成長させてくれる原動力 THE ORAL CIGARETTES 黒である意味
INTERVIEW

成長させてくれる原動力 THE ORAL CIGARETTES 黒である意味


記者:村上順一

撮影:

掲載:17年09月29日

読了時間:約15分

 4人組ロックバンドのTHE ORAL CIGARETTESが27日に、通算8枚目となるシングル「BLACK MEMORY」をリリースする。6月16日に『UNOFFICIAL DINING TOUR 2017』の追加公演となった、バンド初の東京・日本武道館公演を経て、リリースされる今作は30日に公開される俳優・佐藤健が主演を務める映画『亜人』の主題歌に起用されている。絶命しても蘇生を繰り返す、新人類“亜人”をめぐる物語である同映画の“エンドレスリピート”というキーワードから、映画の暗くブラックな所に共通点を感じ『亜人』と自身を照らし合わせ制作していったという。山中拓也(Vo、Gt)は今作について、「成長させてくれるための原動力でもある黒は、必ずしもマイナスなイメージではない」と話す。その真意を聞くとともに、6月に開催された武道館公演の話から、次のステップに向かうべくバンドの成長過程にある現在の状況を4人に聞いた。【取材=村上順一/撮影=片山拓】

新しい視界を得たツアー

山中拓也

――夏フェスでの手応えはどうでした?

山中拓也 「掴んでいるな」という感触はありつつも、今まではライブハウスのバンドだったので、迷っていますね。第一章がライブハウスだとしたら、第二章でアリーナ編が始まっている感じです。武道館が終わって、大阪城ホールが見えてきて、そこから先の予定もどんどん決まっていく中で、自分達の今まで通りじゃ駄目だなと。アリーナでの説得力の持たせ方をどうしたらいいかなと。

――その武道館公演をおこなう前と今とではどう変わりましたか?

あきらかにあきら 想像とは全然違いました。ステージ上から見る自分達のお客さんだけで埋められた景色というのは、奈良の「なら100年会館」でやったときに若干近いんですけど、それとも違って凄く多幸感に溢れました。ステージに上がって前半はずっと緊張していました。「この感覚久しぶりだな」と思いましたし。

――その感覚はいつぶりでした?

あきらかにあきら 昨年の「なら100年会館」でもちょっと緊張したんです。ライブハウスやフェスではこういった感じの緊張はしなくなったのですが、指定席や、ホールのような上から見下ろされている環境に慣れるには、もうちょっと色々と必要なのかなと思いました。

――山中さんはどうでしたか?

山中拓也 「武道館ってこういうものなのだな」と、ステージに立って感じました。武道館までの間、リアルじゃなくてずっとどうなるんだろうなと考えているのが凄く良かったなと思いました。そう考えたのが自分の成長にも繋がったし、ステージにも繋がったなと思います。とにかく最高でした。本当に「これが最高か」というくらい幸せでした。

――鈴木さんはどうでしたか? 最後の記念撮影のときも凄い笑顔でしたね。

鈴木重伸 「お前のあんな笑顔見たことない」と知り合いのバンドマンに言われましたね(笑)。確かにあまり表情に出すタイプではないので、それくらい楽しくて幸せだったのだと実感しました。ステージングやパフォーマンスもしっかりできたという実感もありつつ、体力がゼロ以下になったのが初めてでした。アンコールは立っているのがめっちゃしんどかったです。今後、こういう大きさのライブをやるには体力を作っていかないといけないなと思いました。

――ペース配分を間違えた?

鈴木重伸 横に居てくれたギターテック(スタッフ)の人にも「そんなに飛ばして大丈夫なの?」って言われて、そういう状態になっていたんですね。緊張こそしていないものの、あの規模感のライブのパフォーマンスは、あの日やった感じで正解と思いつつ、それを更に引き上げられるくらいの力を身に付けていかなければいけないなと、終わってから思いました。

――中西さんはどうでしたか?

中西雅哉 僕は武道館までが調子悪かったんです。でも、ツアー後半はちょっとずつ調子が戻ってきた感覚があって、それを何とか武道館で戻さないとなと、日々試行錯誤していました。何が原因だったのかと。結局はっきり原因はわかっていないのですが、いつも通りライブはやり切れました。全部終わってステージを降りた瞬間の疲労感は今までに無かったです。多分、色々背負い過ぎたのかなとそのときは思いました。

――この『UNOFFICIAL DINING TOUR 2017』をやり終えて得たものは?

山中拓也 新しい視界を得た気がします。今までの世界から変わって、ひとつ抜け出して、新しい次の場所に来ているという感覚をもらった気がします。普段のプライベートのときも武道館からガラッと変わって、関わる人も変わってきました。喋っていて、これからの自分の為になる人と繋がったり。武道館前は食事や飲みには、全く行ってなかったんです。

――人との付き合い的な部分がなかった?

山中拓也 付き合い的な部分もそうですし、家で曲を作ったりランニングをしてトレーニングをしたり、一人で自分を追い込もうというモードでした。武道館が終わってからは、今は感覚的なものを身に付けないといけないんだなというモードになっています。

――ちなみに、楽器の練習は結構やりますか? フィジカルな練習と言いますか、スケール練習など基礎的な。

山中拓也 やります。ライブ前のアップなんて基礎練習ですしね。あまり練習という感覚ではないのですが。

この記事の写真

記事タグ 

コメントを書く(ユーザー登録不要)

関連する記事