キーワードは“エンドレスリピート”
――今作「BLACK MEMORY」の制作はいつ頃から?
山中拓也 武道館公演のタイミングには、ある程度形になっていました。
――監督の本広克行さんと随分話し合ったとお聞きしました。
山中拓也 最初から話し合っていた訳ではなくて、最初は「このシーンから流れます」と、制作途中のCGも何も付いていない状態で、映画を2時間観させて頂きました。その映画を観る前に、どういう楽曲を作ってもらいたいかという打ち合わせはしました。
“エンドレスリピート”というのが『亜人』のキーワードになっていて、そのニュアンスは入れて欲しいというお話があって、「フレーズかサウンドか歌詞に落とし込むかは好きなやり方でやってください」と。
――歌詞だけではなくキーワードをどこに入れ込むかというのは、面白いですね。
山中拓也 そうなんです。「THE ORAL CIGARETTESのライブの最後を締めくくるような楽曲になればいいですね」と。そういうイメージで作ってくださいと仰ってくれまして。ライブのことも考えてくれているんだなと、アーティスト思いの監督さんだなと思いました。
それを頭に入れながら映画を観させて頂いて、映画を観ている段階でメロディもだいたい頭に浮かんで、映画を観てからすぐに曲を作り始めました。ある程度バンドで形にするのは早かったんです。そこから「ブラッシュアップしていきましょう」ということで、イントロがやっぱり大事だという話になり、本広監督と話し合って作っていきました。
――確かにイントロから凄く耳に残ります。ハードロック要素が強い印象があります。あきらさんは今回の楽曲についてどう感じていますか。
あきらかにあきら 作りながらも作った後も、「どストレートだな」と思っていました。それはそれで正解だなと思っていて、拓也のデモが上がってきたときに、自分達はこういう曲をストレートに作ることもできるんだなと思いました。ハードロック要素やラウド要素というのは、その界隈と一緒に去年たくさん対バンツアーをしたし、今僕らが提示しても受け入れられるだろうなという自信もありました。
ハードロック要素もありますが、僕はこの曲は歌もちゃんと立っているなと感じます。いい所に落とし込めたんだなと自信をもって言えます。THE ORAL CIGARETTESらしい曲ができたなと。
――ギターがかなり目立つ仕上がりと感じますが、鈴木さんはアレンジ的にはどのように臨みましたか?
鈴木重伸 オールインしたコーラスパートがあるイントロは、歌っているコーラスの邪魔をしないようにということを意識しました。サビもヘヴィラウド系というのを出すんですけど、ミュートのパワーコードで音を下に重ねたりとか、何本かギターをプラスアルファして入れました。
――イントロの<Get it up>のコーラス部分は後から付けたのですか?
鈴木重伸 デモの段階からあって、ここが重要なポイントになるなと思っていました。むしろそこから作ったんです。
――ドラムは最後に?
中西雅哉 それも、最初は拓也が<Get it up>の声から入りたいというのがあって、そこをまずドラムと声で始めたいというのがありました。最初はもっとフィルターがかかったモジュレーションみたいな感じで、ギターが入ってくるというイメージで作っていって、それで監督から「頭からインパクトが欲しい」ということで今の形に変わりました。THE ORAL CIGARETTESにとっては今までにないアプローチになりました。