5人組ロックバンドのGOOD ON THE REELが7月6日に、キャリア初となるシングル「雨天決行」をリリースする。2011年にデビューし、これまでに7枚のミニアルバムと2枚のフルアルバムをリリース。結成当初から続けてきた主催企画『HAVE A “GOOD” NIGHT』は今年10月9日に50回目の開催を迎える。その記念盤として制作したのが今回のシングルだ。HAVE A “GOOD”NIGHT盤には、新曲のミディアムバラード「夏の大三角」を、Anniversary盤には、過去の音源から3曲を1トラックに収め再録した、ライブテイク風メドレーの「ONE SHOT Live Tracks -夕映~いらない~ハッピーエンド-」を収録した。今回のインタビューで、ボーカルの千野隆尋は「特に言葉を大切にしている」と語った。その言葉の通りに、独特の世界観を持つ歌詞と歌声がバンドのオリジナリティを強固なものにしている。このシングルに込められた想いとは何か、歌詞のこだわりや制作の流れ、またレコーディングについて話を聞いた。
メロディラインがあるとやっぱり難しい
――GOOD ON THE REELは「なんか良い感じ」という意味のバンド名ですが、どのような特徴を持ったバンドなのでしょうか。
音楽はもちろんですが、特に言葉を大切にしてるんです。しっかりメッセージを伝えていくことをコンセプトに曲を作って、表現しているバンドなんです。
――結成10年が経ちましたが、バンドに変化はありましたか。
そうですね。年月も経ってくると場数も踏んで来ているので、ライブパフォーマンスなど魅せ方が変わってきたと思いますね。もちろん個々の技術もアップしてきていると思います。
――現在までにミニアルバム7枚とフルアルバム2枚をリリースされて、今回の「雨天決行」でキャリア初のシングルとなったわけですが、なぜここでシングルでのリリースの運びになったのでしょうか。
僕らが主催している『HAVE A “GOOD” NIGHT 』という企画ライブがありまして、それが10月9日に50回目の開催を迎えるということと、今年で結成10年ということで、その記念になる作品を作りたいと思って、初めてのシングルとして書き下ろしの新曲でリリースすることになったんです。
――「雨天決行」は書き下ろしとのことですが、アルバム『ペトリが呼んでいる』の流れを汲んでいるような雰囲気もありますね。
アルバムの中に「ペトリコール」という曲があります。その曲の歌詞の書き方も子供の頃の自分と、今の自分との対比なんです。そこで得た歌詞の書き方、広げ方を、今回もそれを踏まえて書いてみました。
――「雨天決行」は作曲が伊丸岡さんで、作詞が千野さんですが、制作過程はどのようなものだったのでしょうか。
今回は、曲が先に出来てきて、そこから歌詞を乗せていきました。けっこう昔は詞が先の方が多かったですね。CDを出すスパンが早くなってきたので、“詞先”だけだと追いつかなくなってきたんですよね。曲作りの幅を広げないと曲も増えていかないので、“曲先”も作るようになっていったんです。この10年間で変わった中の一つですね。
――“詞先”の方がやりやすいですか?
今も“詞先”の方がやりやすいです。メロディラインがあるとやっぱり難しいですね。既に楽曲の雰囲気が出来てしまっているので。そこに対してどうやって自分の軸を作るかが大変なんです。なんとなくで書くと、なんとなくの歌詞になってしまうんですよね(笑)。言葉だけだと軸は見つけやすくて、「このメッセージ性を軸にして書いていこう」と自分で調整が出来るんです。メロディがあると第一印象でイメージが定まってしまうこともあるので。
――デモの段階ではどのくらいの完成度で曲をもらうのですか。
「雨天決行」は(伊丸岡)亮太(Gt)がオケをコンピュータに打ち込んできたので、アレンジの面ではけっこう出来上がった状態です。完成系とイメージは変わらないです。
――最初聴かせていただいた感じでは、アコギで弾き語りっぽい感じで作っているのではと思ったのですが、コンピュータに打ち込んでいくんですね。
けっこう弾き語りのパターンも多いですよ。前回のアルバムから打ち込みで作ることが多くなってきましたね。今回もそのパターンだったということだけで、基本的にはアコギでメロディを録音するというのも多いです。
――ジャケットも歌詞を読んでから見ると面白いですね。私の勝手なイメージですが、ジャングルジムは四角いものだと思っていました(笑)。
僕も歌詞を書いている時は四角いジャングルジムだったんですけど、ジャケットを描いてくれた森(俊博)君が、地球をイメージしていて、デザイン的には丸い方が冒険感が出るとのことなんですよ。
――「雨天決行」の歌詞は実体験なのでしょうか。
小さい頃の経験は入っています。思い出す中で、自分以外のことももちろん入っています。
――3年2組13番は当時の千野さんの番号?
3年2組で、番号も多分、それくらいだったと思います(笑)。基本的には歌詞のハマリが良かったので13番にしました。でもここは、自分の小さい頃でも良いし、その時の親友でも良いし、誰でも良いんです。自分の中での小さなヒーローに置き換えてくれたらといいなと思っています。
――「雨天決行」というタイトルには、どのような思いが込められているのでしょうか。
「雨天決行」を紐解く言葉をいっぱい書かれているんですけど、今、夕立の中で外に出歩くことってあまりないじゃないですか。小さい頃は遊びたければ、そんなの関係なく行きますよね。そういう冒険心や好奇心だったりがありますね。
――先ほど、昔と今の対比ということを仰っていましたが、私が歌詞を読んだイメージでは、子供の視点の様にも思えるし、女性が男性の手を繋いで一歩を踏み出すようにも思えます。千野さんの歌詞はどちらにも受け取れるような世界観がありますよね。敢えてそういう言葉を選んでいますか。
独りよがりにならないようには意識しています。それは、歌詞以外にもライブパフォーマンスにも表れていると思います。あまり人に強要することが好きじゃないと言いますか、出来ない性格なので、そういうのが出ているのかなと思います。