夢アド、小林れいが復活宣言「もうみんなのこと悲しませない」
病気療養のため活動を休止していた小林がこのライブで正式に活動復帰(撮影=堂園博之)
今年でデビュー5周年を迎えるアイドルグループの夢みるアドレセンス(通称=夢アド)が6月3日に、東京・渋谷 duo music exchangeで小林れいの復活を記念したワンマンライブ『小林れい復活LIVE「ファンタスティック4(フォー)」』をおこなった。この日、昨年10月から病気療養のため活動を休止していた小林が正式に活動復帰。小林は「もうみんなのこと、絶対に悲しませないので、ついて来てください!」とファンに約束した。「アイドルレース」や「ファンタスティックパレード」などアンコール含め全17曲を披露。新たなスタートダッシュを見せるように4人で息の合ったパフォーマンスを見せ、小林の帰りを待ち望んでいたファンを楽しませる一夜となった。
待ち望んだステージに立ち込めた熱気
夢アドの新たな門出を見届けようと、この日は会場に多くのファンが詰めかけ、小林の復帰を祝うべくステージスタート前から、会場は彼らの熱気で満たされていた。
スタートの予定から5分弱ほど過ぎた頃だろうか。いっぱいになったフロアに突然、4つ打ちのけたたましいSEサウンドが流れ始めると、観客は「おっ?」と何か目の覚めるように、ステージに注目した。そのリズムに合わせて手拍子を始める観客も。そしてSEが変わり、ステージ前面に張られた紗幕(しゃまく)にカラフルなライトが当てられる。そのライトが4人の影を映し、観客は歓声を上げた。会場に鳴り響くビートに合わせて「Oi! Oi!」と猛々しい掛け声で4人をステージに迎えた。
この日4人はパーカー姿で、フードを頭にかぶって、ステージに登場。そして、オープニングナンバー「アイドルレース」で最初にボーカルを取る荻野が、自身のフードを取る。そして次に小林がフードを脱ぐ。その瞬間、フロアからは大きな歓声が上がった。まさに彼女たち自身、そしてファン一同が待ちわびた瞬間。「小林れいが帰ってきた」その喜びを表す。まるで後先を考えていないと思われる様な気迫で、力みなぎるダンスと歌を披露する4人。「カワイイだけじゃない!」その姿には、そんな雰囲気も感じられた。単に歌や踊りが上手いというものではない、しっかりとしたチームワークを持つ彼女たちに怖いものはない。
そんな気迫を見せる彼女たちのエネルギーこそが、夢アドの最大の魅力であることが、この時しっかりと示された。そして、その声にずっと前のめりで応える観客。汗だくになり、猛烈な熱気がたちまち会場の隅々にまで充満した。
「ただいまー!」「おかえりー!」オープニングに続いてのあいさつで、小林が観客に叫び、観客が応える。もうこの日はそれしかない、誰もがその気持ちしかなかっただろう。いよいよ夢アドの新たなスタートが切られる。「今日はみんなを心の底から楽しませます!」心強い仲間の帰還を喜ぶかのように、力強く観客に誓う荻野。その言葉にまた、観客は大きな観声で応えた。ダンサブルな「Bye Bye My Days」、ちょっぴりセクシーな雰囲気の「リーダーシップ」、ポップでアクティブな「恋のエフェクトMAGIC」と、続いていくそれぞれのナンバーの中で、様々な一面を見せる4人。
しかし、そのどんな一面にも、4人の表情にはこの日のステージを心から楽しんでいる表情が見えた。そこには、何があってもこの日が来ることを信じ、その結果が期待以上のものとなったことを実感できた喜びを表しているようでもあった。
「もうみんなのこと、絶対に悲しませない」
