ワンマンライブでファンにこれからの活躍を誓った阪本奨悟

 シンガーソングライターの阪本奨悟が9日、東京・原宿ASTRO HALLで、ワンマンライブ『Predawn ~君の鼻声と僕のしょっぱい涙~』を開催した。阪本は過去に、舞台『ミュージカル テニスの王子様』(2007年―09年)で主人公の4代目・越前リョーマ役を演じ、一躍人気に。シンガーソングライターに転身後、地道にライブを重ね、今年5月31日発売予定の両A面シングル「鼻声/しょっぱい涙」でメジャーデビューする。今回のワンマンでは、デビューシングルの楽曲も披露。阪本は「順風満帆だった俳優活動」と「これから」が接続された、印象深い夜を演出、その模様を以下に伝える。

マイナスから始まったからこそ

ワンマンライブを成功させた阪本奨悟

 フロアは開演前から、スタートを今か今かと待つファンで一杯だ。そのなかで、バンドメンバーがステージに現れると、温かい拍手が起きて、暗転。ファンの手拍子に続いて、阪本が入場する。阪本はアコースティックギターを肩から掛けると、まずは打ち込みのビートに合わせて、ブルージーなギター演奏を披露した。

 本日の1曲目は「Please me!!」。爽やかな曲調を、元気に歌い上げる。続いて「やっちゃいますか? やっちゃっていいですか?」と煽って、今回の目玉曲のひとつ「しょっぱい涙」へ。言葉数多めのAメロから、4つ打ちのリズムによるサビへ展開していく。阪本がフロアにクラップを求める場面もあった。

 「改めまして、『Predawn ~君の鼻声と僕のしょっぱい涙~』へようこそ! いやあ、満員ですね。凄く嬉しいです。ありがとうございます。皆で楽しい思い出をつくっていきたいと思います。感謝を存分に届けていきたいです」と軽くMCして、3曲目の「You Can Shine」を演奏。ロックな楽曲に、励ますようなリリックを乗せて歌う。さらに坂本は、レトロな日本のポップスを想起させる、「I Never Worry ~虹の向こうへ~」を繋げた。

 5曲目「オセロ」は、ギター2本が絡み合うイントロからスタート。サビの裏声と地声のコントロールが見事だった。続いて、力強い弾き語りから、阪本自身も思い入れがあるという「Fly」へ。強度あるメロディが印象的で、繰り返される度に吸引力を増す様に感じられた。最後は美しいギターソロで締める。

 ここでバックバンドが退場。ここからは阪本の弾き語りコーナー。まずは、以前のライブでファンからリクエスト2位だったという「NEVER」が、ルーパー(演奏をリアルタイムで録音して重ねていく装置)を使ってパフォーマンス。「役者を一端辞めた時は、どん底だったような気がします。マイナスから始まったからこそ、回りの人に感謝できた時間だったと思います」と過去を振り返った。

 さらに再度ルーパーを使い、ギターのフレーズを重ねてから弾き始めたのは「Treasure」。2年ぶりの演奏だという。シンプルな演奏だからこそ、阪本の歌が活きる。さらに後半では、自身のコーラスや、ギターのオクターブ奏法なども重ねてドラマティックに展開していった。

後悔を財産に変えたくて

バンドと演奏をする阪本奨悟

 バンドが合流してから、フォーキーなギターが特徴のミディアムバラード「ながれ」へ。フロアは波打つのを止めて、演奏に聴き入っている様子だった。そこから阪本は、「ラストスパート飛ばしていけますか?」と前置きして、本日のバックバンドを紹介する。そのまま楽曲「HeyHeyLaLa」へ。突っ込んだリズムのサビが、オーディエンスを心地良い気分へとさせた。

 ライブは終盤戦に突入。阪本はギターを下ろし、スタンドからマイクを引き抜いた。続く楽曲は「ハルカゼ」。身軽になった彼に合わせて、手を左右に振るオーディエンス。その後継に、思わず阪本も「めっちゃきれい」と叫んだ。爽やかで、体を揺らしたくなるポップなこの曲に、サポートギター・坂本遥のソロもキレ良く決まっていた。さらに「ネガイヲコメテ」を繋いで畳み掛ける。会場全体がさらにひとつになっていく波動を感じた。

 阪本は再度過去を振り返るMCを挟んだ。「大阪で始めた頃は怖かったんですよ。実際、大阪駅でアンプを転がしてみると、ギターの音は出るんですけど。路上で歌うのは怖い。あの頃を思い出すと、後悔もあります。でも、その後悔を財産に変えたくてやっているところもあって。これから新しいスタートを頂きました」とメジャーデビューに至るまでの、想いをスタッフや家族への感謝を交えながら届ける。

 そこから迎えた、セットリスト最後は、もうひとつのデビュー曲である「鼻声」。切ないイントロから、サビの裏声というコンビネーションにオーディエンスの心をキュンとさせた。心の底から楽しんでいる様子のフロアも印象的だった。「本当に今日は最後までありがとうございました。阪本でした」と言い残して、阪本は退場。

 その後、アンコールが起きて、阪本は再登場した。阪本はまず「しょっぱい涙」を、ルーパーを使って1人で披露。先程とはまた表情が変わって、同じ楽曲ながら、もう一度楽しむ事ができる演出だった。最後はバンドも加わり、3拍子系の「アスファルトに咲く花」を演奏。明るい雰囲気でこの夜は終演を迎えた。

 その後、阪本は「感謝しかないです。これからもっとたくさん良い歌を書きますので、僕についてきてください。また会いましょう!」と力強くファンに呼びかけた。

(取材=小池直也)

セットリスト

1Please me!!
2しょっぱい涙
3You Can Shine
4I Never Worry~虹の向こうへ~
5オセロ
6Fly
7NEVER(Acoustic ver.)
8Treasure(Acoustic ver.)
9ながれ
10HeyHeyLaLa
11ハルカゼ
12ネガイヲコメテ
13鼻声

アンコール
1しょっぱい涙(Acoustic ver.)
2アスファルトに咲く花

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