七夕の夜に大人の夜を演出した、平井堅

七夕の夜に大人の夜を演出した、平井堅

 シンガーソングライターの平井堅が7日、千葉・幕張メッセで『Ken's Bar 2016』を開催した。98年5月に第1回が開かれた『Ken's Bar』は、大人の空間を演出したコンセプトライブ。この日もアコースティック編成で、1st Stageと2nd Stageの2部をおこない、全17曲を披露した。6日にリリースされたばかりの9thアルバム『THE STILL LIFE』からの新曲や、カバー曲、更には訪れた観客からのリクエストソングを見事に歌い上げた。織姫と彦星が肩を寄せ合う七夕に、その圧倒的な歌唱力と、澄んだ歌声で素敵な大人の夜を演出した。

熱帯夜となった七夕

 この日は茹だるような真夏日、日が落ちても半袖1枚で過ごせる熱帯夜となった。千葉市美浜区の海浜幕張駅からほど近い会場には、煌びやかなドレスで着飾った貴婦人などが集い、七夕の夜を彩っていた。会場のステージ前にはテーブル席も設けられ、大人の夜を演出していた。

 海岸にあるバーを模したステージに、ピアニストとギタリストが真っ白な衣装に白いパナマ帽を被った出で立ちで登場し、それぞれが中央に設置されたピアノと、1人掛けソファに腰かけスタンバイする。少し遅れて、紫のシャツを着た平井堅が登場。観客から歓声が上がり、拍手が巻き起こった。

 平井の歌い出しから「思いがかさなるその前に…」を披露。真夏の熱帯夜に優しく染み渡る歌声に観客は静かに聴き入る。続けてピアノの伴奏とともに「君の好きなとこ」を演奏。出番を待つギタリストは、ステージ右奥に設けられたバーのカウンターに腕を掛け、バーテンダーが作るカクテルを受け取るなど、細部にまでこだわった演出で、会場が本当のバーのように寛げる空間になっていた。平井はピアノ伴奏に乗せて見事なファルセットを披露し、会場は大きな拍手で応えた。

“彦摩呂”が愛の歌を届ける

 ここで平井が「Ken's Barへようこそ!」と挨拶。まずは「平日の、なかなかこのアクセス大変なところに、こんなにたくさんのお客さんに来て頂いて本当にありがとうございます」とお礼を述べた。「今日は皆さんご存知の通り、七夕でございまして年に1回、“彦摩呂”と織姫じゃなかった、彦星と織姫が出会うロマンチックな夜です。今宵は僕が歌の“彦摩呂”じゃなかった、彦星として皆さんに命がけで愛を届けようと思います」と一笑いを入れながら今夜の意気込みを語った。会場は瞬時に和やかな雰囲気に包まれた。

 平井の「『Ken's Bar』(1st STAGE)は、楽器1本と歌だけでどれくらいいけるかという、トライということで」との言葉通り、1998年のモーニング娘。のヒットシングル「抱いて HOLD ON ME!」をパーカッションのみの演奏の中、アカペラでカバー。曲のイメージをガラリと変えた、平井のズバ抜けた歌唱力でのみ成立する大胆なアレンジで披露した。打って変わって、今なおヒットを続ける俳優・桐谷健太扮する“浦ちゃん”こと浦島太郎の「海の声」を、ギターの弾き語りで歌い上げた。青い照明に照らされたステージが南国の海岸を想起させる。

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