新曲「テイクミーアウト」を初披露

「SCANDAL TOUR 2016 YELLOW」東京公演でのHARUNA

「SCANDAL TOUR 2016 YELLOW」東京公演でのHARUNA

 軽快なリズムで洋楽的要素を放つ「LOVE ME DO」では、HARUNAのファルセットが会場に伸びやかなに響き渡る。今までファルセットは敬遠していたというHARUNAだが、レコーディング、ツアーを経て新たな武器を手にしたと言っても過言ではなく、バリエーション豊かな歌声を聴かせてくれた。昨年のドキュメンタリー映画『SCANDAL “Documentary film「HELLO WORLD」” 』の主題歌「ちいさなほのお」ではキャンドルに炎が灯るように、赤い照明がひとつ一つ点灯していく。その演出も相まって、切ないメロディが今までの会場の雰囲気をガラりと変えた。オーディエンスもバラードナンバーにステージを見つめ、4人から発信されるメッセージに耳を傾けた。

 HARUNAは「10年前のことを思うと、ずいぶん長くバンドをやってきたなという気もするんですけど、でも、これからの方がもっともっと長いと思って、自分たちを信じて進んでいきたいと思っています」と、結成からの10年間を振り返った。そして「今日はそんな10周年を目前に、新曲を持ってきました。今年の夏はこの曲で、みんなと一緒に盛り上がりたいと思います!」と新曲「テイクミーアウト」を初披露した。

 今までのSCANDALとは一味違う、ファンキーさを更に昇華したようなお祭りナンバー。“PA-PA-RA PA-PA-PA-RA〜♪”というコーラスがサビで印象的に響いてきた。初披露ということもあり、1コーラス目では探り探りだったオーディエンスも、2コーラス目からはビートに乗り始め盛り上がった。HARUNAは「新曲を初披露した時の、いつも通りの感じで安心した(笑)」と、この探り合いの感覚に笑みを浮かべた。

 新曲で幕を開けた後半戦、続いて披露された「Image」では、HARUNAとMAMIのギターカッティングの掛け合いは、コールアンドレスポンスのようなやり取りで、演奏的にも魅せ場の多い楽曲で会場を興奮の坩堝に巻き込んでいく。そして、HARUNAの渇いたアコギサウンドがアクセントとなって響く「Sisters」でバンドの勢いに導かれるようにボルテージは最高潮へ。「太陽と君が描くSTORY」では、オーディエンスの持つカラフルなタオルがフロアに埋まる絶景が広がっていた。本編ラストは「会わないつもりの、元気でね。」気持ちの入った心地よいビートを奏で、本編を終了した。

「SCANDAL TOUR 2016 YELLOW」東京公演のもよう

「SCANDAL TOUR 2016 YELLOW」東京公演のもよう

 アンコールでは、「Your Song」を日本語か英語バージョンのどちらで聴きたいか、オーディエンスからリクエストを募った。拍手の大きさで決まったのは、『YELLOW』のボーナストラックとして収録されていた英語バージョン。「OH-OH♪」と合唱がおきると、HARUNAが「東京こんなもん?」とオーディエンスを煽る。その言葉にさらに大きくなるフロアからの大合唱。ラストは「今日はちょっと雨が降ったから」と「Rainy」を披露。雨の日にしか聴けないレアな楽曲に、オーディエンスもリミッターが外れたかのように盛り上がり、ライブは大団円を迎えた。最後に「LOVE ME DO」のBGMが流れる中、メンバー紹介。「本当に東京楽しかった〜!」と訪れたファンに感謝。メンバーはステージを去り、ライブは終幕した。

 今年で結成10周年を迎えるSCANDAL。『YELLOW』リリース時、ミュージックヴォイスでのインタビューでRINAが「気楽に楽しみながら演奏したいと思っている」と語っていたように、良い意味で肩の力が抜けレイドバックしたサウンドと、曲によってアグレッシブな演奏で観たものを元気を与えてくれる、メリハリのある演奏だった。10周年へ向けてまだまだ進化していくだろう彼女たち、8月21日におこなわれる大阪・泉大津フェニックス「SCANDAL 10th ANNIVERSARY FESTIVAL『2006-2016』」が楽しみになってきた。(取材・村上順一)

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