「もっとカラフルなアルバムにしたい」、「わたしのねがいごと。はカラフルだよ」と印象付けさせたい気持ちが強く出てきました。
――曲作りでの変化は?
ろみ 音が少ないギターコードから「こういう感じがいいんだけど」と言って形にしてもらったり、自分で考えた歌を携帯電話に録ってそのデータを送るようなことをやっていました。でも、同じ作り方だったので似たような曲しかできなくて、葛藤が凄くありました。作った30曲でもたぶん10曲ぐらいは似ていると思うんですよ。本当にそこから抜け出したくて「どうしよう…」と。「じゃ、ドラムから入れてみよう」とか。自分が聴いたことのないメロディや楽器を初めに入れることで自分の頭に別の発想を印象付けさせたり。
――1回染み込んだものを取り払うのは難しいですよね。だから固定概念や先入観という言葉があると思いますし。
ろみ そうなんですよ。その葛藤はあって、なんとか30曲で修正はしました。「そっちいっちゃだめだ!」みたいな。
――意識改革だけでなく音改革もできたということですね。ということはこのアルバムはご自身にとって大事なものになった。一皮むけたというか。
ろみ はい。「今これが限界です」と言えるぐらい最高の作品ができました。
――「ダンス」はそのなかの1曲?
ろみ 葛藤期間中の7月にできた曲です。1日3曲を書いては送る、みたいなことをひたすらやっていて。そのなかでふと「ダンスって良くない?」というのが頭の中に浮かんできて。「ダンスって入れたい、明るいし。せっかく入れるなら3回ぐらい言っているのがいい、そしてリズムがある方がいい」と思い、こういう曲になりました。
ちほこの葛藤
――ちほこさんはいかがですか? ライブでは「自分なりの努力の仕方が分かった」ということも話されていました。
ちほこ アルバム『きこえる』のアレンジをしてくださったMaruta(Arata Maruta)さんが6月のワンマンに来てくださって、その時にMarutaさんと話して、音楽をやっていくためには音楽的知識や理論なども含めて意識を変えないといけないと思うようになりました。その意識改革によって曲を作る幅が広がって、自分達の曲にいろんな変化をつけられるようになって。それがあって自分達のやらないといけないことが分かったような感じでした。
――アレンジャーのMarutaさんの存在も大きかった?
ちほこ はい。それと、支えてくれる人達がいるから「頑張らないと!」と思えるようになったというのはあります。
――楽曲制作にはLunaccoさんも関わっています。「きこえる?」はLunaccoさんが書かれていますね?
ろみ Lunaの曲は面白くて、Lunaが私の心のなかにいるような感覚なんです。「きこえる?」や「眠れないなら一緒に歌おう」とか、曲の気持ちと私の気持ちの間にLunaがいるような。シンプルに私の気持ちを私以上に分かっているような感じです。Lunaの書いた曲はだいたい3回聴いたら歌える。3回聴いただけでなぜか全部歌詞を覚えている、無理して覚えないですっと入ってくるような。だから不思議。この曲は自分が作っている曲以上に入り込んで歌えています。この曲を最初に聴いた時は「凄い曲ができたな!」という気持ちでした。Lunaが作る曲は本当に最高です。



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