感じてきた事を一番大事に、阪本奨悟 役者から夢だった歌手へ
INTERVIEW

感じてきた事を一番大事に、阪本奨悟 役者から夢だった歌手へ


記者:村上順一

撮影:

掲載:17年06月11日

読了時間:約14分

インタビュー形式で自分の恋愛エピソードを掘り起こした

阪本奨悟

――去年インディーズから1枚ミニアルバムを出されましたが、とてもポジティブな作品という印象がありました。アルバム『Fly』は決意表明も含まれている?

 決意が一番大きかったです。先ほども話ましたが、自分が暗い歌ばかりを書いていた時期もあるし、大阪時代は本当に悩みまくって不安が消えなくて、兆しすら見えなかった。自分の才能に惹かれてくれる存在がゼロだったので、「このままやっていいのかな?」と思っていました。その時期があったからこそ『Fly』というアルバムでは、希望が消えている人が笑顔になれる音楽を書いていきたいという選択をしたんです。

――音楽性的にはアコースティックギターのサウンドがフィーチャーされていますが、それは自身のルーツが根本にあるからでしょうか?

 やっぱり音楽を始めた頃からギターは大好きなので、自然とそういう形にはなっています。ロックもたくさん聴いていたりするんですけど、まずはシンガーソングライターとして自分がしっかり認めてもらいたいという思いがあったので、アコースティックギターのサウンドを大事にしました。あとザ・ビートルズが好きなんです。

――お若いのにザ・ビートルズを聴かれるんですね。アルバムではどれが好きですか?

 決められないですね!その時代で一枚一枚のクオリティがあって…。

――現在使用しているアコースティックギターはいつ頃手に入れたものですか?

 2年前です。他にも何本かあるんですけど。今のメインはMartinのOM-40というモデルです。

――デビューシングルは蔦谷好位置さんやNAOKI-Tさんがアレンジをされていますが、勉強になった事はありましたか?

 もう勉強だらけでした。「鼻声」は、僕のデモの段階がいかに“素っ裸”で何も着ていない状態という事に気づきました。アレンジを最初に頂いた時に“プロ”の世界を思い知りました。

――デモの段階からは相当変わっている?

 はい。かなり変わっています。

――「鼻声」というタイトルの曲もなかなかありませんよね。これはどういったシチュエーションから生まれたのでしょうか?

 歌詞を書くのに凄く迷っていて、一人で書いているとどうしてもフィルターを自分でかけてしまって、凄くまとまりの良い仕上がりにしてしまう癖があるんです。なかなか人の心の奥まで届けるという事が苦手でした。さっき言った「カッコつけている自分」が拭えなかったんです。今回あるプロデューサーさんにアドバイスして頂きまして、一から自分が書いているフレーズもありますが、インタビュー形式で自分の恋愛エピソードを掘り起こしてもらったんです。

――インタビュー形式というのは面白いですね。

 「どういう女の子の事を好きになったの?」「その子の特徴は?」と細かく聞いて頂いて「会う度に鼻声だったんですよね」という話をしたんです。そうしたら「それ、凄くいいじゃん」となったんです。「その子のそこが可愛かったんでしょ? それを書こう」という事で、僕が「鼻声」という歌詞を当てはめて書いていきました。

 この曲の女の子像が出来上がっていく中でも、やっぱり好きな人って理想通りに見えるし、完璧に近いものに見えると思うんですけど、その子の場合は鼻声で、決して完璧ではないと思うんです。そこが愛おしく思えた部分だったんです。この曲ではそこが一番特徴を表している僕が好きだった部分なので、曲のタイトルになりえるんじゃないかと思ったんです。

――ウィークポイントがテーマというのはすごくリアルですよね。

 だいぶ恥ずかしいです。そこをプロデューサーさんに引き出してもらえたんです。

――“鼻声”に着目したプロデューサーさんもさすがですね。

 僕もそう思いました。自分では絶対見る事が出来なかった景色を見せて頂きました。

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