アルスマグナなぜ人気？女子好みのキャラを２つの世界で表現

　２．５次元コスプレダンスユニットのアルスマグナが12月14日に、2ndアルバム『アルス上々↑↑↑』をリリースした。近年活躍が目覚ましい２．５次元で活動するユニット。そのなかでも彼らは日本武道館公演を成功させ、来年には二度目の武道館が決定するなど注目を集めている。なぜ彼らは人気を得ているのか。

女子が好むキャラがリアルの世界で

　アルスマグナは、三次元と二次元に存在するダンスユニット。全寮制の共学高校「私立九瓏ノ主（クロノス）学園」を舞台に活動している。メンバーは、九瓏ノ主（クロノス）学園の高校生、神生アキラ、泉奏、朴ウィト、榊原タツキ、化学教諭九瓏ケント、ぬいぐるみのコンスタンティンの５人と１匹。

　最大の魅力は一人ひとりに、人を惹きつけるキャラクター性があるということだ。

　まず、アルスマグナのセンターを務めているのが神生アキラ。赤い髪が印象的で、明るく正義感が強いバスケが得意なスポーツマン。その反面不器用で寂しがり屋な一面も持ち合わせている。漫画やアニメの主人公を思わせるキャラだ。

　そんな彼を支えるのが、トレードマークの眼鏡に、常に冷戦沈着な秀才キャラの泉奏。純水で素直な心を持っている韓国人と日本人のハーフ、朴ウィト。

　うさぎのぬいぐるみコンスタンティンといつも一緒の甘えん坊の榊原タツキ。九瓏ノ主学園の理事長の息子でもあり、アキラと奏の担任教師も務める化学教諭の九瓏ケント。

　そして、いつもタツキに抱えられているスウェーデン生まれのうさぎのぬいぐるみコンスタンティン。

　漫画やアニメの世界にいるキャラクターが二次元だけでなく、三次元に実在しているところがポイントである。女子が好きそうなキャラクターをここまでリアルに表現したからこそ、反響を呼んだともいえる。被らないその５人と１匹の個性豊かな性格が人々の心をくすぐるものがある。

ジャンル問わないコラボが大きな鍵となる

　今年７月13日にリリースされた5thシングル「サンバDEわっしょい！feat.九瓏幸子」では、演歌界の小林幸子と夢の共演を果たしている。

　小林扮する九瓏幸子は、アルスマグナをコミカライズした『アルスマグナ アンソロジー』の作品中で初めて登場した新キャラクターで、九瓏ケントの祖母である。年齢不詳の美しい容姿を持つことで周囲から妖怪扱いされている人物で、普段は海外を転々とし、現在はブラジルにある大きな屋敷で暮らしているようだ。

　その九瓏幸子とコラボした楽曲「サンバDEわっしょい！feat.九瓏幸子」では、サウンドがかなりのお祭りソングテイストで構成されており、大御所歌手・小林幸子が持つ、こぶしと現代的のメロディー、そして、アルスマグナが持つキレキレのダンスパフォーマンスが見事にハマった。

　また、11月２日にリリースされた「気分上々↑↑ feat. SAE TOKIMIYA』では、元SKE48兼SNH48の宮澤佐江が扮する、朱鷺宮佐江（ときみや・さえ）とコラボ。2006年にヒットしたmihimaru GTの「気分上々↑↑」をカバーした。

　これらを踏まえ、様々なジャンルのアーティストを私立九瓏ノ主学園の舞台に引っ張り込みストーリーを展開していくのも、彼らがヒットしている鍵ともいえる。そうすることで、既存のファンだけではなく異色の化学反応として他者からのインパクトを獲得していることは確かだ。

メッセージ性のある楽曲とのギャップ

　キレキレダンスが話題を呼んでいる彼らでもあるが、その反面、聴かせ曲が数多く存在しているのも確かだ。今作の2ndアルバム『アルス上々↑↑↑』には、４thシングルの「マシュマロ」や「イブのスープ」、６thシングルでもあり、９月17日に公開されたアルスマグナ初出演映画『ザ・ムービー　アルスマグナ危機一髪！』の主題歌にもなっている「Ever Yell」、そして、「未来ツナグ」といったバラード調の楽曲など幅広くラインアップされている。

　歌詞に込められている想いは、誰もが共感できるわかりやすいメッセージ性のある楽曲の割合が高い。明るくポップなお祭り騒ぎの楽曲も最大の魅力だが、その裏に隠されている繊細な感情を赤裸々に歌い紡いでいる部分には、いつもとは一味違うギャップを感じる。

　それに加えて、バラード要素の曲調でも音に見合ったダンスパフォーマンスをするところにも圧巻を覚える。臨機応変に対応できるそのダンス能力のポテンシャルの高さは注目だ。

　そんな彼らは二度目の日本武道館公演を控えている。２．５次元という特異な世界観でファンを魅了する彼ら。来年はどのような年になっていくのか、気になるところだ。

（文・橋本美波）