トークセッションをおこなったスカパラ谷中敦と加藤、そして白石和彌監督(撮影・橋本美波)

トークセッションをおこなったスカパラ谷中敦と加藤、そして白石和彌監督(撮影・橋本美波)

トークセッションをおこなったスカパラ谷中敦と加藤、そして白石和彌監督(撮影・橋本美波)

 東京スカパラダイスオーケストラ(スカパラ)の谷中敦(49=バリトンサックス)と加藤隆志(44=ギター)が7日、都内でおこなわれた、映画『日本で一番悪い奴ら』(主演・綾野剛、7日公開)のトークイベントに出席。同映画の主題歌を担当するスカパラを代表して、白石和彌監督とのトークセッションに挑み、主題歌に込めた想いなどを語った。

 映画は、“日本警察史上最大の不祥事”と呼ばれる実在の事件をもとにしたエンターテイメント作品。ニューヨーク・アジア映画祭ではオープニング作品として上映され、主演の綾野剛がライジング・スター賞を受賞するなど国内外から注目を集めている。

 このイベントは7月2日~8日の期間、白石和彌監督による“7日間連続トークイベント”として開催され、今回で第6弾。ゲストに、本作の主題歌「道なき道、反骨の。」を担当したスカパラから谷中と加藤が参加した。スカパラは新宿日悪署でのゲリラライブも記憶に新しく、主題歌もリリースされたばかりだ。

 谷中は「感動した」「大傑作」と太鼓判を押しているが、加藤と同様に、白石監督とは意外にも今回が初対面。互いに会うのを楽しみにしていたようで、白石監督は「いつスカパラに会えるんですか?」とプロデューサーにずっと問いただしていたようだ。

 スカパラの2人にまず映画の感想を聞くと、谷中は「僕は、49歳なんですけど僕ら世代には本当にたまんない映画。色々踏み込んで描いてるし、映画らしい娯楽が凄いあるので結構エグい内容ですけど、昔の昭和の映画のような痛快感もあります。好きな映画です」と絶賛。

 加藤も「僕は、綾野剛くんが結構役者さんとして凄く好きで、最初このお話しを頂いたときも“あ! これでお会い出来るかな”とかそういう視点もありました。綾野剛くんもだけど、しっかりすっかり白石監督のファンになってしまった(笑)映画も実話が題材となっているので、日本にこんな事件があったのかと思い知らせるほどこの映画でリアリティを感じ、一番悪い奴らは誰なんだろうといろいろ考えさせられました」と賛辞を送った。

 また、本作で描かれている“悪い奴”のパワーについて、谷中は「悪い奴らの仲間には入りたくないにしても、みんなすごい必至に生きてるなって。悪い人間って、凄いパワーがあると思うので嘘を嘘に塗り替えていくと思うからテンションがハンパない。正直者は正直者で頑張らないと嘘つきのテンションには敵わないっていうか。そういう意味では悪い奴らのパワーはハンパないんで、こういう映画とかから悪い奴らをエナジー摂取して、消火してポジティブなエネルギーに変えたいなって。音楽がよくそういうことをやっていますね」と持論を展開した。。

 一方、白石監督には、スカパラに主題歌を依頼した理由を聞くと「まず、劇中の曲を少しエンターテインメントにしたいのと、同時に勢いのテンポ感のある映画にしたいっていう気持ちがあったんです。少しスカの要素を劇中の音楽で入れていきたいなって。そのうえでスカパラさんどうですか?って。とりあえずダメ元で押しました。でも、あたるだけあたってみましょう! ということでお話しをさせていただいた所、心よくお返事をいただいて。しかもKen Yokoyama(横山健)さんも一緒に! と逆にご提案いただいて。あとは、谷中さんに下手くそな手紙を書いてお渡ししたんです」と説明、熱烈的なアプローチをしたことを明かした。

 更に、白石監督は「今回の曲で横山健さんと終わってしまうのはもったいないですよね」と寂しさを見せるも、加藤から衝撃の一言が…。「実は、またその話もあるんですよ」と、その言葉に会場が騒めいた。白石監督は「ちょっと映画を作るのが追いつかなくなるな(笑)」と次回作の制作にまんざらでもない表情。

 それに対し、加藤は「逆に映像つけて欲しいぐらい。この映画とそれを超えたところにもメッセージが届くような、監督とリンクする部分があるのかなと思っていて。今作が出来上がったとき、映画の最後に曲が流れたときにそれがリンクしたなって思う瞬間があった」と後押しをした。

 白石監督は「僕はスカパラさんの曲を最初にいただいて、6月22日まで唯一日本で世界で一番ずーっと聴いていたと思います。若干発売するとき寂しくなり…(笑)俺だけのもんじゃなくなるなんて」とアツく語り、満ちたスカパラ愛を表現。

 谷中に、歌詞を書く過程で考えたことを聞くと、横山健との共通点を明かしながら、歌詞に込めた想いを以下に語った。

 「監督のお言葉をいただいて、映画を見る前に書き始めてたんです。横山健という人間もパンクロックでインディーズシーンをずっと道なき道で走っていて。スカパラもスカっていうジャンルの音楽が日本で通用するのか? で道なき道で来ていました。昔の人間っていうのは脱線してでも到達点が良かったらそれで良かった。今はちょっとでも脱線するとお前脱線してるよって終わる所もあるんで、世の中的にもっと面白く生きて欲しい若い人たちにって気持ちが凄いありました。そういう意味を踏まえて、映画の内容も踏まえての、恨まずに終わりにしようかっていう。色んな人のこと恨んでると、先進めなくなっちゃうけどお互いに恨まずに無我夢中でいこうよっていう。そういう意味で道なき、道をこの映画にリンクさせて考えてみました」

 今後次回作があるかもしれない決意を熱く約束したトークは幕を閉じた。(取材・橋本美波)

Photos

記事タグ