先日おこなわれたCODE-Vの大阪公演のもよう。6人揃ってのパフォーマンス

 先日、CODE-Vのウシクを取材した。ステージで魅せる勇ましい表情とは対称的に、健気な笑顔が印象的で、まさに好青年だった。

 彼はこの4月で、3年間在籍したグループを卒業する。その理由は音楽性の違いとかではない。母国・韓国にいる祖母の看病のためだ。

 彼は幼い頃、“おばあちゃんっ子”だったそうだ。祖母と過ごした日々の思い出は今も記憶に色濃く残っている。

 韓国は海外と比べると、親族の絆は強いと言われている。ウシクの場合は愛する祖母の看病。その思いは強い。彼の優しさが滲み出ている。

 祖母を残しての日本での活動。当初は兵役で離れたメンバーの代わりになってグループを存続させることに夢中だった。

 メンバーが兵役から戻り、こうして6人が揃ったことで不安も取り除かれ、ふと祖母の顔が思い浮かんだのだろう。日本での独り暮らしは様々な事を脳裏によぎらせる。

 韓国では約2年間の兵役義務がある。彼がいま、母国に帰って祖母のもとで暮らしてもその1年後には兵役が待っている。この日の取材では終始笑顔だったがそれは努めてのこと。胸中は計り知れない。

 最新曲「ROKUTOUSEI」(ベストアルバム『CODE-V BEST~ROKUTOUSEI~』収録)は、6人で歌唱することを想定して作られた曲だった。

 これまでの曲は、彼らの歌唱力の高さを評価して、プロデューサーが描く世界観を忠実に表現していた。その目利きはズバリ的を得て代表曲はいくつも生まれた。

 それに対して「ROKUTOUSEI」では新たな試みがおこなわれた。ユニットとしての活動が活発になり始めた昨年のちょうど今頃。その活動を活かして自身たちで意思を反映させて作り上げていくことになった。

 6人が合わさっときを想定しての音作り。熟慮を重ねた。それぞれの強い思いや個性を発揮させながらも、バランス良く、まとまりがあり、彼らを象徴する音楽を目指した。それが「ROKUTOUSEI」だった。

 以前、大阪でのライブの時、ソルはこの曲についてこう話していた。「ROKUTOUSEIというのは、自分たちに似ていると思って作った曲。この曲が皆さんに力になる曲になれたら。心を込めて歌いたい」。それだけ思い入れは強い。

 ウシクもまた、この6人で主体的に取り組んだ制作経験は「大きかった」と語っている。

 星の明るさによって表す等級を等星と呼ぶ。六等星は肉眼で見える最も低い明るさを放つ星を指す。一説には、我々が見ている星の輝きは何百年前に発したものだとか。光が届くまで長い年月を要するほど地球とその星の距離は遠い。

 6人によるCODE-Vを投影させた「ROKUTOUSEI」は、先の星のように何年もかけて輝き続ける。ファン、そしてメンバーとウシクとの繋がりはこの曲で保たれることだろう。

 ところで、韓国の代表料理にプルコギがある。現地では肉を柔らかくさせるためにキウイを入れるという。ウシクは祖母にプルコギをふるまったが、キウイの分量を間違えたそうだ。祖母は「甘すぎる」と顔をしかめながも完食。まったく微笑ましい彼らしいエピソードだ。

 星は時に涙を誘う。しかし、彼らの“六等星”はきっと笑顔をもたらしてくれる。そして、この日見せた彼の愛嬌のある「笑顔」は、ファンの心をいつまでも灯し続けることだろう。(文=木村陽仁)

 ※なお、後日、インタビュー記事を掲載します。

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