内側をギュッと濃くした、片平里菜 石崎光が感じた未知の可能性
INTERVIEW

内側をギュッと濃くした、片平里菜 石崎光が感じた未知の可能性


記者:桂 伸也

撮影:

掲載:17年12月07日

読了時間:約4分

 シンガーソングライター・片平里菜の3rdアルバム『愛のせい』(12月20日リリース)の発売に先駆けて先月18日、都内で先行試聴会がおこなわれ、片平自身がサプライズ登場した。この日は作品プロデュースを担当した石崎光も出席。MusicVoiceでは試聴会後に、2人にインタビューをおこなった。【取材・撮影=桂 伸也】

 10月4日に東京・渋谷の代々木公園でおこなった路上ライブにて、アルバムリリースを発表したという片平。敢えてネットなどの告知に頼らず、この発表を行ったことに関して「ちゃんと真摯に向き合ってもうちょっと労力を掛けたい、と思った時に、私だったら何が私らしいかと思ったら、路上ライブで直接伝えるというスタンスがあっていると思って呼びかけました」と振り返る。

試聴会に出席した片平里菜×石崎光(撮影=桂 伸也)

 17日にようやく完成したばかりという今回のアルバムは、これまでとは異なり全体を通して石崎が関わることで、完成まで導かれた。片平は今年4月頃より楽曲についてのやり取りを石崎と行いつつも、アルバムの核となるタイトル曲「愛のせい」を生み出すまでに非常に苦労したことを明かしながら「より濃いものが広がる作品というよりは、自分の内側をぎゅっと濃くした作品になったと思うし、結果的にたくさんの人に刺さるものになったんじゃないかと思っています」と会心の作品をアピールする。

 作品は既に発表されている「結露」「なまえ」「lucy」といった楽曲から、片平が今年3月まで出演していたラジオ番組『カタコトラジオ』で披露していたというマニアックなナンバー「wash brain」などといった楽曲に加え「やっぱり今、25歳になった片平里菜が歌える曲を出したいとなった時に、今自分から出てくるものにフォーカスを当ててちゃんと向き合いたいと思い書きました」と、自身に真摯に向き合い書き上げた新曲を含む、11曲で構成されている。

 この日は抽選で選ばれた100人のファンが会場に駆けつけ、一足早く片平の楽曲を試聴。イベントでは片平への質問コーナーも設けられると、我先にとばかりに積極的な質問が投げかけられた。質問は「ライブのアレンジはどうしようと思った?」「(楽曲の)タイトル付けが特徴的ですが、どのように決めていますか?」「楽曲制作でインスピレーションを受けたものは?」と、制作に深く突っ込んだものの一方で「髪がサラサラですよね。普段使っているシャンプーは?」「ライブ中の声にとても衝撃を受けました。肺活量なんかを維持するために、普段から心がけていることは?」といった、距離の近いこの日ならではのものなど、幅広いものが飛び出し、片平も楽し気に回答、会場を沸かせていた。

 またイベント終盤には、片平が特別に収録楽曲「からっぽ」を生演奏、さらに多くの来場者の希望で収録曲「山手通り」をサービスとしてフル試聴と、来場者は片平とのプレミアムなひと時をたっぷりと満喫した。

 インタビュー内容は以下の通り。

試聴会に出席した片平里菜×石崎光(撮影=桂 伸也)

――今日のイベントの感想などはいかがでしょうか?

片平 現在、これだけコミュニケーションツールが発達したとはいえ、やっぱり実際に会ったりして触れ合うことがないので楽しかったです。またこうしてアルバムを一番先に聴いてもらいたいリスナーさんに届けられるのは、素敵だなと思いました。

――アルバムには今年3月にリリースされたシングル「なまえ」なども収録され、リリースの時期からも1年の集大成的なところも感じられます。今年もあと1か月半弱というところですが、今年を振り返っていかがでしょうか?

片平 そうですね…達成感が大きいですね。今までとまた違った感じで。シングル「なまえ」リリース後に、年頭には「アルバムを出したい」という気持ちではいたんですけど、年明けからずっと「このままではいけない」という危機感を抱えていまして。その時に光さんに助けを求めて一緒にやってくださいとお願いし、1年を通して1人のプロデューサーと向き合ってもらい作品を作ったのも初めてだし。

――何か成長したという実感みたいなところは?

片平 うん、すごく導いてもらいましたし。もちろん曲は自分で模索して絞り出しましたけど、光さんにより良い方向に導いていただいた感じがあります。

石崎 ただ実は、制作途中に里菜ちゃんは「すべてを捨てたい」みたいな感じにまでなったこともありまして(笑)。「すべてをリニューアルした片平里菜を出したい」くらいまで、当時は言っていて。

――山あり谷ありみたいな感じでしたね。

石崎 でもそれがいい方向に作用はしていたので、まあ今回だけでは終わらない、さらに高みに行く気配もしています。もちろん今回までの、現時点でのいいアルバムができましたけど、まだまだ行くんじゃないか、開けていないところがあるのではと。

――来年に向けてはいかがでしょうか? 年末にリリース、1月にツアーと、このアルバムに賭ける意気込みも感じられますが、一方ではマイペースに行きたい方向もあるのかと。

片平 そうですね。今回のアルバムも、行けるところまで行きたいですけど、私自身は良い歳の取り方をしたい。私の場合は、自然体が曲にも絶対反映されることもありますし。

石崎 里菜ちゃんは良くも悪くも器用な方ではないと思うので、着飾ったり書き過ぎたりすることは、僕からすると合っていない感じがするんです。

 対してよく話をする時に、すごく良い言葉を言うことがあるんです。それがそのまま歌詞に出たらもっとより多くの人に伝わるんじゃないか、という僕の思いがあるんですが、それが今回のアルバムでは割とできているのではと思います。

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