中川翔子と田中優子

中川翔子と田中優子

 タレントで歌手の中川翔子(32)が4日、都内で開かれた、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会による『みんなでつくる開会式・閉会式!』のインタビューに応じ、「東京2020大会開会式・閉会式の基本コンセプトについて」という議題で自身の考えるオリンピック像や文化について語った。インタビューを振り返り、中川は「人生で一番緊張する瞬間でした。一国民として、東京オリンピックについてコメントでき、とても光栄でした」と語った。

 同インタビューは、世界最大規模のセレモニーであるオリンピック・パラリンピックの開会式・閉会式の「基本コンセプト」の策定に向け、各分野で活躍する人物に「どのようなことを世界に向けアピールしたいか」「どのような式になって欲しいか」について意見を求めるもの。

 今年4月に「東京2020有識者懇談会」が設立され、今年末まで基本コンセプトの検討をおこなうための意見ヒアリングが実施されている。今回のインタビューはその一環。4月26日におこなわれた第1回では「東京2020大会の歴史的・社会的意義」について意見が交わされた。

 今回は、東京2020有識者懇談会委員で法政大学総長である田中優子女史と、東京2020マスコット審査会委員を務める中川がインタビューに応じた。

中川翔子

 印象に残っている過去の大会について聞かれると、田中女史は1964年の東京大会を挙げ「印象的だったのはアベベ選手。2連覇したんですよね、あの大会で。あの時には日本人の中にも格差があって、スポーツはお金持ちの人がやるものだと思っていたのです。でも、貧しくて代表選手を数人しか出場させることができない国などを見て、この場所は様々な人々がいてそれを受け入れられる雰囲気があるんだと思いました」と振り返った。

 一方の中川は、物心がついてテレビで初めて観た記憶があるというバルセロナ大会を挙げた。また、英国の公共放送であるCHANNEL4が制作したパラリンピックのプロモーションビデオがパラリンピアンの人生を映し出すような映像だったと言い、ドラマティックで印象的だったと語った。

 また、江戸文化研究者でもある田中女史は「江戸は全国から人々が集まる出会いの場でもあった。そして、歌川広重の絵には多くの水のある景色が描かれているんですね。水の都でもあったわけです。葛飾北斎は当時の人々などを描いて江戸の活気を表現していたんですね。そういうビジュアル的な面で東京の魅力を伝えていくといいのでは」と2020年大会の発信の仕方について持論を述べた。

 中川は「今は娯楽が多くて、みんなが一つのことについていっせいに盛り上がることは少ないと思うのですが、インターネットなどで世界が一つになれる環境は整って来ているので、2020年大会は、みんなで盛り上がれるようなオリンピックになればいいなと」と希望を述べ、パラリンピックについても今以上にポピュラーになると良いと言及。

田中優子

 開会式・閉会式について中川は「アニメや音楽などの文化は世界どの場所でも、通用するコンテンツだと思います。スポーツでは世界大会などがたくさんありますが、エンターテイメントで世界に売り出すという機会はなかなか無いので、今回の式を機会に世界に日本の若いアーティストにも注目して欲しい」とカルチャーを世界に売り出す絶好の機会であることを強調した。

 田中女史は「2012年のロンドン大会でも英国史を代表するような催し物がおこなわれていたと思います。2020年大会でも伝統的な、歌舞伎や能などを打ち出していった方がいいと思います」と話した。

 中川は「都市型で体感型のおもてなしをできるといいと思います。スマホなど今は当たり前になっているので、そういうものを生かして…アトムやドラゴンボールのキャラクターが空を飛んでいたり。VRで体感できるようなものなど」と最新テクノロジーを生かしたアイデアを提案。

 インタビュー後は中川が記者による囲み取材に応じた。中川は「人生で一番緊張する瞬間でした。一国民として、東京オリンピック・パラリンピックの開会式・閉会式についてコメントできるなんてとても光栄でした」と振り返った。

 また「今は家にいてもVRやスマホなどでも、臨場感を味わえるのでみんなで温度差無く楽しめるといいと思います。今は世界中で愛されるアニメキャラクターや文化が日本にはたくさんあるので、日本の誇れる全てを2020年の大会に詰め込めないともったいないと思います」と2020年大会が日本のカルチャーシーンにとっても大きな転機となると、自身の想いを語った。

(取材・撮影=松尾模糊)

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