囲み取材に応じたクミコ(撮影・桂 伸也)

囲み取材に応じたクミコ(撮影・桂 伸也)

 歌手のクミコが24日、東京・六本木のEX THEATER ROPPONGIで、CDシングル「さみしいときは恋歌を歌って/恋に落ちる」の発売を記念したコンサート『クミコスペシャルコンサート2016』を開催。「さみしいときは恋歌を歌って」の作詞を手掛けた松本 隆氏、作曲とコーラスを担当した秦 基博がゲスト出演した。クミコにとって松本 隆氏とは2000年来16年ぶりのコラボ。クミコは「お互いに歳をとりましたね」とその歳月を振り返った。また、秦 基博は「お会いする前から緊張していまして」とも照れ笑いを浮かべた。

「恋の歌」は自然発生的だった

熱唱するクミコ(撮影・桂 伸也)

熱唱するクミコ(撮影・桂 伸也)

 クミコが「クミコwith風街レビュー」名義でリリースした、今作の両A面シングル収録曲「さみしいときは恋歌を歌って」と「恋に落ちる」は、両曲とも作詞家の松本隆氏が歌詞を担当している。両氏の関係は2000年、当時46歳だった「高橋クミコ」を松本氏が発掘したことに始まる。松田聖子以来、久々に女性歌手をプロデュースしたアルバム『AURA』で、「高橋クミコ」から「クミコ」に改名して再デビューさせて注目を集めた。

 今回の松本とのコラボに関して、クミコは「これまで命とか、普遍的だけど重めなものを歌っていたので、松本さんとこの辺で恋の歌なんてやってみたいなっていうのが自然発生的に思っていたら、ちょうど松本さんもそういう時期だったのか、そういう恋の歌を作ってくださったので、すごくラッキーだったなと思いますね」とその経緯を振り返った。

 また、その内容については「物語ではなく、『恋に落ちちゃった』みたいな歌でして。恋に落ちている人の気持ちを表した歌かと思います。だから松本さんの歌としては、物語というよりは心象風景を淡々とつづっている形になっています」と松本の作品に対する印象を明かした。

 さらに「私の世代の方が、どの方々が、こういった重みの違うものをどの程度理解して、いいと思っていただけるかはわからないですけど、なんとなくさっぱりとした後味のいい恋というものが中高年の方にはいいんじゃないかと」と自身の描く曲のイメージを語った。

 続けて「人生の秋冬というか、(私自身は)今までは夏で、これから冬の季節を歩いていくということになると思うんですが、その中でこんな風により沿ってくれる歌があるということがいいな、と思っています」とこれからの自身にとっても大切な曲であるという思いも述べた。

秦 基博と永積 崇が作曲で参加

クミコと秦基博の共演を見守る松本隆(左)(撮影・桂 伸也)

クミコと秦基博の共演を見守る松本隆(左)(撮影・桂 伸也)

 また、今回の楽曲「さみしいときは恋歌を歌って」は、シンガーソングライターの秦 基博、「恋に落ちる」はハナレグミの永積 崇が作曲を担当している。

 この楽曲を歌うにあたり「2曲とも若い方が作ってくださっているので、私がこれまで歌ってきた音楽とずいぶん違う種類の曲なんです。だから、その若い人のリズム感に自分も歩み寄って合わせながら、松本さんの詞と合わせていくという。そういう意味では逆に、すごく勉強になったと思いますね」と新たな刺激を受けたとも。

 更に、「この歌が若い世代に届くかどうかわかりませんが、そういう意味では秦さん、永積さんが参加していただいたというきっかけで、興味を持ってもらえれば」と作品をアピールした。

 今回コラボに参加した松本は、2000年にリリースされたクミコのアルバム『AURA』で作詞参加して以来、クミコとは16年ぶりの再会となる。「お互いに歳をとりましたね」とその年月を振り返りながら、クミコは松本に対して「今回も何かにつけ取材、打ち合わせと出てきていただきましたし、本当に申し訳ない」と謝罪の言葉とは裏腹に、深い感謝の思いを投げかけていた。

緊張していた秦 基博、松本氏とゲスト参加

談笑する、左から松本隆、クミコ、秦基博

談笑する、左から松本隆、クミコ、秦基博

 ライブでは、第1部は2000年に松本がクミコに詞を提供したものを中心に、ニューシングルの楽曲を合わせた構成のセット、第2部はその他のクミコ自身が歌ってきた曲で構成されたセットにてステージが進行された。

 第1部の1曲目に披露された「最后のダンス・ステップ」は1996年にクミコがリリースしたアルバム『世紀末の円舞曲』に収録されたナンバーで、このアルバムを松本氏に聴かせながら、合わせてライブで楽曲を披露、この曲自体をもともと松本がプロデュースしていたことがきっかけで松本はクミコに注目し、当時のコラボが実現したという。

 松本は、この「恋に落ちる」の披露前にクミコの呼び込みによって観客席よりステージにゲストとして登場。今回、恋の歌を作った理由をライブ中にクミコに尋ねられ「なにかテレビとか見ていると『生きるか死ぬか』といつも切羽詰まったようなことを言っていて『そんなに続けなくてもいいんじゃないか?』と思ったから」と冗談っぽくもクミコの思いと同調していた様子を見せていた。

 さらに「さみしいときは恋歌を歌って」では、秦 基博がコーラスとしてゲスト登場。秦 基博は今回のクミコ、松本とのコラボに関して「緊張していました。まだお会いする前から緊張していまして。でも、絶対いい曲を作りたいと思っていました」と自身の参加に対して強く意気込んでいた様子を明かした。

セットリスト

<第1部>
01. 最后のダンス・ステップ
 (詞&曲:あがた森魚)
02. 接吻
 (詞:松本隆 曲:植野慶子)
03. 心の指紋
 (詞:松本隆 曲:筒美京平)
04. お帰りなさい
 (詞:松本隆 曲:筒美京平)
05. チューリップ
 (詞:松本隆 曲:JY Choi)
06. 情熱
 (詞:松本隆 曲:筒美京平)
07. 恋に落ちる
 (詞:松本隆 曲:永積崇)
08. さみしいときは恋歌を歌って
 (詞:松本隆 曲:秦基博)
09. 鳥の歌
 (詞:松本隆 曲:カタロニア民謡)

<第2部>
01. 広い河の岸辺
 (詞:八木倫明 曲:スコットランド民謡)
02. わが麗しき恋物語
 (詞:覚和歌子 曲:Barbara)
03. コメディアン
 (詞:岩谷時子 曲:アズナブール)
04. 愛の讃歌
 (詞:岩谷時子 曲:M.Monnot)
05. 地下鉄の切符切り 
 (詞:古賀力 曲:S.Gainsbourg)
06. 世情
 (詞・曲:中島みゆき)
07. うまれてきてくれて ありがとう(詞:湯川れい子、曲:つんく)
08. 幽霊 
 (詞:高野圭吾 曲:Charles Trenet)

<アンコール>
E01. ともだち 
 (詞:永六輔 曲:いずみたく)
E02. 一日がもっと長ければ
E03. さみしいときは恋歌を歌って
 (詞:松本隆 曲:秦基博)

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