安室奈美恵

 突然の引退発表は世間を驚かせた。デビュー25周年を迎えた安室奈美恵が自身の誕生日でもある20日に、公式サイトを通じて来年に引退することを発表した。早すぎる引退に惜しむ声が挙がっている。

 90年代、歌唱力と愛嬌のある人柄で人気を集め、若者のファッションリーダーとしても慕われ、安室の姿を真似る「アムラー現象」も巻き起こった。

 ヒット曲は数知れず。なかでも97年にリリースした「CAN YOU CELEBRATE?」は200万枚を超える大ヒットを記録した。

 また、2000年には、九州・沖縄サミットのイメージソング「NEVER END」を歌い、サミット歓迎会では各国首脳の前で歌を披露した。

 テレビ番組などにも出演していたが、最近では露出は減少。よりアーティスティックな活動が目立っていた。

 近年のライブは、音と光を駆使した演出に加え、本編二十数曲を、ほとんどMCを挟まずにノンストップで届けていた。観衆に語り掛けるタイミングは、ライブを終え、ステージの去り際が多い。

 歌だけを聴かせるだけではなく、ダンスパフォーマンスを取り入れたダイナミックなステージング、しかもほぼノンストップ。アスリート級のストイックなパフォーマンスで完成度の高いライブステージは、目を奪われるほどの迫力だ。

 そこには安室がかけるライブへの強いこだわりと、それを可能にするための心身のバイタリティとエネルギーがあった。

 公式サイトによれば、来年9月16日に引退をするという。安室は「引退までのこの1年 アルバムやコンサート、最後にできる限りの事を精一杯し、有意義な1年にしていきたいと思ってます」と綴っている。

 現在40歳。野球選手などスポーツの世界でいうところの選手寿命に差し掛かっている。いまのライブパフォーマンスを維持するためには体力的な葛藤もあろう。しかも、全国ツアーの公演数も多く、昨年から今年にかけてのホールツアーでは自己最多の100公演をおこなった。1公演だけでも相当な運動量なのに、それを何公演もおこなうのだから相当なものだ。

 常に身を削りながら、高いポテンシャルを引き出し、最高のパフォーマンスに昇華させている。ライブへの並々ならぬ思いという観点で見た場合、このタイミングでの引退発表は合点がいくともいえる。そこには引き際の美学さえ感じる。

 今回の発表を受け、インターネット上には驚きと共に、引退を惜しむ声が多く挙がっている。ファンのみならず多くの人が驚いた今回の引退発表。日本の音楽界をけん引してきた歌手だけにより寂しい気持ちは深い。【木村陽仁】

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