桑田佳祐が17日、新潟・朱鷺メッセで全国10箇所18公演の全国アリーナ&ドームツアー『桑田佳祐 LIVE TOUR 2017「がらくた」』の初日公演を開催。ロック、ポップス、ジャズなど様々なジャンル楽曲の幅の広さで観客を魅了した。5年ぶりとなる全国ツアー。桑田は「やっと皆さんに会えました」とツアーの幕開けを喜んだ。【撮影=岸田哲平】

5年ぶりのソロツアー

 6年半ぶりのニューアルバム『がらくた』を携えた、そのツアーの幕を開けた。桑田佳祐ソロとして全国をライブツアーでまわるのは、2012年の『桑田佳祐 LIVE TOUR 2012 I LOVE YOU –now & forever-』以来、5年ぶりとなる。

 今回のツアー、桑田佳祐ソロとして2回目の5大ドームを含むツアーだが、これは男性ソロアーティストとしては前人未到の偉業。上記最新アルバム『がらくた』の大ヒットをはじめとして、今年は、自身初となるBillboard Tokyoでのライブ、15年ぶりとなる『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』へのソロでの登場、故郷の茅ヶ崎を題材にした映画『茅ヶ崎物語 〜MY LITTLE HOME TOWN〜』への出演、CM出演など、例年にも増して精力的に活動を行った後の大規模ツアーということで、いかに桑田が今もなおシーンの最前線を走り続けているかを示すライブツアーだといえるだろう。

 開演前から会場では観客による大きなウェーブが波打ち、まだかまだかと桑田の登場を待ちわびる。いよいよ、開演。バンドメンバーが立ち位置につき、演奏がスタートすると、今までのライブの雰囲気とは趣が若干違い、ピンスポットの中、桑田がステージ上に登場。会場が割れんばかりの拍手の中、マイク片手にさもボブ・ディランかのごとく悠々自適に歌い始めると、会場いっぱいの8000人の観客からは大きな歓声が湧いた。その姿は孤高の音楽人である矜持に満ち、“歌手 桑田佳祐”の現在の姿をありありと見せつけるかのようだった。その桑田の意思をしっかりと感じ取ったかのように、会場全体がひとつとなり、ライブ冒頭より場内の期待と興奮は一気に最高潮に達した。

「やっと皆さんに会えた」

会場の様子(撮影=岸田哲平)

 この日の新潟の天気は秋晴れで、桑田が「我々の舞台も初日を迎えまして、新潟の皆さんが祝福してくれているかのようなありがたい空です。今日は本当にありがとうございます。やっと皆さんに会えました。皆さんお元気ですか? …今日は最後まで幸せによろしくお願いします!」と述べると、温かい歓迎の拍手に包まれた。

 「ここに来られたのも、『がらくた』というアルバムができたからでして、(メンバーを見ながら)ここにいる全員が力を貸してくれて、みんなのおかげで完成しました」と桑田は話し、8月に発売されたニューアルバム『がらくた』から「愛のプレリュード」「大河の一滴」「君への手紙」など、新曲であるにも関わらず耳馴染みのある楽曲が次々と披露され会場に鳴り響くと、いかにこのアルバムが近年のベスト盤ともいうべきパワーを持っているかを感じさせた。

 その後も新旧ヒット曲のオンパレードで、ロック、ポップス、ジャズ、バラード、ブルース…と桑田にしかなし得ない楽曲の幅の広さで会場を縦横無尽に彩っていく。大好評のうちに終了したNHK連続テレビ小説『ひよっこ』の主題歌「若い広場」が披露されると会場では大合唱が巻き起こった。

 そして、30年前のソロデビュー曲「悲しい気持ち (JUST A MAN IN LOVE)」で一気にボルテージをあげると、大ヒット曲を続けざまに投下し、会場はエネルギーと笑顔に満ちた熱狂の空間へ。そのステージは、長年にわたってヒット曲を生み出し続け、ソロ30周年を迎えてもなお進化し続ける桑田佳祐だからこそ実現できるものであることを確信させた。

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