シンプルに音を鳴らせば自然とダンスミュージックに
――すべて作詞作曲は米田さんで、リハーサルスタジオで直接メンバーに聴かせて、その場でアレンジしていく作り方と聞いています。
米田貴紀 はい。だから歌詞は、いちばん最後です。僕らの場合は、歌メロや音でいかに踊らせるかというところを肝にしているので、そういうやり方がいちばんしっくり来るし、ノリが生まれるんです。
マイケル でも、その場で対応しないといけないので、いかにやりたいことを汲み取るかが大変です。その分、日々いろんな曲を聴いて、アイデアをストックしているんですけど、その作業も含めてすごく楽しいですね。
西田一紀 その場の瞬発力が求められる分、頭でこねくりまわしたものとは違う、勢いのあるものが生まれると思いますね。以前やっていたバンドとは違うやり方ですけど、すごく新鮮にやらせてもらっています。
鈴鹿秋斗 そもそも日本人が洋楽を聴くときって、最初から歌詞がそんなに入ってくるわけじゃないし。パッと聴いて入ってくるものが大事だと思うので。
――その場は、緊張感がありそうですね。
米田貴紀 僕が、こういうバンドっぽくしたいとか、こういう曲にしたいと言えば簡単だけど、それを言ってしまうと、それにしかならないと思うので。説明しないことで生まれる、受け取った側の、ちょっとしたズレや違いだったりで、曲の面白みが出来ると思っています。完成するまで時間がかかるときは何日もかかるんですけど、そのやり方は変えたくないですね。
――ロックバンドにおけるダンスミュージックという点では、どういう考え方ですか?
米田貴紀 そんなに難しいことではありません。もともとロックはダンスミュージックとして機能していて、実際にエルヴィス・プレスリーの時代は、みんなそれを聴いてダンスしていた。そういう意味では、シンプルに音を鳴らせば、自然とダンスミュージックになると思っています。
マイケル 日本のバンドは、感情に訴えかけるアプローチが多いと思うんですけど、僕らはいろいろな感情がある中で、もっとも分かりやすい「楽しさ」にアプローチしているバンドです。聴いて、楽しいから自然と身体が動いてしまうという流れを、シンプルに表現出来たらと思っています。
鈴鹿秋斗 「楽しませたい」のがいちばんで、「聴かせたい」みたいな欲は、あまりないかもしれないです。同じ「泣く」でも、「泣かせたい」ではなくて、「楽しくて自然と泣ける」という方が、僕ららしいと思うし、楽しさの中にある泣きのほうが、ロックっぽいと思います。
――そんなみなさんの音楽の楽しさが、より発揮されるのがライブとツアーだと思います。まず、1月に開催した全国ツアー『Too Shy A Key TOUR 2017』の感想を。
鈴鹿秋斗 西田が入って初めてのワンマンツアーでした。全国8カ所で東京はZepp DiverCity Tokyoという、この規模のワンマンも初めてだったので、照明も音響も含めてチームとして成長出来たツアーだったと思います。
西田一紀 良い意味での緊張感はありましたけど、やってみると余計な緊張はなくて。お客さん側に、迎え入れてくれる体勢があって、ありがたかったし、楽しく回ることができました。
マイケル 今まで詰め切れていなかった部分も、時間をかけて修正することが出来ました。自分たちを顧みることが出来て、それをリアルタイムで修正しながらやることが出来ました。
米田貴紀 終わってみて、次にやりたいことが見えました。やってないことのほうが多いので、まだまだ楽しみが先に残っている感じですね。
――6月に始まるツアーは「No rain,new days o' scene」というタイトルですね。
米田貴紀 毎回マネージャーが付けていて、単純にダジャレです。前回は年始だったので、「Too Shy A Key(年明け)」とつけていて。
西田一紀 何度も口に出して読んでいると、何かの日本語になっていくので、やってみてください(笑)。
米田貴紀 今回の4曲が、ライブにどういう影響を与えていくか、僕ら自身楽しみです。ワンマンが大阪と東京で、他は対バン形式ですけど、対バンツアーも初めてなので気合いが入っているし、ワクワクもしています。
マイケル 対バン相手は、雨のパレードさんやgo!go!vanillasさんなどの同世代もいれば、僕がベースを始めるきっかけになった大先輩のPOLYSICSさんとも一緒にやれるので、すごく楽しみです!
鈴鹿秋斗 “のれんに腕押し”にはならないように、しっかりと手応えを感じたいです!
(取材=榑林史章、撮影=浜野カズシ)
◆夜の本気ダンス 2008年に京都で結成、米田貴紀(Vo./Gt.)、鈴鹿秋斗(Drs.)、マイケル (Ba.)、西田一紀(Gt.)からなる4人組ロックバンド。2016年3月にメジャー1stアルバム『DANCEABLE』をリリース。中心人物の米田は、ルーツとして英バンドのブロック・パーティーやフランツ・フェルディナンド、アークティック・モンキーズ、そしてASIAN KUNG-FU GENERATIONなどを挙げ、ASIAN KUNG-FU GENERATIONトリビュート・アルバム『AKG TRIBUTE』では、「N.G.S」をカバーしている。
作品情報
夜の本気ダンス メジャー2ndシングル「SHINY E.P.」 リリース日:4月26日 収録曲数:全4曲 初回限定盤(CD+DVD)1700円(税抜)VIZL-1151 通常盤(CD)1200円(税抜)VICL-37266 収録曲 初回限定盤付属DVD |
ライブ情報
夜の本気ダンス全国ツアー『No rain,new days o' scene』
6月4日大阪・Zepp Osaka Bayside (ワンマン) |