成長させてくれる原動力 THE ORAL CIGARETTES 黒である意味
INTERVIEW

成長させてくれる原動力 THE ORAL CIGARETTES 黒である意味


記者:村上順一

撮影:

掲載:17年09月29日

読了時間:約15分

黒は必ずしもマイナスなイメージではない

鈴木重伸

――「BLACK MEMORY」というタイトルの着想は?

山中拓也 『亜人』の映画を観ている段階で、タイトルを「BLACK MEMORY」にしようと思い浮かべていました。『亜人』とTHE ORAL CIGARETTESの共通点が作品の中にいっぱい出ていて、『亜人』はグロテスクなシーンがあったり過激なシーンが凄く多いので、メジャーシーンに出てきにくかったのかなと、観ていて思ったんです。

 でも、東宝さんが『亜人』をやるとなったときに、今のトップの俳優さんがこれを演じて、人々がこれを受け入れる体制が付いているんだなということが、自分たちとリンクすると思いました。僕らも歌詞が過激だったり、ポップではないからラジオではかかりにくい、みたいな。

 そういうことで苦しんでいた時期もあったので、ブラックな所に共通点を感じました。それが日本の中心にくる時代も近いんだなと映画を観て思ったんです。ブラックってマイナスなイメージを持たれると思うのですが、僕らはこの黒を売り出してここまで来ていて、『亜人』もこの黒の世界をつくって、今こうして大々的にやるということが、映画と音楽で一緒に達成できた感覚があります。

――確かに黒はマイナスのイメージがあります。

山中拓也 黒って必ずしもマイナスなイメージではなくて、何で僕らが黒を押し出しているのかという理由をもう一度リスナーに問いかけたかったし、『亜人』とのコラボというのでブラックというのを最初に使いたいと思っていました。

 『亜人』は主人公の永井圭が、自分は普通に生きたかったのに亜人となってしまって、どう生きていくのかということをテーマに描いている話ではないのかなと思います。与えられた空間の中で自分がどう生きていくのか、親は選べない、生まれてくる環境は選べないなど、世の中の不条理がたくさんある中で生きていかないといけない、その中で自分が発信していくもの、生きていく理由などを『亜人』から凄く感じたので、それを僕らも歌詞にしようとしました。

――作品からそのテーマを感じ取ったわけですね。

山中拓也 「自分がステージに立つ理由って何だろうな?」と考えたときに、やっぱり「誰かを守りたい」という気持ちが今ここの段階でようやく出てきているんだなと思ったので、それを歌詞に落とし込んだんです。それには絶対に“MEMORY”が必要だなと思いました。今までの記憶も、これからの記憶もそうだと思うんですけど。

 人間=記憶と言ってもいいくらいなので、そこに自分達のテーマである“BLACK”というものと、“人間=MEMORY”を合わせて「BLACK MEMORY」というタイトルにしました。

――“BLACK”の持つ感情はネガティブで悪いものではない?

山中拓也 成長させてくれるための原動力だと思っています。それを“負の感情”なのかと考えたときに、何ならそういう感情がないと人間は成長しないと思うので、僕にとって“BLACK”は、かなりプラスなんです。マイナスのものがいっぱい自分に降りかかっていたからこそ、今の自分があるんだなとつくづく思います。逆に、ずっと能天気で何もない方がマイナスだなと思います。

中西雅哉 嫌なことがあっても、その場に手放さないで自分で持っておくことが自分にとってプラスになると思うんです。それを自分でプラスにすることがポジティブな力だと思います。

あきらかにあきら 努力して目標を達成したら、マイナスはプラスになると思うんです。やっぱり頑張れなくなったら終わりだと思うので。平和ボケしちゃうんですよね。常に何かに対して疑問は持っていたいし、憤りを抱えながら生きていた方が人間らしいと思うし、そういう人の方が魅力的なんです。一つの壁に当っても、絶対的な信頼がある4人で立ち向かって行くので、そういう希望と根拠のない自信を持って壁に向かっていくのが楽しいと思うんです。

鈴木重伸 僕はどちらかというと、マイナス思考な人間だと思うのですが、それをステージで曝け出したらプラスに変わったなというところがあります。そういう自分を受け入れたら、結局プラスに変わったんです。昔は自分のことが嫌いだったのですが、それを含めて、それがあるから変わったリフも出てくるのだろうし、そういう考え方に変えただけで前向きになったなと思います。考え方ひとつだと思うので、マイナスなことはこの世に存在しないと思うんです。

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