Pile「１年分のありがとうを込めて」感涙の選曲による生誕前夜祭

28歳最後の夜にライブをおこなったPile（撮影＝中村ユタカ）

　声優としても活動する歌手のPile（パイル）が5月1日と2日に、千葉・舞浜アンフィシアターでツアー『“Pile Birthday Party!!! 2017”』の東京公演を開催した。４月26日に3rdアルバム『Tailwind(s)』をリリース。両日は違ったセットリストでライブを展開し、誕生日の前夜である5月1日は、「28歳最後の夜を楽しみましょう」と、Pile渾身の選曲で楽しませた。12月２日に開催する初の日本武道館公演に向けても意気込みを見せた。１日のもようを以下にレポートする。

■28歳の１年分のありがとうを込めて

Pile（撮影＝中村ユタカ）

　ペンライトのピンク一色に染まった客席に登場するやいなや、アッパーの「チェックメイト」でサビのかけ合いを楽しんだPile。生のロックバンドのサウンドを背に受け、轟音の中で頭を振りながら歌った。続けて1stシングル「伝説のFLARE」では、ドラマチックなサウンドに乗せて、ハイトーンのボーカルを聴かせると、会場から大歓声が湧いた。「Black Butterfly」では、蝶々の映像を使った演出もあり、メタル調の重いビートに観客が身体を一斉に揺らす。また「Melody」では、「いくよ！」の合図で、「オイ！オイ！」と会場一体となって拳を振り上げた。また、一転してジャジーなムードの大人っぽいサウンドで聴かせた「EGOIST」では、セクシーな歌声でファンを惹きつけた。

　実は、登場早々に衣装のボタンが外れてしまっていたようだが、「ボタンが外れるくらい気合い入っているんで！」と、アクシデントをものともしない意気込みを見せた彼女。「ツアーの初日の福岡でもやっていなかった曲が、すでに登場していて。「Black Butterfly」や「EGOIST」は、久しぶりに歌ったんだけど、どうだった？」と、問いかける。客席から「最高！」と声が上がると、Pileは嬉しそうにうなずいた。

　この日は、アルバム『Tailwind(s)』からの楽曲だけでなく、久しぶりに歌った曲が多数あり、新旧のファンを歓喜させた。「次は「Furuwasete」です」とタイトル名が発表されたときは、会場に「おお〜！」というどよめきがあがった。打ち込みのサウンドをバックに、歌だけでなくダンスでも観客を魅了したこの曲。観客は、多彩な魅力を発揮するPileのステージから目が離せないといった様子になった。タオルを回して盛り上がったのは「HANABI」だ。ボーカルの合間に「パイちゃ〜ん！」という合いの手の声が入り、「いくよ、そ〜れ！」というPileのかけ声で、「ハイハイハイ！」と観客は、タオルを回しながらかけ声をかけて盛り上がった。

　後半には、「空色デイズ」、「いつかキミに届ける世界」と、シングルのカップリング曲を披露。「いつかキミに届ける世界」では、曲中にメッセージ入りのテープが発射され、それを手に持った観客が、曲に合わせて一斉にジャンプする様子は壮観だった。

　終盤には、「去年の1年間はソロでダッシュしてきました。28歳最後の夜に、28歳の１年分のありがとうを込めて歌います」とコメントして、「P.S.ありがとう...」を歌った。最後のサビは、Pileの「好きな色を点灯してください」との提案で、9色のカラフルな色が光る。これまでの活動に対する感謝と敬愛の気持ちを込め、楽曲を丁寧に歌った。そして最後には、アルバム『Tailwind(s)』のラストに収められている「ROAD」を披露した。歌の最後に出てくる「song for you」という歌詞の部分に願いを込め、これからもみんなのために歌い続けることを約束した。

ライブのもよう（撮影＝中村ユタカ）

　この日は、昼間に突然の雷雨があり、MCでは「大丈夫だった？」とファンを気づかったPile。「今日ここに足を運んでくれたことを後悔させない夜にする」との言葉通り、ファン感涙の選曲で楽しませた。またアンコールは撮影OKとのことで、片手でペンライトを振りながら、もう片手ではスマホで撮影してライブを楽しんだファン。そんなファンに向け、Pileは嬉しそうに笑顔を振りまき、手を振った。28歳最後の夜という、一生に一度のこの日。ファンにとってもPileにとっても生涯忘れられない特別な夜になった。

（取材＝榑林史章）

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