シンガーの青山テルマが20日、東京・恵比寿LIQUIDROOMで『LIVE TOUR“10TH DIARY”2017』のツアーファイナル公演をおこなった。このツアーはニューアルバム『10TH DIARY』の引っさげておこなうというもの。テルマは「10年間色々な事があった」と、デビューからの様々な想いを込め全16曲を披露。盟友である清水翔太も駆けつけ2曲披露し、ツアーファイナルにふさわしいパフォーマンスでオーディエンスを魅了した。【取材=小池直也】

スペシャルゲストに盟友・清水翔太

撮影=Junpei Yamada

 開演時間前には既に満員のLIQUIDROOM。オープニングVTRが流れただけで会場のワクワク感が伝わってくる。バックバンドに続いて、ピンクのツインテール姿でケーキを持ったテルマが、2人のダンサーを引き連れて登場すると、フロアからは大歓声。ここからテルマの10年を込めたツアーファイナルが始まる。

 1曲目は「パンケーキ」から。そこで手に持っていたケーキの意味を知る。そして、ダンサー2人に挟まれたテルマはクールなラップを展開。そしてエンディング後に呟いた「東京、一生祭だから」という呟きに会場の心は完全に奪われた。

 「東京、盛り上がる準備できてますか?」と煽り「TOKEYO」へ。ゆったり目なグルーヴに乗り込むテルマ。オーディエンスも手を挙げて音に身を任せる。フック(サビ)ではテルマとダンサーの3人でしなやかなダンスを披露。そしてファンキーなリフから「doctor doctor」に続く。ここではラップでなくメロディをマイクに吹き込んだ。観客にはダンスして楽しむ女性客の姿も。テルマはダンサーからの支持も厚い様だ。

 「元カレから電話」と着信音がスピーカーから鳴る小芝居から、「don't call me」。セクシーに踊るダンサーを傍らに、テルマは切なく歌い上げる。ビートが効果的に抜ける展開に合わせ、声も艶を帯びていった。テルマの一挙手一投足、そして言葉の一節一節に注目するオーディエンスの視線。

 「only care about you」では、DJと生演奏がつくる、人力/機械という境を越えた有機的グルーヴが新鮮な楽曲。観客からの合いの手も楽曲をサポートする。イントロで歓声が上がった「何度も」では、先ほどまでのR&B/ヒップホップの雰囲気とは一転し、Jボップの質感だった。多彩な曲調で会場を盛り上げる。

 ここでテルマの友人であるスペシャルゲストの清水翔太が呼び込まれる。清水は「Whats up Tokyo!」と叫び、クリスマスにちなんだ全身赤の衣装で登場。そして演奏されたのは「Money feat.清水翔太」だった。アクセントが極端に遅いトラップのビートの上で、テルマと清水がマイクをリレーして物語を編む。2人の仲の良さは一目(一聴)瞭然だった。

 MCでは「将太、来てくれて嬉しいわ。ありがとな」とテルマ。ここから2人の軽妙なやりとりが展開した。清水が「ハグする?」と話すと、テルマは「何で?」と困りながらも結局ハグする2人に会場は大盛り上がり。また「テルマの為なら何十曲でも歌うで」と清水が話すと、「ツイートされると怖いから(笑)」とタジタジのテルマ。

 楽しいMCの後は、2人でもう1曲「stay feat.清水翔太」。テルマは残響が響く声でしっとり歌い上げた。2コーラス目からは清水がバトンを受け取り、少し高めな音域で優しい歌声を聴かせる。後半のフックでは二人の声が重なり、カホンとアコースティックギターのシンプルなサウンドが声で重厚に変わっていった。

 続いて、テルマが「5、6年付き合った彼と別れた時に書いた曲」と語り「愛してるよ、さよなら、」を披露する。テルマは失恋の想いを、先ほどと同じギターとカホンと共に届けた。

一番嬉しかったのは仲間と分かち合えた瞬間

撮影=Junpei Yamada

 エンディング後、テルマが「皆も色んな物を抱えて来てくれてると思います。10年間いろいろな事があった。前に進む時は傷つくというきっかけが必要。だから前を向いて歩いていってください」と励ましのメッセージ。そして「WILL」。テルマが呼び掛けると、フロアで観客のスマートフォンのライトが揺れ、美しい光景が形成された。2011年の曲を今の気持ちで歌い上げるテルマ。歌い切ると「ありがとうございました」と頭を下げて、彼女はステージを後にした。

 ここからはバンドだけでの演奏。本日のバックバンドは、ギター・長崎真吾、ベース・フルタナオキ、ターンテーブル・DJ RYO-Zの3人編成。それぞれが自由なソロを聴かせた。次いで、ダンサー・suzuyakaとSakiの2人もパフォーマンス。

 その後、10年を振り替える短い映像が上映されてから、黒い衣装とポニーテールにお色直したテルマがステージに戻ってきた。そして、歌ったのは彼女の名前も一躍世に広めた「そばにいるね」。オーディエンスも合唱して、会場が1つになる。

 楽曲のエンディング後にテルマが上着を脱ぐと、その下には「10TH DIARY」と書かれたさらにカラフルな衣装が。会場からは歓声が上がり「この10年で一番嬉しかったのは仲間と分かち合えた瞬間」だと話し、「一生仲間」へ。明るい楽曲で踊る観客たち。そしてピースな空気感。

 ライブは既に終盤戦。ここで、この夜1番アッパーな「サマーラブ!!」でさらにテンションを上げていく。テルマがサビの前で「いくよー!」とリードして、会場全体がタオルを振って大はしゃぎ。セットリスト最後は「君が君でいてくれるから」。明るいサウンドのなかで手を左右にゆっくり振るテルマは、エンディングまで爽やかに歌いきった。

 ファンからのアンコールは「そばにいるね」の替え歌。<テルマの事待ってるよ♪>と歌うと、テルマが再びステージに。アンコールはギターとデュオによる「なんだかんだ」から。「この曲を聞いて明日の力にしてくれたら良いなと思います」とMCしてから、しっとりと歌い上げた。

 「次の曲にいきたくないくらい楽しかったです! 皆さんと会えて本当に嬉しかった」と告げ「SMILE AGAIN」。テルマは歌唱、ラップ、ダンス、ソウルフルなフェイク、心を掴むアジテーション、と最後まで変幻自在。そしてエネルギッシュだった。会場中に笑顔が溢れて、ライブは終了。元気をもらった、あっという間の2時間だった。

セットリスト

01.パンケーキ
02.TOKEYO
03.doctor doctor
04.don't call me
05.only care about you
06.何度も
07.Money feat.清水翔太
08.stay feat.清水翔太
09.愛してるよ、さよなら、
10.WILL
11.そばにいるね
12.一生仲間
13.サマーラブ!!
14.君が君でいてくれるから

ENCORE

EN1.なんだかんだ
EN2.SMILE AGAIN

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