言葉大切にしてる、GOOD ON THE REEL 冒険心描いた「雨天決行」
INTERVIEW

言葉大切にしてる、GOOD ON THE REEL 冒険心描いた「雨天決行」


記者:村上順一

撮影:

掲載:16年07月05日

読了時間:約16分

情景しか書いてないけど、意味を見出すような言葉が好き

千野隆尋

千野隆尋

――「雨天決行」はとてもストレートな詞ですが、比喩表現などにも工夫を?

 例えば夕立と言っても雨だけではなく、「悩んで 落ち込んで 傷ついて」というフレーズにも、表現として比喩的に掛かっていたりするんですよ。心の傷みたいなものの対比も考えて書いていますね。

――千野さんの声と歌詞との関係性で、声と相性が良い言葉とかありますか。

 言葉選びで「この声でこんなこと言ったら」とかはあまり考えないですね。

――言葉は探しながら書くタイプですか? それとも自然に出てきた言葉で構築する?

 両方ありますね。けっこう僕は詞(ポエム)みたいに書くのが好きなんです。情景しか書いてないけど、その中に意味を見出すような言葉だったり、そういうのが好きなんですよね。「雨天決行」は子供の視点から書いているので、直接的な言葉が多いんですけど、「ビンのふた」という言葉でも、どのように感じさせられるか、多角的に捉えられるものが僕は好きなんです。

 個人的には「ビンのふた」は、僕がジュースやビールビンの王冠を集めていたこともあって、それ自体に懐かしさがあるんですよね。「父さんの腕時計」もその中の一つですね。ジャケットにも腕時計を描いてくれていて、そこも嬉しかったですね。サビは割と直接的に書いているんですけど、AメロBメロは、情景的なところから感じて欲しいというのがありますね。

――難しい言葉の方が箔が出るのでどうしても使いたくなりますが、千野さんの言葉はとても分かりやすい。飾らないと言いますか。意図的に分かりやすい言葉を選んでいますか?

ライブのもよう

ライブのもよう

 この曲に関しては敢えて分かりやすい言葉を使っています。子供が今の自分の前にヒーローとして現れて、“言ってくれている”というのがテーマとしてあるので、難しい言葉は使っていないですね。むしろ歌詞カードでは、全部ひらがなでも良いかなと思ったくらいなんです。すごく読み辛かったのでやめたんですけど(笑)。なので、漢字もそんなに難しいのは使っていないんですよね。

――その中で「凸凹あぜ道」で凸凹(でこぼこ、おうとつ)を使っているのが興味深いですね。

 この漢字ってあまり書く機会がないじゃないですか。昔から思っていたんですけど、なんか記号っぽく見えるんですよね。凸凹(でこぼこ)なら記号として子供っぽく捉えられるかなと思ったんです。

――歌詞の書く順番は、最初から順に進めていきますか?

 パターンはいろいろあるんですけど、この曲に関しては、サビから書いていきましたね。そして、AメロやBメロに時々振り返ったりしてました。もちろん、順番に書いていくこともあるんですけど、この曲はセクションを行ったり来たりしながら書いていきました。

――出だしの「もう大丈夫安心して」というフレーズも後の方で出てきたのでしょうか。

 これはサビが出来る前にですね。サビ頭になりそうなインパクトの強い言葉を探して、いろんなパターンを書いていたんですけど、その時に出てきたのが、「もう大丈夫安心して」という言葉でだったんですよ。

情景から意味を見出すような言葉が好き―、千野隆尋

情景から意味を見出すような言葉が好き―、千野隆尋

――この言葉から始まる出だしはドキっとしました。サウンド面でもベースが左の方に定位していますよね。これも歌詞とリンクして、効果的だなと思いました。これは確信的な狙いですよね。低音楽器が真ん中にないと不安な感じになりますよね。

 これは、ミックスエンジニアの方のアイデアだったんですよ。実は最初にハモりのパートが入っていたんですけど、全部一回装飾を外そうということになったんです。エンジニアの方は録っている段階からイメージがあったらしく、「こういうのどう?」と提示してくれたんです。これによって不安感も出ているし、抑えめで入ってくるので、初めて聴いた人は音量上げすぎると、全部の楽器が入ってきた時にビックリするんじゃないかな(笑)。

――間奏でちょっと難し目なクラップ(手拍子)も登場しますが、これはライブの時にお客さんと一緒にやることを意識たものなのでしょうか。

 基本的に僕らは“強要はしない”バンドなので、煽ったりとかはそんなにないんですけど、自然発生的にやってくれたら嬉しいなというのはありますね。このクラップはお客さんにやってもらうという意図というよりは、作品の一部として入れたんです。洋楽的というか、けっこう難しいので、本当に自然発生的に出来たらすごいなと思いますね(笑)。

――このクラップはメンバー全員でレコーディングしたのですか。

 これは僕と伊丸岡で録りました。割と普通に録れました。

――新鮮なリズムパターンですよね。これはデモの段階で既にあった?

 デモの段階からあったんですよ。その時点ですごく雰囲気が良くて、僕も新鮮に感じたんですよね。

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