僕らの世代の今だから言える、THE ALFEE “結成45年”の矜持
INTERVIEW

僕らの世代の今だから言える、THE ALFEE “結成45年”の矜持


記者:木村武雄

撮影:

掲載:17年12月26日

読了時間:約20分

 来年結成45周年を迎えるTHE ALFEEが12月20日に、67枚目となるシングル「人間だから悲しいんだ」をリリースした。THE ALFEEの原点ともいえるフォークをフィーチャーした作風は、昨年6月発売の「今日のつづきが未来になる」から顕著に表れているが、前作「あなたに贈る愛の歌」ではクラシック要素を取り入れ、そして、今回はハード・フォークロックに仕上げた。彼らが常に言い続けているのは「続けることが大事」。長い年月を走り続けてきた彼らだからこそメッセージには説得力がある。今回の楽曲もそうしたものが表れている。そんな3人が転機だったと語ったのは75年のシングル発売中止。この出来事をどうエネルギーに変えていったのか。今はどのようにとらえているのか。今作、ライブへの思いを交えて話を聞いた。【取材=木村陽仁】

今だから言える

――今作のシングル「人間だから悲しいんだ」ですが、コンセプトは何でしょうか?

「人間だから悲しいんだ」通常盤

高見沢俊彦 来年結成45周年を迎えるので、アニバーサリー的な曲がいいかなと思っていました。僕らも還暦を迎えてきてある程度積み重ねてきたものがあるので、僕らの世代の今だから言えるようなメッセージソングを目指しました。

――「今だから言える」ズバリ、それは何でしょうか?

高見沢俊彦 例えば、「人間だから悲しいんだ」ということをデビュー当時19歳、20歳くらいの僕らが言ったとしても「何を言っているんだ」という感じなんですけど、ここまでやってきたグループがこういうメッセージを出すということは、ある程度許容されるのではないかという気持ちがあります。バンドがやってきたことも含めて、「人間だから悲しいんだ」というメッセージを自分達のサウンドで表現しました。

――サウンド面では「今日のつづきが未来になる」からアコースティックギターがフィーチャーされています。

高見沢俊彦 そうですね。ここのところそういうのが続いていますね。本質的にはTHE ALFEEの良さというのは3人のコーラスだと思うんです。アコースティックなグループで始まっていますから、ベーシックなものはそこにあると僕は思っているんです。そこから派生して、ロックやプログレとかいろいろありますけど、原点というのはやっぱりそこにあると常に思っているので、「今日のつづきが未来になる」そして「あなたに贈る愛の歌」、そして今回の「人間だから悲しいんだ」と、ちょうど上手い形で3つが連動している、そういう気持ちにはなりましたね。狙った訳ではなく、たまたまなんですけどね。

オーディション

――今回は坂崎さんが歌っていますが、坂崎さんが歌うとなった背景は?

高見沢俊彦

坂崎幸之助 オーディション!

高見沢俊彦 3人が歌えるキーだったのでオーディションをやったんです。

坂崎幸之助 たまにやるんですよ! オーディション!

高見沢俊彦 決まらないときは。

坂崎幸之助 だいたい決め打ちでね、高見沢が「これは桜井だな、これは自分だな、これは坂崎だな」と、作るときに決まっていることも多いんですけど、3人とも歌えるキーで、3人のを聴いてみたいというときはオーディションをして、3人の歌を録った後に客観的な聴き方をしてと。

――3人で聴いて決めるのでしょうか?

坂崎幸之助 (高見沢俊彦が)審査委員長。

高見沢俊彦 審査委員長じゃないですけどね(笑)。ワンコーラスではなくて、全員フルコーラスで歌うんですよ。僕は立ち会っていますけど、それを聴いて「だいたいこんな感じかな」と「俺はないな」と自分では思っていたんですけどね、前のシングルでも歌っていますから。どういう感じで聴こえるか、というのをね。オーディションはよく昔にやっていたので、結成45周年でオーディションで決めたというのも面白いかなと。普通は出来ないじゃないですか。3人歌えるからさ、1人のリードボーカルがいて、ではないからそれをやれるわけであって。桜井が歌うことがシングルでは凄く多いんだけど、そういった意味では坂崎が今回の曲には一番ハマっていたというか、凄く良い感じでした。

――坂崎さんの歌を聴かれたとき、どういう印象を持たれたんですか? 

桜井賢 やっぱり歌のリズム感とか、声質のドライなところや、ハードに入っているところとか、そういうところでは一番合っていると思います。得意分野ですけどね。

――アコースティックギターと相性が良い声というのもあるのでしょうか?

高見沢俊彦 そういう訳でもないけれど、こういう楽曲には坂崎の声は合うなという感じがしますね。「今日のつづきが未来になる」は桜井の方が合うし、曲の雰囲気によって違うんじゃないかなあ…。フォークをずっと好きで歌ってきたという感じは出ているよね(笑)。

――坂崎さんはどのような気持ちで歌われたのでしょうか?

坂崎幸之助 気持ち的には確かに、僕らが聴いてきたフォークロック調の曲なので、それ風な感じというのは自分の中でありましたね。柔らかい声よりもちょっとハードめの。あとはさっき言われたリズム面で、ストローク中心の曲だったので、弾いて歌っている感じかなと。

――エモーショナルな。

坂崎幸之助 そうですね。

――ギターでも印象はそれぞれあると思いますが、アコギは悲しげな部分、エレキは怒りの部分、という印象も受けることがあるのですが、そういった感情が湧く、ということを踏まえて、楽器を選択されることはあるのでしょうか?

坂崎幸之助 それはどっちもあります。エレキだからハードであったりとか、なにかにぶつけるというだけではなくて、エレキでも凄くメロウな曲があったりするんです。アコースティックでも強いメッセージを発する曲もあるんです。アルペジオで静かに弾く場合は、心情的というかそういった曲が多いですが、ストロークでかき鳴らす場合は意外と攻撃的な曲もあるんです。

高見沢俊彦 今回はそっちの方ですよね。

坂崎幸之助 先ほど言われたエモーショナルな感じでね。

高見沢俊彦 アコギでハードなもの、というイメージですからね。

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