日比谷野外大音楽堂で公演した、9mm Parabellum Bullet(撮影、橋本 塁・SOUND SHOOTER)

日比谷野外大音楽堂で公演した、9mm Parabellum Bullet(撮影・橋本 塁=SOUND SHOOTER)

 ロックバンドの9mm Parabellum Bulletが19日、東京・日比谷野外大音楽堂で、4月27日に発売した6thアルバム『Waltz on Life Line』に伴うワンマンライブ『LIVE 2016 “Waltz on Life Line” at 日比谷野外大音楽堂』を開催した。滝 善充(Gt)の左腕の負傷というアクシデントに見舞われながらも、全20曲を披露し、滝も最後までそのアクシデントを感じさせない気迫みなぎる圧巻のプレーで観客を魅了した。

9mm野音に降臨

 空を厚い雲が覆い、今にも雨粒が落ちそうな天候の中、ツアーTシャツを身に付けた観客は、恵みの雨ではなく9mmの8年ぶりとなる野音公演を心待ちにしている様子だった。

 メンバーがステージに現れると、野音の波紋状に広がる石造りの観覧席に座っていた観客は、総立ちとなった。菅原卓郎(Vo、Gt)が「9mm Parabellum Bulletです!」と挨拶すると歓声が上がった。

 「生命のワルツ」で舞台は幕を開けた。観客は、バンドの奏でる轟音に重なるサビに合わせ両手を挙げ応える。菅原が「行けるか、日比谷ー!」と煽り、歓声が上がるとバンドは2曲目の「Lost!!」を始める。同時にステージからド派手な発破音が響き、会場はどよめく。

 「Discommunication」の前奏とともに観客が手拍子を送る。序盤から、まるで空を覆う雲を蒸発させるように、会場はヒートアップした。続く「Mad Pierrot」では、かみじょうちひろ(Dr)のツーバスの響きと中村和彦(Ba)のうねるベースラインに、滝の歪んだギターが響き渡り、菅原の透き通る歌声が華を添える。

『Waltz on Life Line』の世界観

9mm Parabellum Bullet(撮影、橋本 塁・SOUND SHOOTER)

9mm Parabellum Bullet(撮影・橋本 塁=SOUND SHOOTER)

 ここでMC、菅原が「ありがとうー、改めまして9mm Parabellum Bulletです。8年ぶりの野音ということで。今日は『Waltz on Life Line』の世界観を見せていきたいんで、みんな宜しくねー」と語りかけ、観客から「イエーイ!」という歓声が響く中「湖」を演奏。間髪入れず「誰も知らない」、「ロンリーボーイ」を叩き込む。菅原の伸びのある歌声に、観客は手を挙げ応えた。モニターの上に立った滝のギターソロが、重い曇り空を切り裂くように咆哮を上げる。

 かみじょうと中村の織り成すマーチのようなリズムから「モーニングベル」が始まる。滝の高速タッピングが披露されると歓声が上がる。菅原が「まだまだアルバムの中にどっぷり浸かってもらいたい」と話し、ステージに万華鏡状の明かりが灯される中、かみじょうが作曲したという「Kaleidoscope」を演奏した。続く「Lady Rainy」は壮大なミディアムバラード。観客は耳を澄ませて、暫し、しっとりとした世界観に酔いしれた。

 菅原がエレキギターをアコースティックギターに持ち替える。「8年前もアコギでやったんですが、全然音出てなかったという逸話がありまして」と前回の失敗談を明かすと、会場は笑いに包まれた。ステージから去った滝が暫く戻らないということで、かみじょうと中村もステージを立ち去る。

 1人残された菅原は「俺何か演ります」と「The Ravolutionally」を急遽アコースティックバージョンで演奏。「しっとりとやるねー」とバンドで激しく演奏してきた前半とは打って変わり、今度は曇り空に寄り添うように歌い上げた。ここでスタッフから何やら耳打ちされた菅原は「やる予定一切なかったから」と弾き語りでもう1曲やることに。観客からリクエストされた「黒い森の旅人」を披露。思わぬスペシャルな演奏に観客は静かに聴き入っていた。

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