デビュー10周年を迎えた歌手のシェネルが今月14日にアルバム『Destiny』をリリースした。TBS系ドラマ『リバース』の主題歌「Destiny」を含む11曲を収録。米ロサンゼルスでの約2年間の活動のなかで生んだ世界を掲示した楽曲と、日本の音楽を意識した楽曲の二種類を織り交ぜた、本人曰く「ハイブリッドな作品」。シェネルと言えば、前記のドラマ主題歌や映画『海猿』の主題歌「ビリーヴ」で知られ、彼女を一躍有名にさせたのは「ベイビー・アイラブユー」(TEE)のカバーともいえる。もととも世界に向けて2007年にリリースしたデビュー曲「ラブ・ウィズ・DJ」が日本でヒットし、それがきっかけで日本での活動が開いた。彼女の「運命」を決定付けさせたとも言えるが、本人は当時、どう思っていたのか。今作に繋がるまでの期間、どう思い、どう活動していたのか。日米で活動する中で抱き始めた願いとはなにか。【取材=木村陽仁、撮影=冨田味我】
日本へ届けたかった「ハイブリットな作品」
――ドラマ『リバース』の主題歌「Destiny」が配信チャートなどで35冠を達成するなど大ヒットを記録しています。この現象をどう捉えていますか。
凄くありがたいし、嬉しいです。
――その「Destiny」が、アルバム『Destiny』の1曲目に収録されています。最後の「終わらないラブソング ~Like A Love Song」までを通して全ての曲に繋がり、一貫性がありますが、アルバムの構想はもともとあった?
偶然というものは存在しないので、あえて「運命」と言いますけど、必然でこうなったのだと思います。『Destiny』では私の新しいサウンドをみんなに知ってもらいたくて。日本の皆さんが知っている私の音楽とは違うものを提供したかったという気持ちが強かった。
「Destiny」はこれまでのどの曲とも、曲調、音楽性、サウンド、全てが違うし、更にドラマとのタイアップの話もあったので、タイミング的にも「Destiny」を筆頭にアルバムを作ろうという気持ちにさせてくれたんです。アルバムにとっても素晴らしい導入となりました。
――アルバム全体を通して、どういったことをコンセプトに制作しましたか?
テーマというよりも、私はこれを「ハイブリッドな作品」と呼んでいるんです。前作から2年間全くリリースがない状態で、一度ユニバーサルミュージックとの契約が切れた状態だったので、ゼロから出直すというリスクはあるかもしれないけれど、もう一度自分の音楽と向き合い直そうと思ったんです。
新しい自分のサウンドを見つけたいというところで、頑張って音楽制作を続けていました。そこで再びユニバーサルミュージックが「何か新しい音楽を作っているの?」と興味を持ってくれて。実際に彼らが気に入るかは分からないけど、私が「こういう方向でいきたい」ということを提示したら非常に気に入ってくれたんです。
それと同じタイミングでTVドラマ(リバース)の話を頂いて、そこで全てが結びついたんです。これから私がみんなに聴かせたい音楽、これから向かっていきたい音楽、そして、これまで私を応援してくれた日本のファンの方々にも聴き馴染みのあるものを融合した、ハイブリットな作品というものが出来上がったんです。
私らしい作品、ポップではあるけど、そこにHIP HOPやファンク、みんなも知っているバラードも詰まっているんです。これまでは人に提供してもらった曲を歌うこともあったけど、今回は曲作りにおいても積極的に参加した作品が出来たので、凄く手応えを感じています。