LEO、日米ハーフ筝曲奏者が語る音楽のジャンルを超えた箏の魅力
INTERVIEW

LEO、日米ハーフ筝曲奏者が語る音楽のジャンルを超えた箏の魅力


記者:小池直也

撮影:

掲載:17年04月10日

読了時間:約14分

箏の良さを引き出せる曲が少ない

箏の可能性を語るLEO(撮影=小池直也)


――アルバムについて教えてください。

 今の自分の演奏で高いレベルの物を全て録る事ができたと思いますし、今までの音楽が濃縮されているという感じはあります。選曲は先生などと相談して決めました。色々なジャンルがある方が、聴いて頂く方にとっては楽しいかなと。お箏の曲でも「春の海」(※編注=箏曲者・宮城道雄が作曲した箏曲。お正月によく流れる曲)とか誰もが知っている曲など色々な曲を入れました。

 ちょうど大学の受験のタイミングもあって、詰めてレコ―ディングをしました。12月から練習し始めて、12月の終わりが録音。その間に7曲目の「十七絃箏のためのさくら変奏曲」も作曲をしなくてはいけなくて。ですので、限られた時間の中でのレコーディングでしたので、今までの人生で一番練習しました(笑)。好きな事なのでそんなにつらいとか、苦しいとかは思わなかったです。

 「十七絃箏のための さくら変奏曲 Sakura」は17絃弦の低音が出る箏の曲です。十七絃箏の音も僕は好きで。この曲は自分の作曲なので、僕の表現したい事がわかりやすく出ているのかなと。高校1年生の頃から作曲は勉強し始めていて、当時から「プロになった時に自分の曲で演奏したいな」と思っていました。そちらの方が自分の表現したい事ができるし、「自分で箏の為の音楽を増やしたいな」という気持ちもありました。今まで7、8曲くらいは書いたと思います。

 普通に洋楽の現代音楽(現代のクラシック音楽)作家が書かれた箏の曲は、現代音楽の良さはありますが、箏の良さを全部引き出せていないかなと感じるんです。箏の良さを理解しているからこそ作れる音楽があるはずなので、自分の箏の知識を活かしつつ作曲できたらなと。最近は『この音とまれ!』(漫画家アミュー作)という箏のマンガが流行っていたり、筝曲部というものがあるので、そういうところで箏を知っている若い人もそうですけど、普段聴かない人に聴いてほしいですね。

――ジャズスタンダードの「テイク・ファイブ」とモーツァルトの「トルコマーチ」を選曲された理由は?

 まず「トルコマーチ」はアルバムに収録する前に演奏会で弾いたことがあります。この曲はモーツァルト「トルコ行進曲」のアレンジなので、ピアノの曲です。でもピアノは鍵盤が沢山あるのに対して、箏は絃が13本しかない。どう演奏するかというと、「押し手」というテクニックを使って、絃を左手で押して音を半音から全音に変えたり(ギターのチョーキングに似ている)。

 あとは「転調」と言って白い箏柱をずらして、調弦自体(チューニング)を変えたりしつつ、ピアノの左手と右手の動きを弾かなきゃいけないので凄く忙しいんです(笑)。でも完成した曲を聴くと、ピアノのオリジナルも勿論良いのですが、お箏ならではの良さも出ていて良い曲になったと思います。

 「テイク・ファイブ」もあまりジャズを箏で弾こうという事もないと思うんですけど、意外にマッチしたなと思いました。アドリブの部分も他の楽器にはない味が出ていて良い感じに仕上がったと思います。基本的に洋楽をお箏で弾く時はドレミに柱を並べて(チューニングして)、途中で出てくる半音は先ほどの「押し手」で補うんです。それでも無理な場合は箏柱を動かしてっていう風になるんです。「トルコマーチ」は神田佳子さんというマリンバ奏者の方が、アレンジした曲なんですが、「テイク・ファイブ」は楽譜を貰ってから、自分でどうやったら弾きやすいかを考えながら調弦を工夫しています。

 洋楽の曲は五線譜で頂いてから、箏奏者が読みやすいように五線譜の下に絃の番号(1~13)を割振っていきます。大体、洋楽の方が箏の為に書いた曲は五線譜で書かれていますね。お箏の曲は市販のものだと縦譜が多いです。音符じゃなくて、絃の番号が縦に並んでいて、それを読みながら弾くっていう感じですね。縦読みになっています。最初に箏を習う時はその縦譜から入って、ゆくゆくは五線譜も読める様になっていくという感じですね。リズムの書き方も全然違いますけど、五線譜に触れ始めたのは中学生くらいの時でしたので、今は、違和感はないです。

――クラシックも聴かれるんですか?

 はい。高校で作曲を勉強し始めたくらいから、クラシックをよく聴いていました。印象派(※編注=20世紀初頭の仏で興ったクラシック音楽の流派の1つ。気分や雰囲気の表現に比重を置いた音楽様式)とか、バルトーク・ベーラ(ハンガリーの作曲家)などの20世紀の前半の現代音楽に凄くハマって。学校の音楽の授業でちょっとずつ全部の時代の音楽を聴いていった時に、その時代の音楽が魅力的に感じました。

 家でもそういう現代音楽をずっとYouTubeで聴いたりして。自分の作曲もそれに影響されたりもしています。ポップスだと米歌手のブルーノ・マーズが凄く好きですね。あとはEDMだとスクリレックス(米アーティスト)とかも。最近はロックにハマっていて、ONE OK ROCKやMAN WITH A MISSIONをよく聴いたりしています。

 踊れる音楽が好きなんですよ。外国人はパーティ好きなので(笑)。そういう音楽がかかって皆で踊ったり騒いだりという感じですね。それから朝支度をしながら、家のスピーカーでノリノリな音楽をかけたり。基本的に家では音楽がかかっていて、暇な時は音楽聴いているか、音楽を弾いているかです。

この記事の写真

記事タグ 

コメントを書く(ユーザー登録不要)

関連する記事