ステージ中盤を迎えたころ、ステージには小林が一人残された。彼女は改めてこの日のステージに立った気持ちを語った。活動から一時退く時の覚悟、そのことで周囲へ迷惑をかける申し訳なさ、活動ができないことへの歯がゆさ。しかし「そういうことも必要なこと、今は(活動休止も)良かったと思っています」と振り返る。そして声を裏返らせ、時に言葉に詰まり、涙をぬぐいながら、彼女のカムバックを信じてそのポジションを守り続けた仲間のメンバー、彼女の精神的な支柱となった実母、そして彼女同様にカムバックを信じたファンへの感謝の言葉を語った。
その言葉に感極まり涙を流す志田と、そんな2人をイジりながらも温かく見守る荻野、京佳。さらに「もうみんなのこと、絶対に悲しませないので、ついて来てください!」という小林の宣言に、観客は大きな拍手を送った。そしてバラード「小さなストーリー」を丁寧に歌い上げた。
さらに、この日は7月19日に彼女らの9枚目のシングル「ララララ・ライフ」がリリースされることが発表された。ここでは、一足先にカップリングで収録される相川七瀬のカバー「夢見る少女じゃいられない」が披露された。ガールズロックのスタンダードナンバーの一曲とも言える、このナンバーを重量感あふれるビートのメタルコア・アレンジを施したサウンドの上で、4人がそのメロディを歌う。ブリッジのブレイクには大きな手拍子が起き、一体感を高めた。
そして後半では、いよいよ近づくクライマックスに向けて「ステルス部会25:00」から夢アドがずっと観客を煽るように畳みかける。時に観客一人ひとりに語り掛ける姿を見せながら、また曲のキメでは4人の息をバシッと合わせ、彼女たちの一番格好良い姿を見せる。その姿に観客の興奮は最高潮に。そして迎えたラストでは「横を見れば、れいがいる喜びを噛みしめて、最後はみんなで一つになりましょう!」と語る荻野のこの日の感謝と感動の言葉を機に、ラストナンバー「舞いジェネ!」へ。曲が終わり歓声が絶えない中、4人はステージを降りた。
新たなスタートへの意気込み
会場ではアンコールをせがむ観客の声が上がる。「れいちゃん!」「れいちゃん!」観客から小林への、そして夢アドの4人に対する愛情のこもったコールが続いた。その声に応え、再びステージに戻った4人。改めて大きな感謝の言葉を告げる小林に「私達からすると、『戻ってきてくれて、ありがとう!』って。感謝しかないよ!」とその思いを告げる京佳、そして「よく戻ってきてくれた。3人で頑張ってきて良かった!」とまた涙ながらに語る志田。ラストナンバーとして、彼女たち自身の新たなスタートを告げる「ファンタスティックパレード」でこの日のステージを締めくくった。
この日は、さらに夢アドのデビュー5周年を記念したライブツアー『真夏の夜のYUME LAND』がおこなわれることが発表された。5年という歳月の中で、様々な壁を乗り越え、この日ここに立った彼女たち。まさに新たなスタートの瞬間だ。荻野も最後に「『夢アドは終わった』とかいう人がいたら、どうか言ってやってください。『まだ始まってねえよ!』って」と語った言葉に、熱いものがこみ上げた。
「ファンタスティック4」といえば、米国のマーベル・コミックに登場する人気のヒーローを思い出す人もいるだろう。あるきっかけで超人的な能力を授かった4人が、その能力をいかんなく発揮し、時には4人が衝突しながらも力を合わせ、強大な困難や敵に果敢に立ち向かっていく物語だ。
この日の夢みるアドレセンスの4人の姿は、あの物語のクライマックスのシーンがダブって見えた。人々を惹きつけて止まない四つの個性が輝かしい魅力を放つ、夢アド。彼女たちのこれからの活躍は、あのヒーロー達同様に快進撃を続けていくことは、疑いの余地もないだろう。
(取材=桂伸也)
セットリスト
『小林れい復活LIVE「ファンタスティック4」』
6月3日 渋谷duo music exchange 01. アイドルレース encore EN01. Rainbow Rain |