『井上苑子春ツアー2017 いぬうえ幼稚園入園式ともだち100人できるかな』を開催した井上苑子

 シンガーソングライターの井上苑子が4月26日、東京・中野サンプラザで『井上苑子春ツアー2017 いぬうえ幼稚園入園式ともだち100人できるかな』のファイナル公演をおこなった。4月にリリースしたばかりの新曲「メッセージ」を引っ提げて、3月10日のZeep Sapporoを皮切りに全国5都市をまわった。この日は発売されたばかりの「メッセージ」の他に、彼女の人気曲でもある「ナツコイ」、CMで話題のカバー曲「どんなときも。」も含む全15曲を披露。なかでも、MIZUNO「ミズノ部活応援宣言!」のキャンペーンソングにもなった新曲「スタート」も披露された。そして、今夏にはニューシングルを発売することも明かした。なお、8月6日には東京・新木場StudioCoastで『井上苑子 夏祭り(仮)』を開催する予定。今回はそのファイナル公演の模様を以下にレポートする。

幼稚園に招かれた気分

ツアーファイナルで歌い紡ぐ井上苑子

 ライブ当日、会場には制服姿の学生が沢山集まっていた。それもそのはず、井上苑子は現在19歳で青春を謳歌する真っ只中の年代。彼女の綴る歌詞が同世代の若者に共感を得て、10代の学生たちに絶大な人気を帯びているからだ。

 開演時刻19時を少し過ぎると、照明が暗転。するとステージ中央にある巨大なスクリーンに、ピンク色のエプロンを着用した苑子の姿が映し出される。今回のツアーテーマは幼稚園だということで、彼女は幼稚園の苑子先生になりきり、観客は園児という設定で進行するという。そこで先生ならではの教えということで、ライブで守って欲しいマナーが映像でアナウンスされた。禁止事項を苑子先生が告げていると、後ろからピアノやギターの音が鳴り響いていく。その音を聞くと彼女はエプロンを脱ぎ「行かなきゃ!」と言葉を放ち何処かへ走り去っていく。そして映像は消え場内の照明が落とされた。

 すると、ドラムのカウントを合図に照明がパーっと明るくなり上手から苑子が走って登場。彼女は水色のトップスに、赤い花柄の模様が施された白いロングスカートを身にまとっていた。苑子のバッグには、幼稚園の雰囲気が満載なカラフルな色えんぴつのオブジェや、カラフルなすべり台、カラフルな傘が刺さっている木や、巨大な紙風船の形をしたボールが一つステージに置かれていた。その遊び心がふんだんに使われているセットは、まるで幼稚園に来た気分にさせるよう。

 彼女はマイクを手にとり「みなさん!こんばんは。井上苑子です!盛り上がって行きましょう!」と言葉を放ち、ツアーファイナルの1曲目を飾ったのは「線香花火」。スポットライトが苑子をキラキラと照らす中、彼女はギターをかき鳴らす。これからやってくる夏を先取りさせるナンバーで、フロアでは観客が水色や青、黄緑色のサイリウムをユラユラと揺らしており、一層楽曲に花を添えていた。

 1曲目を終えると、照明が消えフロアからは「苑子ー!!」と名前が叫ばれたり、拍手の音が響いていた。数分経つと、明かりがつき苑子の姿が見えた。マイクを片手に「みなさん!こんばんは井上苑子です。中野サンプラザやってきました。みなさん元気ですか?」と元気に挨拶。MCではファイナルを迎えた心境に触れ「ファイナル始まっちゃいましたね。もうファイナルっていう言葉が寂しくなるような気がします。けど、最後はみんなで盛り上がっていけたら良いと思います!よろしくお願いしますっ!」とファイナルを惜しみながらも、気合いのある一言を語った。

 MCが終わると、ギターのイントロが会場に反響する「ふたり」を披露。緑色と青の照明が彼女を照らし出しながら、透き通る美声を観客に歌い届けていく。フロアでは、手拍子をする人々や、歌に合わせながら<AhAh~♪>と口ずさむ人の様子が伺えられた。

 和やかな空気感の中、再び照明が落とされる。そしてドラムのカウントがなると<君のことが大好きだ~♪>と苑子の歌声が響き渡る。ピンク色の照明に包まれながら披露したのは、彼女の胸キュンソングでもある「ナツコイ」。そして続けて、ポップテイストの「おはよう」を披露し、観客も曲に合わせながら手を叩いたりするなど自由にそれぞれ楽しんでいた。

芸人とコラボレーション企画

『井上苑子春ツアー2017 いぬうえ幼稚園入園式ともだち100人できるかな』のもよう

 4曲目が終わると鈴の音が鳴り響き、ステージ中央の巨大なスクリーンには、苑子先生の姿が映し出される。さらに苑子の隣にはお笑い芸人のたんぽぽの姿が…。スクリーンになぜたんぽぽが登場したかというと、苑子の心配事でもある「もっとみんなと盛り上がりたい」という悩みを解決するべく、たんぽぽなりの盛り上げ方をここで伝授。方法をいくつか考えた結果、「みんなのことが大好きなのはどの子~?」と苑子が煽ったら、観客が「そのこ~!!」とコール&レスポンスをするというもの。たんぽぽ流のコール&レスポンスの映像に、会場からは拍手をする人や「そのこ~!!」と大きな声で叫ぶ人も見られた。

