Brian the Sun、ツアー集大成で魅せた4人の奏でる独自の世界観
全国ツアー『Brian the Sun TOUR 2017「パトスとエートス」』のファイナル公演のもよう(撮影=ヤマダマサヒロ)

全国ツアー『Brian the Sun TOUR 2017「パトスとエートス」』のファイナル公演のもよう(撮影=ヤマダマサヒロ)
ロックバンドのBrian the Sunが5月27日に、東京・恵比寿 LIQUIDROOMで全国ツアー『Brian the Sun TOUR 2017「パトスとエートス」』のファイナル公演を行った。ツアーは今年1月にリリースしたメジャー1stアルバム『パトスとエートス』を引っ提げて行うというもの。昨年の6月にメジャーデビュー。そして1stアルバムリリースと、これからさらなる躍進が期待される彼らだが、バンドは結成から数えると今年で10年のキャリアを持つ。3月から始まった全国ツアーの集大成となったこの日の公演では15曲のセットに、その場で決めた4曲を加えた19曲を披露。会場に訪れたファンを大いに沸かせ、熱い夜を演出した。また、結成10周年記念イベント『ブライアンフェス』を10月に大阪と東京で行うことも発表した。
ハーモニーにまぶした隠し味

森良太(Vo、Gt)(撮影=ヤマダマサヒロ)
開演前から大勢の観衆で埋め尽くされたフロア。場内の照明が消えると、いよいよステージが幕を開けた。SEには車のエンジン音、子供たちの話し声などが入り混じった、都会の雑踏のような音が流れる。やがてメンバー4人が、観衆からの拍手に迎えられながらステージに登場した。そして、ステージ上で彼らが準備を終えると、田中駿汰(Dr、Cho)が、マーチングリズムを刻み始めた。そこに小川真司(Gt、Cho)のギターサウンドと白山治輝(Ba、Cho)のベースラインが絡み、独特なサウンドを響かせる。オープニングナンバーは最新アルバムの1曲目に収録されている「Impromptu」。
マーチの2ビートはいつの間にかゆったりしたリズムへと変化し、やがてシューゲイザーサウンドのような激しいギターサウンドが空間を埋める。どちらかというとシンプルな印象のある彼らの楽曲だが、一方では心地よい着地感を出す協調性の中で、どこかにクセになるような隠し味的なサウンドを含ませており、そのサウンドはかつてロック創成期で聴かれたような、不確かな音楽理論ではないグルーヴをまぶし、彼ら独自の雰囲気を醸し出している。

小川真司 (Gt、Cho)(撮影=ヤマダマサヒロ)
それは、感情をストレートに歌う森良太(Vo、Gt)の声を素直に響かせるための、彼らなりの表現でもあるようだ。どこかで聞いた「あのバンドみたいな」サウンドは、Brian the Sunには感じない。例え似たようなフレーズ、サウンドが存在したとしても、彼ら4人が奏でることで、Brian the Sunの音楽となる。
セットは猛烈な勢いを感じさせる「Physalia」、ミドルテンポの「Noro」と、傾向の違う曲を、様々組み合わせ、曲の並べ方にもセンスを感じさせる曲順で進んだ。小気味良いビートを聴かせる曲、あるいはゆったりとした雰囲気の中で、メジャーキーもあれば、マイナーキーのブルース的な響き、あるいはリズム的にちょっとした変化球を加える、といった感じでハーモニーに深みを与える。そして少しハスキーな森の声は色気のようなものを感じさせていた。彼らの音楽によって観衆は、ビートに身を委ね、ステージ開始からずっと、しっかりとステージ側に耳を傾け、彼らの発する音に聴き入っているようだった。
今後の活躍への思いを表すようなステージ

白山治輝(Ba、Cho)(撮影=ヤマダマサヒロ)
また、この日は7月5日にリリースが予定されているミニ・アルバム『SUNNY SIDE UP』に収録される楽曲も披露。アニメ『兄に付ける薬はない!ー快把我哥帯走ー』(MXTV)の主題歌で、アクティブなリズムの「Sunny side up」に、ゆったりとしたスケール感を見せる「ねこの居る風景」、爽やかな空気を感じさせる「隼」という3曲が初披露され、新たなBrian the Sunの一面に観衆はまた嬉しそうな表情を見せる。
そして最新アルバムのタイトルソング「パトスとエートス」を皮切りにいよいよラストスパート。「HEROES」「Cloudy#2」と盛り上がりを見せながらも、ラストナンバー「月の子供」では森がキーボードの前に座り、ゆったりとしたピアノサウンドを奏でながら、終わりが来るのを惜しむような雰囲気を見せる。そして最後はエコーの効いたピアノの調べで余韻を残し、再び訪れた都会の雑踏のようなSEを背に、彼らはステージを降りた。

田中駿汰(Dr)(撮影=ヤマダマサヒロ)
そして鳴りやまないアンコールの手拍子に応え、再びステージに現れた彼らは、自身の結成10周年記念イベント『ブライアンフェス』を10月に大阪と東京でおこなうことを発表。そして、その意気込みを示すかのように「アレカラ」「13月の夜明け」をアンコールで続け、さらには観衆とのコール&レスポンスも飛び出した「ロックンロールポップギャング」を披露。それでも飽き足りない観衆に「そんなに聴きたいんやったら、なんぼでもやったるわ!」という森の叫びとともに、ラストナンバー「君の声」へ。
<きっと忘れることはないんだろう そうずっとそこにいた君を>その一節が、このステージの名残惜しさのような余韻を会場に残す。そして全19曲の完奏に「最高です! ありがとう!」と嬉しそうな声を上げた森とともに彼らはこの日のステージを終えた。
結成10周年で本格化したメジャーでの活動と、そのバンドとしての動きは活性化するばかりに見えるBrian the Sun。まずは『ブライアンフェス』で見せるこれからの活動に向けての思い、そしてこれからの動向は、非常に興味深いところだ。(取材=桂 伸也)
- 全国ツアー『Brian the Sun TOUR 2017「パトスとエートス」』のファイナル公演のもよう(撮影=ヤマダマサヒロ)
- 森良太(Vo、Gt)(撮影=ヤマダマサヒロ)
- 小川真司 (Gt、Cho)(撮影=ヤマダマサヒロ)
- 白山治輝(Ba、Cho)(撮影=ヤマダマサヒロ)
- 田中駿汰(Dr)(撮影=ヤマダマサヒロ)
- 森良太(Vo、Gt)(撮影=ヤマダマサヒロ)
- 森良太(Vo、Gt)(撮影=ヤマダマサヒロ)
- ライブのもよう(撮影=ヤマダマサヒロ)
- ライブのもよう(撮影=ヤマダマサヒロ)
- ライブのもよう(撮影=ヤマダマサヒロ)
- ライブのもよう(撮影=ヤマダマサヒロ)
セットリスト
Brian the Sun TOUR 2017「パトスとエートス」
5月27日 恵比寿LIQUID ROOM
01. Impromptu
02. Physalia
03. Noro
04. Mitsuhide
05. Hi-Lite
06. 神曲
07. Maybe
08. アイロニックスター
09. Sunny side up
10. ねこの居る風景
11. 隼
12. パトスとエートス
13. HEROES
14. Cloudy#2
15. 月の子供
encore
E01. アレカラ
E02. 13月の夜明け
E03. ロックンロールポップギャング
E04. 君の声











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