歌手の安室奈美恵

安室奈美恵

 歌手の安室奈美恵が18日、通算42枚目のシングルとなる「Mint」をリリースした。この楽曲はR&Bなビート、ミステリアスな雰囲気が漂うギターフレーズやオーガニックなサウンドに、彼女のクールな歌声が絡み合い、まるでジェットコースターのように目まぐるしく展開する、スリリングな楽曲に仕上がっている。安室は数ある候補曲の中からこの楽曲を選んだ理由に「曲を選ぶ時、『_genic』とは違う刺激を求めていたかもしれない」とコメントした。以下、オフィシャルレビュー全文。

 “それすらも最高”挑発的なこのフレーズが象徴する通り、安室奈美恵のニューシングル「Mint」は、その次なるフェーズを予感させるサウンドと刺激的なリリック、そして彼女のクールな歌声が絡み合い、まるでジェットコースターのように目まぐるしく展開する、実にスリリングな一枚だ。

 予兆はすでに、前作「Red Carpet」の時点からあった。昨年、ノンタイアップ&全曲未発表の新曲という画期的なスタイルでリリースされたニューアルバム『_genic』。大半の歌詞が英語詞であり、なおかつEDMに挑んだエッジィなサウンドを響かせながら、音楽チャートで4冠を獲得し、8作連続となるアルバム首位も獲得。だが彼女はそこに安住せず、「Red Carpet」では新たに日本語詞、どこか肉感的なサウンドを響かせるトラックにフォーカス。そのカップリング曲「Black Make Up」ではロックなギター・フレーズを鮮烈に響かせ、”『_genic』以降”を強く印象付けてみせた。

「曲を選ぶ時、『_genic』とは違う刺激を求めていたかもしれない」選りすぐりの新曲候補の中から、「Mint」を選んだ時の心情を彼女はそう振り返る。決して、”『_genic』以降”を意識したわけではないと言うが、なるほど、「Mint」の詞曲を手がけているのは、『_genic』にも参加しているクリエイターたち。R&Bなビート、ミステリアスな雰囲気が漂うギターフレーズやオーガニックなサウンド。そこから立ち上るロック感に思わず耳を奪われるが、めくるめく曲展開や不意に耳に飛び込みむ色鮮やかなサウンドも、確かにダンスミュージックのそれ。さらに、全体からも90'Sリバイバルなムードがそこはかとなく感じられるところも含め、『_genic』からの流れは今も続いていることが分かる。

 そんな「Mint」は、伊藤英明・木村佳乃 主演による関西テレビ・フジテレビ系ドラマ『僕のヤバイ妻』の主題歌でもある。MVでは安室奈美恵史上最多となる36名の女性ダンサーを率い、見事なダンスと美しい集団パフォーマンスを披露して見せる。ここ数年、MV界ではダンスパフォーマンスにスポットを当てた作品に改めて高い注目が集まっている。さらにビヨンセを筆頭としたUSのR&Bアーティスト達も、エレクトロなサウンドからリバイバルなサウンドへと一気に回帰し始めている。その辺りの時代の潮流を、前作『_genic』からいち早くひき寄せているという点でも、安室奈美恵のアンテナはいつだって間違いがない。

 そして、 歪んだロック・サウンドを最新の音へと昇華させ、 絶妙なアクセントを生み出すカップリング曲「Chit Chat」は、曲名通り、女性たちのストレス発散の糧である”世間話”をテーマにした、軽快なポップナンバーだ。いつの時代も女性から絶大な支持を得てきた安室奈美恵。彼女の本領が発揮されたポップでハッピーなこの女性賛歌は、きっと今年の夏、どんな不安や悲しみも、ガールズトークで吹き飛ばせる女性たちの最強の心のサプリメントになるに違いない。

 今年は4年に一度のスポーツの祭典 「リオデジャネイロオリンピック ・ パラリンピック」が開催される年。そんな中、もうひとつの新曲「Hero」が、”NHKリオデジャネイロオリンピック・パラリンピック放送テーマソング”に決定。約2時間半、MCなくストイックに歌って踊り続ける、エンタテインメント界の可憐なアスリート、安室奈美恵。「ステージこそすべて」と言い切る彼女は、ジャンルは違えど、アスリートの栄光の影にある努力や挫折、孤独やプレッシャーに共感出来る一人ではないかと思う。だからこそ、優しく力強く響く彼女の歌声は、4年間のすべてをぶつけ合うオリンピアンたちの姿を、リアルかつドラマティックに彩るものとなるだろう。

「アスリートの方に限らず、みんなそれぞれプレッシャーはあるし、心崩れそうな時はある。だから、どんな立場の方にも共感してもらえるんじゃないかなと思うんです」。現状に甘んじず、新たな境地に挑み続ける道をつねに選んできた安室奈美恵。もちろんこの先も、これまで以上に彼女は攻めの姿勢を貫き続けるだろう。安室奈美恵にとって、攻撃は最大の防御なのだ。その過程でもし耐えがたい不安や後悔に襲われても、<それすらも最高>と彼女は歌う。「リオデジャネイロオリンピック・パラリンピック」が開催される8月からは、全国ホールツアーもスタート。デビュー25周年という節目を迎える来年に向け、ここから先の安室奈美恵はますますヤバイことになりそうな予感がする。(文・kanako hayakawa)

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