 すると、再び苑子がステージに登場。ツアーで既に歌っている新曲「スタート!」に合わせ、先ほどたんぽぽから直伝されたコール&レスポンスをおこなうことに。だがその前に、歌い出しで歌詞が飛んでしまい曲がストップするというハプニングが。けれど、そのお茶目な姿でさえ愛らしく、観客からは「可愛い!!」という声援が飛び交う。そして気を取り直して「スタート!」を披露し、たんぽぽから教えられたコール&レスポンスを実践。「そのこ~!!」と彼女の名前を呼ぶ大きな声が会場に包まれていた。

 コール&レスポンスで会場が一体感になった後は、ピンクと白の照明をバックに女心がたっぷりと歌詞に含まれている「君との距離」と「おんなのこ」を連続で披露。恥ずかしくて言えない女の子の気持ちを、音に乗せ歌いあげていく。

 7曲目が終わると、彼女は丸みを帯びた椅子に腰をかけマイクを片手にこう告げる。「今年は嬉しいことだらけで、1月にCMで槇原敬之さんの代名曲をカバーさせて頂きました。「どんなときも。」聴いてください」
 言葉が放たれると、ピアノのイントロがしっとりと鳴り響き渡りながら「どんなときも。」を披露。白いスポットが彼女を照らしながら、優しく繊細な歌声を歌い紡いでいく。

 「どんなときも。」を歌い終えるとフロアからは盛大な拍手に包まれる。照明が再び消え、ステージにあるスクリーンには苑子先生とお笑い芸人の永野の姿が…。なぜ今回永野が現れたかというと、苑子の楽曲にある「だいすき。」のフリを観客に覚えてもらえるかどうか?という彼女のお悩みを解決しに登場した。そこで、永野はアドバイスとしてまず苑子が落ち着いて披露することが大事だと語る。その為にはお猿の呼吸法をやればいいと案を上げ、苑子の前でお猿の呼吸法を披露。だが、スベリまくる程のネタで観客からは笑い声が…。そして、苑子は永野に「だいすき。」の振付をレクチャー。それはまるで、振付け講座の映像が流れているようだった。

 映像が消えると、ステージには苑子が現れ永野と二人で練習したという「だいすき。」のフリをみんなでやりたいと話す。そしてポップチューンの「だいすき。」を披露し、<ぎゅってしてよ♪>というフレーズに合わせながら彼女は、抱きしめるように手をクロスさせる。一生懸命練習したという振付けが何とも可愛らしく、その姿に心をくすぐられた。

 キュートなフリを展開させた後は、温かみのあるキャッチ―なナンバー「ファーストデート」や、「大切な君へ」、『「君に出会えてよかった」』を連続して披露。聞かせどころのあるそれぞれの楽曲を、満面の笑顔で歌い続けていく。

ファンに贈るメッセージ

 3曲連続して楽曲を披露したあとは、MCへ。「この前薬局に行ってチープな化粧品を買おうとしてたら、「メッセージ」が有線で流れてて。私のプロフィールも話してくれてたからなんか恥ずかしかったんですよね。でもこうやって流れてくれていることがありがたいです」と自身が体験したエピソードを語っていた。

 そして、MCが終わり本編のラストを飾ったのは映画主題歌にもなっている「メッセージ」。

 「最後です!みんな手拍子してくださいっ」と放ちながら、彼女が描く真っすぐな想いを紡いでいく。フロアでは楽曲のリズムに乗りながら、手拍子をしながら楽しんでいる姿が広がっていった。

 ラスト曲を終えると、「ありがとうございました!!井上苑子でした」と告げ彼女はステージから去っていた。

 すると、ステージ中央のスクリーンには苑子先生とお笑い芸人の三四郎が映し出された。彼らが登場した訳は、苑子のアンコールの掛け声がグダグダという点を改善させるべく案をもってきたようだ。三四郎の二人が出したアンコールは「い・の・う・え!」「そ・ん・ちゃ・ん!」という掛け声だ。そして、たった今決まったアンコールを実践するかのように、観客は「い・の・う・え!」「そ・ん・ちゃ・ん!」とアンコールをしていく。

 声援に応えるかのように、苑子は再びステージに登場。アンコール1曲目ではパイン飴を投げながらメロディアスな「エール」を贈り、フィナーレを飾ったのは「君がいればOK!」。演奏が鳴りだすと、タオルをグルグルに回す苑子。その姿を先頭に、観客も負けじと豪快にタオルを振り回す。曲が終わりに近づくと、彼女はステージを降りフロアを走り抜けていく。後ろの観客とも触れ合える貴重な時間に、ファンサービス旺盛の優しさが伝わった。

 ステージには、苑子のマスコットキャラクターでもあるいぬうえくんが登場し、更なる大歓声が巻き起こった。最後は、いぬうえくんも混じりながら会場全体で記念写真を撮り一夜の幕は閉じた。

 (取材=橋本美波)

セットリスト

井上苑子
春ツアー2017 いぬうえ幼稚園入園式ともだち100人できるかな

1線香花火
2ふたり
3ナツコイ
4おはよう
5スタート!
6君との距離
7おんなのこ
8どんなときも。
9だいすき。
10ファーストデート
11大切な君へ
12「君に出会えてよかった」
13メッセージ
~アンコール~
1エール
2君がいればOK!

この記事の写真

記事タグ 


コメントを書く(ユーザー登録不要)