Mixmag Japan 創刊記者発表会に出席したZeebraや渋谷慶一郎ら

 ヒップホップ・アーティストのZeebra、ミュージシャンの田中知之、渋谷慶一郎、DJのKEN ISHIIらが7日、都内でおこなわれた『Mixmag Japan 創刊記者発表会&ナイトエコノミー討論会』に登場。『Mixmag』の代表であるニック・スティーブンソン氏は「日本のエンジニアのおかげでターンテーブルやCDJが開発され、世界中のDJが日本でプレイするという夢を持って技術を向上させてきた」と日本の役割について語った。

記者発表会のなかで、Zeebraは中国でおこなった自身のライブについて触れ「番組にも出させて頂いたんですが、パーソナリティの方が日本語も話せないのに『Grateful Days』の僕の箇所を完コピしていました」とエピソードを明かした。

 『Mixmag』は1983年、イギリスで創刊されたクラブカルチャー専門誌。30年間シーンの最前線を伝え、世界で大きな影響力を持っている。この雑誌は既にタイ、ソウル、香港などのアジア展開を開始しているが、日本にも『Mixmag Japan』として進出する事になり、今回の発表に至った。なお、これは世界15番目の海外展開となる。

 発表会が始まると、ZeebraがMCとして登場し、司会を進行していく。続いて『Mixmag』の代表であるニック・スティーブンソン氏が「ダンスミュージックはもうアンダーグラウンドではなくグローバルカルチャー。言語を越えて人々を結びつける手段」、「日本のエンジニアのおかげでターンテーブルやCDJが開発され、世界中のDJが日本でプレイするという夢を持って技術を向上させてきた」など、日本での創刊について語った。

 そしてZeebraらと共に2016年の風営法改正に取り組んだ、衆議院議員の秋元司氏と弁護士の斎藤貴弘氏が登壇。秋元氏が「この法律で日本のアーティストの皆さんが活躍できる場を提供できたと思っています」と話すと、Zeebraが「法のちょっとした問題があった事でもう一歩踏み出せなかった」と当時を回想した。さらに秋元氏は「日本全体が目指しているのは観光立国。爆買いもひと段落して、次は“モノからコト”。夜の観光産業をしっかり作らないといけない。クラブも含めて、アーティストの方も元気になると観光にも繋がる」と2020年の東京五輪を目指した、ナイトライフの充実に意欲を見せた。

 続いて登壇した『Mixmag China』の中国代表ドナルド・ホウ氏は「中国の若者のトレンドはKポップが主流です。しかし国交が安定していない事もあるので、1つのポップカルチャーを紹介するのではなく、アジア全体と繋がりたい」、「日本のヒップホップ文化の水準は非常に高いですし、日本の若い世代はEDMからストリートカルチャーやヒップホップに興味が移っている。テクノも次の5年で急激な成長を見せるのではないか」と述べた。

 発表会後半はアーティストのゲストも登壇。DJ・ミュージシャンの田中知之は「長らく日本はダンスミュージック先進国だった時代があったし、それを継続していって欲しいと思う」、「日本産のダンスミュージックがもっと海外に出ていくべきだけど、それが今滞っている。模倣ではなく、独自の熟成をしてほしい。『フリースタイルダンジョン』という番組は日本のヒップホップの風向きを一瞬で変えた。そういうきっかけに『Mixmag Japan』がなってほしい」とした。

 中国の音楽シーンの話題になると、Zeebraは「僕もちょうど先週中国の成都に行ったんです。ヒップホップのフェス(『MDSK MUSIC FESTIVAL』)で7000人が来ていました。番組にも出させて頂いたんですが、パーソナリティの方が日本語も話せないのに『Grateful Days』の僕の箇所を完コピしていました」とエピソードを明かした。

 さらにミュージシャンの渋谷慶一郎も登場。渋谷は自身のヒューマノイドアンドロイド・Skeltonが主演を務めるオペラ『Scary Beauty』に言及してから、「僕がクラブに期待するのは、ショウビズと実験の中間の場所である事です。ショウビズ一辺倒の所は沢山あるし、実験的と言ってもダラダラしたライブハウスみたいな場所もある、どちらでもないミクスチャーが生まれる場所になれば良いと思います」と文化の交差についての持論を展開した。

 最後に登場したのはDJのKEN ISHII。世界的に活動し、『Mixmag Japan』創刊号の表紙も飾った彼は、世界と日本のクラブシーンについて「そんなに大きな違いは無いと思います。ダンスミュージックは世界を征服したと思って良いんじゃないですかね」と述べた。また『Mixmag』について「今は昔に比べてダンスミュージック自体が大きな物になったので、“アンダーグラウンドのシーンをサポートする”という立ち位置から、今は“メインストリームからアンダーグラウンドまで全部カバーする”というスタンスになっている」と解説した。

 さらにKEN ISHIIは世界に出ていく事に関しては「これまでは日本国内のシーンがある程度大きかったので、敢えて外に出る必要はなかったんです。でも必ずしも今はそうではない。“完全になってから出ていけない”と思っている人もいるかもしれないですけど、外に出る事によって楽しい世界が待っていると意識して、どんどんアプローチしてほしい」と語った。【取材・撮影=小池直也】

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