第25回モンブラン国際文化賞を受賞した坂本龍一。左手は村上龍氏。

 音楽家の坂本龍一(64)が21日、『第25回モンブラン国際文化賞』を受賞し、授賞式に出席した。授賞式後の囲み取材で坂本は、来年発表されるグラミー賞にノミネートされえいることについて「こればかりはどうなるものでもない」とコメント。さらに年内での解散を発表しているSMAPについて「日本の芸能界のことは知らないから…解散しちゃうの?」と驚いた様子を見せた。

 『モンブラン国際文化賞』は、モンブラン文化財団が、若い才能の擁護・育成などに尽力する芸術と文化の支援貢献者を表彰する国際的な文化賞。1993年に創設され、今年で25回目を迎える。受賞者は、世界各16カ国から1人ずつ選出される。

 坂本は、音楽や舞台芸術、絵画などあらゆるフィールドで活躍する、若きアーティストの才能を伸ばすプロジェクトや、楽曲リリースおよびコンサートを通じて多くの観衆へ彼らの才能を広めるサポートをしてきた功績が評価された。日本からはこれまで、アーティストのオノ・ヨーコや、指揮者の小澤征爾など世界的に活躍する文化人が受賞している。

 坂本は同賞の受賞に関して、「オノ・ヨーコさんや小澤征爾さんが受賞してきた賞を僕なんかが貰っていいのかな、と思っています。これをしっかり受け止めて、精進していきたいと思います」とコメントした。

 式典後は坂本が囲み取材に応じ、記者からの質問に答えた。年内で解散するSMAPについては「あ、そう? 日本の芸能界のことは知らないから…解散しちゃうの?」と日本のトップアイドルの動向に驚いた様子を見せた。

 また、来年2月に発表されるグラミー賞にエントリーされていることについて「こればかりは自分ではどうにもならないから」とコメント。更に、今年亡くなった、デヴィット・ボウイさんについて「今でも信じられないですね。もう少しゆっくりと話す時間を持てば良かったな、と後悔しています」とその死を悼んだ。

 2014年に中咽頭がんを患っていることを公表し、心配される体調については「こればっかりは神のみぞ知るで…できることはやっている」と答えるに留まった。

 この日の授賞式には、プライベートでも親交のある作家の村上龍が出席し、祝辞を述べた。村上は「坂本くんとの気の利いたエピソードを紹介しようと、20個くらい書き出したんだけど、ここじゃ話せない(笑)」と語り、会場は笑いに包まれた。

 村上はコンサートや、映画の試写会など招待席で、いつも坂本の母親の隣に居合わせていたと言い、母親とのエピソードを紹介。ある冬の雨の日に、車から坂本の母親を見かけた村上は乗るように声を掛けたが、彼女は「大丈夫、私は駅まで歩きます。ありがとう」とその場を立ち去ったという。村上はその際「ああ、坂本くんはこういう、自立心の強い方から産まれたんだなぁ」と感心したという。坂本も「それは良い話だね」と笑顔を見せた。

 式典で坂本は、自らが監督を務める、東日本大震災を体験した小学生から大学生までの混成オーケストラ「東北ユースオーケストラ」から、ヴァイオリン並びにチェロの奏者2人と「Merry Christmas Mr.Lawrence」(戦場のメリークリスマス)「美貌の青空」を演奏した。(取材・松尾模糊)

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