アコースティックコーナーやカバーコーナーを展開

「Life is」でデュエットしたさかいゆうと高宮マキ

「Life is」でデュエットしたさかいゆうと高宮マキ

 ここからアコースティックコーナーへ。さかいの憧れのボーカリストでもあるサポートメンバーの高宮マキとデュエットで「Life is」を披露。高宮の日本人離れしたソウルフルな歌声と、さかいの芯のあるシルキーな歌声が合わさって優雅な空間を作り上げていった。Fender Rhodesの音色が印象的に響く「薔薇とローズ」では、サポートメンバーの吉岡悠歩を加え、絶妙なコーラスワークで楽曲を彩っていく。声と鍵盤だけというシンプルな構成で、歌の持つ力を体現していくようだった。

 そして、カバー曲コーナーへ。小沢健二 featuring スチャダラパーの「今夜はブギーバック(NICE VOCAL)」をピアノをフィーチャーしたアレンジでスタイリッシュに聴かせた。高知県出身のさかいは、高知県民謡の「よさこい鳴子踊り」をパワフルさを残しながらも、さかいらしいAORアレンジで展開。そして、MISIAのデビュー曲「つつみ込むように…」では、体が跳ねるようなグルーヴの中、さかいのファルセット(裏声)が美しく印象的にホールに響き渡った。

 2001年、アメリカに留学していた時に良く聴いたセンテンス「アメリカ イズ ジャスティス」という言葉から15年越しに作った曲だという「SELFISH JUSTICE」を披露。さかいは独り言のようなモヤモヤした曲と話したが、サウンドは熱いメリハリの効いた前衛的なアレンジで、コンテンポラリーでエネルギッシュな演奏で魅了。起承転結のある楽曲構成で、JUSTICEという言葉の重みを体現しているかのような歌と演奏に、オーディエンスも圧倒されていた。

 クリムゾンレッドの照明によってステージが真っ赤に染まり、アコースティックギターの音色が情熱的に響く「愛は微熱」を演奏。「あっという間でした、次の曲で最後です」と眩いライティングの中、大地を踏みしめるような力強さを感じる新曲「再燃SHOW」を披露。4つ打ちロック要素を彷彿とさせる、開放感あふれるナンバーで本編を終了した。

新曲「But It's OK !」を初演奏

『TOUR2016 “4YU”』の模様

『TOUR2016 “4YU”』の模様

 アンコールを求める手拍子が鳴り響く。再びステージに戻ってきたさかいとバンドメンバーたち。アンコール1曲目はPrinceの「Purple Rain」。熱いコーラスワークで彩られ、圧倒的なスケール感、原曲の持つ良さを更にブラッシュアップし、さかいらしさを前面に押し出した演奏に耳を奪われた。

 そして、7月10日(日)スタートのNHKプレミアムドラマ『受験のシンデレラ』の主題歌に決まった新曲「But It' s OK !」を初演奏。オーバードライブしたギターとドラムの高速なハイハットワークが曲の疾走感を強調し、さかいの歌声もアクセントを強めにパワフルに響く。さかいは「この曲だけ緊張しちゃった。もう一回やりたいぐらい」と初演奏の楽曲に緊張したことを、ユーモアを交え話した。

 「最後はゆっくりと聴いて欲しい」とラストはペルシア語で“天からの贈り物”という意味を持つ「ジャスミン」を披露。「大切なジャスミンを想いうかべながら聴いてください。自分は僕のジャスミンを想像しながら歌います」とさかい。ゆったりとしたリズムと音にホールが包まれる。訪れたオーディエンスに語りかけるように、歌うさかいの声が響き渡った。曲のアウトロが流れる中、さかいが「言ってないことがありました。僕のジャスミンはあなた方だ!! ありがとう」と力強い声で叫び、『TOUR2016 “4YU"』の幕を閉じた。

 類稀なる歌声は、いつまでも聴いていたくなる。時に力強く、時に優しく表情を変え聴くものをさかいゆうの世界観に惹きつけていく。音楽と歌の力を再確認したライブであった。12月21日・25日には大阪と東京でスペシャルライブ「“POP TO THE WORLD”SPECIAL」も決定し、どのような歌と演奏で楽しませてくれるのか期待は高まるばかりだ。(取材・村上順一)

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